絶交-未公開シーン&NGシーン-
~未公開シーン~
明良と相澤が対立するシーン。
相澤が明良の胸ぐらを掴んでいる。2人睨みあっている。
やがて明良が顔をそむける。
相澤、明良から手を離し振り返る。そして灰皿スタンドを思いっきり蹴飛ばし、廊下を立ち去っていく。百合が黙って見送る。相澤が廊下の向こうに消える。
「はい!OK!」
長回しだったため、スタッフのほっとしたようなどよめきが起こる。
が、明良が壁にもたれたまま、座り込んでしまう。
監督「!…明良君どうした?」
その監督の声に、スタッフが驚いて、明良を見る。
明良は座り込んだまま、泣き出している。
監督、スタッフ数人がかけよる。
監督「どうした?背中、強く打ったのか?」
明良、膝に顔を伏せて泣きながら、首を振る。
明良「(泣き声で)…こんなの…嫌です…。」
監督、やっとわかって立ち上がる。
監督「相澤!!」
監督、廊下を戻ってきていた相澤を手招きする。
相澤が少し不思議そうな表情で走り寄る。監督が相澤に耳打ちする。 相澤は驚いた顔をして、明良の前にしゃがむ。
相澤「…明良?…どうした?」
監督、スタッフに明良から離れるように、手招きする。
そして、全員、カメラの傍に来る。
スタッフの声「明良、どうしたんですか?」
監督の声「役者が同じ役をやり続けると、はまりこんでしまって、現実に戻れなくなる。たまにあんの。」
スタッフの声「あー…」
監督の声「こういう時は、身近な役者になぐさめさせるのがいい。」
スタッフの声「…今日はもう撮影無理でしょうか。」
監督の声「無理かなぁ。きっと目が腫れてしまってるし…。」
スタッフの声「夜に回しますか?」
監督の声「ん~そうだな…。でも、役者全員大丈夫なのかな?」
スタッフの声「後で、聞いておきます。」
監督の声「わかった。」
相澤が明良の両脇をかかえて、傍のソファーに座らせる。
相澤「大丈夫だから、明良…。大丈夫だから。なっ。」
相澤は、膝に伏せて泣く明良の頭を抱えるようにしてなぐさめている。
監督の声「…さっきの、明良が座りこむ絵もよかったけどなぁ…あれ、うまく撮れてない?」
スタッフの声「(少し笑って)たぶん、誰かの頭が映りこんでます。」
監督の声「そっかぁ…惜しいなぁ…。この相澤と明良の絵もいいけどなぁ…話変わっちゃうもんなぁ…」
スタッフの声「立花さんが許さないでしょう。」
監督の声「そうなんだよなぁ…あのおばちゃん、小うるさいから…。」
スタッフが遠慮がちにくすくすと笑っている声がする。
相澤が急に監督に向く。
相澤「監督、…どうしよう…」
監督の声「ん?なんとか頑張ってくれよ。」
相澤「俺…こいつに惚れちゃいそう…」
思わぬ相澤の言葉に、スタッフ全員笑ってしまう。
その時、膝に伏せていた明良まで泣きながら、笑ったのがわかる。
相澤「あっ!…明良君笑いましたか?今?」
相澤が、明良の頭を無理やり持ち上げる。
明良が目を真っ赤にはらしたまま、泣き笑いをしている。
相澤「よかったでちゅねー!明良君、笑いまちたねー!」
相澤がそう言うと、明良は笑いながら、相澤の肩を軽く突き飛ばす。
相澤、バランスを崩して、尻もちをつく。
スタッフが明良にタオルを渡す。
明良「…すいません…ごめんなさい…」
明良、立ち直った様子。そして、相澤に右手を差し出す。相澤がその手を握ると、ぐっと自分の方へ引っ張る。相澤は引っ張られるまま、明良の隣に座る。
相澤「(明良に)…落ち着いた?」
明良「(うなずいて)大丈夫…ごめんなさい。」
相澤が明良の肩を叩く。その時、スタッフが相澤の横に来て、小声で何かを言いながら、向かいを指差す。
カメラがそちらにターンすると、百合が背中を向けて、両手で顔を覆っている。
相澤「百合さーん!」
百合が口元を覆ったまま、振り返る。目は真っ赤になっている。
相澤「百合さん、もらい泣き?」
百合、両手で口元を覆ったままうなずく。
百合「だって…明良君が本当に励のことが好きなんだと思ったら…もう…」
明良「百合さんにまで、すいません。」
百合、首を振る。
相澤「それって「鬼の目にも涙」って言うんですよね。」
百合「!!!」
相澤「やべ」
相澤、百合の横を抜け、廊下を走っていく。全員の爆笑。
百合「こら待てー!!」
百合が相澤を本気で追いかける。
監督の声「こらーーー!廊下を走るなー!!」
その監督の声に、全員が笑いだす。
~NGシーン~
奈緒のマンション。
ソファーにいる明良と奈緒。
奈緒が、明良の体を抑えている。
奈緒「何をそんなに嫌がるの?…もしかして、今はやりの「ボーリングラブ」ってやつ?…」
明良「?」
2人の動きがしばらく止まる。
やがて、明良が大笑いする。
スタッフの大爆笑。
奈緒、明良の体から離れて、反対側へ倒れ込む。
奈緒「やっちゃったー!やっちゃったよー!!」
明良、おなかを抱えて笑い続けている。
明良「(笑いながら)ボーリング…ボーリングラブってなんですか?」
奈緒「(すっくと起き上がって)ボーリング場で出会ったカップルの愛です!」
全員、笑う。
明良「(笑って)…そのまますぎ…」
奈緒「(笑いが止まらない)…ごめんなさい…本当に、いろいろとごめんなさい…」
監督の声「(笑いながら)…撮り直しすぐにできそうにないから、10分休憩ね。」
奈緒「(立ちあがって、あちこちに頭を下げる)すいません!本当にすいません!」
明良「(涙をぬぐいながら)もーーーー…真面目なシーンだけに辛い~…奈緒さん、おもしろすぎ…」
奈緒「(明良に手を合わせながら)ごめん…ほんと、ごめん。なんとか立ち直ろう!ねっ!」
全員、笑い続けている。
~未公開シーン~
歩道を明良と相澤が走り出すシーン。終盤に近付いている。
外なので、道路を挟んだ向こう側にはギャラリーが歩道を埋めている。
相澤「よっしゃ、走れー!!」
相澤走り出す。明良が笑って追いかける。
スタッフの声「はい、OKー!」
しかし2人は止まらない。なんとかマイクが声を拾っている。
相澤「あの太陽に向かって走るんだー!」
明良「先輩、太陽がありませーん!」
相澤「夜だからなー!」
ギャラリーの笑い声
明良「せんぱーい!ここから事務所まで10キロありまーす!」
相澤「それを、早く言えー!!」
ここまでで声が途切れてしまう。しかしギャラリーからはずっと笑い声が続いている。
監督の声「(笑いながら)おい、ご近所から苦情が来る前に、あいつら回収してこい。」
スタッフの笑い声。
最後までありがとうございました!
一気にアップしましたが、いかがでしたでしょうか?
日々こんなことを考えてるんですから、私って危ない女(--;)
また夢想したら、ここに載せたいと思いまーす(笑)