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Prologue-02<JH-7A/B-飞豹>

『JM-WACSストルツより全機へ。ニーズヘッグ要塞攻略作戦参加機の全機が作戦空域へ到達した事を確認した。よって本時刻、二〇一三時よりニーズヘッグ攻略作戦を発動する!作戦目標は既に此方から各機へデータリンクされた通りだ。幸運を祈る!』


「こちらアンドレ、指定された敵レーダーサイトへ攻撃を開始。FOX3!FOX3!」

『こちらマック、指定された敵レーダーサイトへ攻撃を開始する。FOX3』


 さて、機外ハードポイントに吊るしたKh-31PM対レーダー長距離ミサイルを撃ち終えたらしばらく役目は終了、後は戦果評定をストルツ氏にデータリンクしたら味方が他のMDを駆逐するまで待機だ。

 それまでは味方機の戦いでも観戦して戦況把握に努めるとしよう。


『こちらカトラス中隊、カトラス01。これよりワイルド・ウィーゼルを敢行する。エンゲージ!』


 カトラス中隊はJH-7A戦闘爆撃機が16機。カトラス中隊は初心者育成を主目的とした中隊で、それもあって初期機体の中でも低コストで稼ぎの良いこの中国製戦闘爆撃機を多く運用している事で有名だ。

 その彼ら初心者達がベテラン中隊長のカトラス01に付いて地形に這うように低空を飛んで行く。


『こちらネシャー中隊、ネシャー01。同じくワイルド・ウィーゼルを敢行する。エンゲージ』


 ネシャー中隊はJH-7B戦闘爆撃機が12機。

 JH-7BはJH-7Aにステルス化改修を施した機体で同じく初心者向けの機体、なのであるが、ネシャー中隊の中の人は人民解放軍海軍航空隊の現役JH-7Bパイロットである。仕事しろ、いやしなくていいや。


『こちらアララト中隊、アララト01。カトラス中隊とネシャー中隊の援護に入る。エンゲージ!』


 アララト中隊はJAS39E戦闘機が12機。

 JAS39Eも初期機体の1つ。スウェーデン製の戦闘機だ。

 しかし、アララト中隊はLoLWの中でも古参のトップランカーで、わざわざ性能に限界のある初期機体をずっと使い続けている理由は不明。LoLW七不思議の1つでもある。


『JM-WACSストルツより全機へ。対レーダーミサイル群の着弾まで30秒』


 さあ、低空侵入のワイルド・ウィーゼル機が40機とマッハ4超で飛翔する対レーダーミサイル22発による飽和攻撃。防ぎきれるもんなら防いでみろってんだ。


『JM-WACSストルツよりアララト中隊へ。対レーダーミサイル群へのレーダー照射が確認された。アララト中隊は上昇してチャフ、フレアを散布し敵レーダーを撹乱、妨害して迎撃を阻止しろ』

「アララト01了解!派手にやったるぜ!」


 アララト中隊が急激に高度を上昇させ、それと同時に12機編隊であった飛行体形を2機編隊が6つに分かれて進路を分けて行く。

 そしてチャフとフレアがニーズヘッグ要塞の眼前へと広範囲に渡ってばら撒かれる。

 これで僅かな時間だがニーズヘッグ要塞のレーダーはかなり阻害されるはずだ。


『JM-WACSストルツよりネシャー中隊へ。未確認ターゲットから対レーダーミサイル群への妨害電波が確認された。可能なばこのターゲットも撃破してくれ。これよりターゲットの位置予測データをリンクさせる』

『ネシャー01、了解』


 レーダーの破壊を目的としたワイルド・ウィーゼル作戦に対して有効な妨害策は3つある。


 1つは迎撃。

 単純だがすこぶる困難でもある。なにせ今回であれば低空侵入のワイルド・ウィーゼル機が40機とマッハ4超で飛翔するミサイル22発を撃破しなければならないのだから、説明するまでもないだろう。


