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世界は愛おしい!  作者: 終マ2
1章 曙の道
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4話 お風呂は騒がしい!

 夕食中はずっと話を聞いていた。


 勉強会は柚伏が新しい包丁を買うことで免除してもらった。運良く切れ味の悪くなった包丁があったからこその結果だ。ありがとう切れ味の悪い包丁……


 で、重要な方をまとめると、能力者はまだ解明されていない異能力(アビリティ)を使う。その力は基本的には能力者であれば1人につき、1つの力があるらしい。稀に異能力(アビリティ)を2つ持つ、双子(ジェミニ)という者が現れるらしい。能力者でさえ世界人口の0.00001%にも満たない、その中でも稀だから2、3人ほどしかいない。


 そして、異能力(アビリティ)には代償がいる。

 大抵は疲労感や睡魔らしいが、八潮さんのように声が出なくなる(正確に言うと、声の認識ができなくなる)ものや、体の一部を消費するものもあるとか。


 これらの情報は公開されてはいない。知っているのは政府のお偉いさんや能力者自身、裏社会の一部の人だけらしい。公開しない理由は単純に社会が混乱するかららしい。

 真っ当な判断だろう。能力者は異能力(アビリティ)次第で核兵器にも、1つの国家にも、最悪世界よりも強いのだから。そんな者が社会に溶け込んでいたら世界が混沌になる。


 あと、大川さんと柚伏さんも能力者らしい。


 大川さんは〚物を引き寄せる能力〛。自分より対象の質量の大きくなればなるほど、自分も引っ張られるらしい。物体同士でも使えるらしい。


 柚伏さんは〚幽体離脱〛。自分の体重の4分の1の重さのものなら力を加えられる。


 どちらも代償は疲労感。


 柚伏さんは〚触ったことのある物体を出現させる〛。代償は声と睡魔だという。声は常に代償で聞き取れないが、睡魔は出現させた物体の時間経過に比例して強くなるらしい。だから、長時間出し続けることは難しい。


 そして、ここ八塩荘は能力者の保護施設とのこと。

 現在、能力者の立ち位置は秘匿された人間兵器。その扱い方は政府の中で大きく3つ分れている。


 1つは徹底的に監視・管理して、完全に国のモノにさせる浦部(うらべ)グループ。

 2つは能力者も一般人と同じ生活をさせて、最低限の監視にとどめておく小宮(こみや)グループ。

 3つは能力者を全員抹殺する矢野(やの)グループ。


 3つのグループはいつも討論をしているだとか。特に浦部グループと小宮グループは仲が悪い。

 今は小宮グループが優勢で、こうして俺達が高校に通えている。


 しかし、能力者は裏社会からも目がつけられているため政府のお膝元に置かれているらしい。


 ちなみに、八塩荘には俺を含めて8人いる。

 大川さん、柚伏さん、八潮さん、俺の4人とまだ会ったことのない人が4人いる。うち2人は引きこもりらしい。他の2人は今日は帰ってこないとのこと。




 そして今、俺は明日の準備だけはしてお風呂に向かっている。

 俺以外は女子たちだから気をつけないとな。最近、ラッキースケベは流行らんからな。

 脱衣所に入る。……前にノックをして誰もいないことを確認する。

 次は風呂場だな。くもりガラスで先ぼんやりと見える。人間らしき人影はない。


 しかし、これで本当はいましたとなるとここでの暮らしが今日が初日からして最終日になってしまう。

 俺はノックをして、声を掛ける。


 反応はなし。よし、なら大丈夫だろ。

 服を脱ぎ、全裸になる。腰にタオルを巻く。

 

 戸をガラガラっと開ける。

 世界が止まった。見つめ合う。


 平らな胸、細くて小さい胴体、ツルツル。

 思考が一瞬停止するが、すぐにものすごく思考が駆け巡る。

 頭に駆け巡るのは1言(エロいっ!裸だ!湯船に浸っていて、肝心なところは歪んでいるのがエロい!!!)だけ。単純な思考だが、たぶん過去1番、頭が働いている。


 湯船に浸かっていたのは柚伏さんだった。

 柚伏さんの顔は真っ赤になっている。驚きと恥ずかしさで固まっている。しかしそんなのは一瞬。


 柚伏さんが横にあったシャンプーの容器を投げた。俺の頭に目掛けて飛んできた。ものすごい速度だった。

「ぐはぁっ!」

 シャンプーは頭に直撃して、後ろに倒れる。


 興奮と混乱に加えて強い衝撃を受けた頭は色々と限界だった。

 俺はそのまま気絶した。




「何でタったんだよ!」

 アタシは赤くなった顔を湯船に浸けて、目を瞑る。

 お風呂でイヤホンをつけて動画を見てて全然気づいていなかった!アタシがやらかしたのか!でも、それでも……

 ありえない!ありえない!ありえない!

 アイツはアタシの身体を見て、た、たたた、………うわぁああぁ!!

 顔をガバっと湯船から出して、ボディソープの容器を倒れているアイツに全力で投げる。

「うはっ!」

 神里は再び目を覚ます。

 ヤバい!また見られちゃう!

 神里が起き上がろうとした時だった、腰のカーテンが下がり、全部見えてしまったのだ。


 アタシは初めて見る実物に視線が離せなくなり、



バナナ(BANANA)



 ここでアタシの意識が途絶えた。

 



 目を覚ますと頭がズキズキと傷んだ。それでも、なんとか起き上がると、

 ()()()()()()()()()()

「柚伏さーん!!」


 俺はすぐに柚伏さんの抱き上げぬわぁああ!ぷにぷにしてる。

 耐えろ!理性を保て!目を瞑って、冷静になれ!

 相手は小3みたいな体つきだ!


 俺はロリコンではない!ロリコンではない!ロリコンではない!


 俺は目を開けて、柚伏さんの状態を確認する。


 はずだったが、視線が自然と下に行き、見てしまった(・・・・・・)

「うわあぁああぁ!!」


 俺は取り乱して、足下に落ちていた石鹸を踏んでしまい、すっ転ぶ。


 俺は仰向けに転び、上に柚伏さんが乗っかってきた。

 肌が密着した(・・・・・・)

 柚伏さんは温かく、濡れていて、シャンプーのいい匂いがする。


 俺は気付いた。


 俺、()()()()()()()()()


 俺はまた、気絶した。

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