 1つはレーダーを切る。

 あまりに単純かつ効果的だが、盲目になる大きなデメリットがある。それさえ許容できれば、攻撃側にとっては目視でレーダーを発見しないと攻撃出来ず、発射された対レーダーミサイルも目標を見失って命中しないのだ。

 だが、今回は迎撃しなければ流れ弾がニーズヘッグ要塞へ直撃コースであり、敵はこの手段を取れず迎撃するしかない。


 1つは妨害電波。いわゆるジャミングやデコイとかいう奴だ。

 探査レーダーよりも大出力の電波を垂れ流す事によって対レーダーミサイルのロックオンを妨害し、あわよくばロックオン対象をデコイにすり替えたり、ミサイルの航法を狂わせるのが目的だ。

 これが結構厄介で、対策としてはジャミング対策のされた高価なミサイルを使うか、妨害電波の発信源を潰すか、この2つしか無い。

 そして妨害電波の発信源を全て潰すのには無理がある以上、高価な対レーダーミサイルを使わざるを得ないのだが、ただでさえ値の張る対レーダーミサイルが更に高くなるため、並の稼ぎのプレイヤーには中々手が届かないのだ。

 この結果、懐に余裕があるトッププレイヤーが対レーダーミサイル発射役となるべくMCやSBに偏り、さらには機体の兵装ペイロードを犠牲としなければならないのだ。


 まあ目さえ潰せば、後は各々の対空兵器に搭載された比較的貧弱なレーダーくらいしか敵には残されていない。だから初心者でも何とかなるはずだ。


『う、うわぁ!!主翼が吹っ飛んだ!!』


 初心者でも……まあ、対空砲の直撃はアレだ、運が無かったんだ。


『か、カトラス08!?カトラス08が被弾!』

『カトラス08!!機体を捨てて脱出しろ!!おい、脱出だ!!イジェクトシートのレバーを引け!!』

『墜ちるッ!!墜ちるッ!!助けッ―――』


 低空侵入中に主翼を吹っ飛ばされるとは運が無い。脱出するのに残された時間なんて僅か数秒。機体の異常を検知して自動で作動するイジェクトシートは高いから初心者が使ってる訳も無く。冷たい地面に墜落、爆散した残骸に合掌。

#機体データ<JH-7A-飞豹>

乗員―2名

全長―21.0m

翼幅―12.8m

全高―6.2m

空虚重量―14,500kg

兵装搭載量―4,500kg

エンジン―|渦扇≪WS≫9×2基

推力―54kN/基 (巡航)、91kN/基 (アフターバーナー)

最高速度―1,808km/h


備考

 中国空軍、海軍航空隊が運用する戦闘爆撃機。

 原型機であるJH-7は1992年に、改良型である本機は2004年から配備されている。

 それまで中国は東側に準じた航空機を製造、運用していたが、1980年代にはいると政治的問題により西側への接近を図り、この時期に開発されたのが本機である。

 エンジンはイギリスのロールス・ロイスが設計したスペイMk.202のライセンス生産品で、外見もどことなく西側風である。

 国産の対地、対艦、対レーダーミサイルを運用できる数少ない機体として中国軍の航空戦力の中核を担っている。




#機体データ<JH-7B-飞豹>

乗員―2名

全長―21.3m

翼幅―12.8m

全高―6.1m

空虚重量―13,800kg

兵装搭載量―5,100kg

エンジン―|渦扇≪WS≫9A×2基

推力―65kN/基 (巡航)、97kN/基 (アフターバーナー)

最高速度―1,866km/h


備考

 中国空軍、海軍航空隊が運用する戦闘爆撃機。

 JH-7Aのステルス化改修を施した機体。2016年配備。

 既存機のステルス化に伴って、その改修は機体内部のフレーム構造を一新して軽量化と強度向上、そして燃料搭載量の向上をも達成した。

 またステルス性能に関しては、RCS(レーダー反射断面積)の削減を前方からのものに限る事で、既存機の空力性能に大きな影響を与える事無くステルス化を達成した。

 またソフト面にも改修が入り、電子戦にも対応するなど、中国軍のこれからの対イージス艦戦略の一翼を担う機体となっている。

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