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世界は愛おしい!  作者: 終マ2
2章 復讐の道
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13話 作戦準備

 つまり、あんたは世界を征服するのが目的何だな?

『そうじゃ』

 何で?

『使命だからじゃ』

 使命か……つまり、あんたは世界を征服するのが目的何だな?

『そうじゃ………何回繰り返すんじゃこの会話は』

 すまん。突拍子が無さ過ぎて、聞き間違いなんじゃないかと……

『心の中で会話しているのじゃ。聞き間違いなんてありやせん』

 じゃあ……何で使命なんだ?

『…さぁな……気づいたら使命になっておったのだ』


 今朝、この心の中に居座るアザトースという女が目覚め?てから何1つ会話が進んでいない。

 この先の話は俺の手に負えないモノだと感じたからだ。

 あれから、一旦八塩荘に戻って身支度や諸々を終えて、今は登校中である。


「何か考え事ですか?」

「え?いやぁ〜、まあなんというか……」

 訪ねてきたのは大川さん。今日も柚伏さんを担いで登校している。

『言わないのか?』

 言って良いのか?大川さんを巻き込むのは迷惑だろ?

『そうかの?』

 とりあえず、大川さんを巻き込むのはなしだ。


 そうだな……頼りになりそうなのは………鶴山と………み、宮黒さんかな。

『あの男か……良い考えじゃ。あの狂人に頼むとせよ』

 何であんたが命令してんだ……ってゆうか、宮黒さんのこと知ってるのか?

『………会ってからの楽しみじゃ』


 アザトースは意味深なことを言い放ち静かになる。

「……私に相談出来ないのなら構いません。しかし、悩みごとがあれば手を貸してくれる人は周りにいます。必要な時、是非話してください」

 大川さん………なんて優しいんだ……




 もうすぐ学校に着く。

 柚伏さんはついさっき起きて、目をこすりながら自力でとぼとぼと歩いている。その隣には大川さんが歩いている。

 遊園地とかの夕方の時間帯にいる、親子に見えるな。歩き疲れて眠い子と手を引っ張る母親……俺が今隣を歩けば家族に見えるんじゃないか?

 と、後ろを歩きながら思う。

 柚伏の身体の縮尺があたりにも小さくて、高校生には思えない。大川さんは優しくて、世話好きな感じがする。

『キモいぞ』

 え?なにが?

『そうやって、“隣を歩けば家族に見えるんだろうなぁ。妻は大川、子供は柚伏、俺は良い夫。ぐふふ”と考えてるところがじゃ』

 そんなキモい感じじゃない!客観的に見て、そう見えるのかなってことで……

『“俺は客観的に見れるいい男なんだぜ”とな』

 ……………

『“加えて俺は寡黙でクール”』

 …………………

『“ちょっとしたことじゃ気は乱されないぜ。いつも冷静に立ち回るからな、俺は”』


 俺はこのときホッとした。

 大川さんに話さなくて正解だった。こんな手に負えない奴を任せなくて、良かった。


「おはようございま〜す」

「おはようございます」

「?✳⚪◇♂♀♤▽?」

「?✝≠♡•★?」

 校門の前では生徒会が朝のあいさつ運動を行っていた。大抵の生徒は首をほんの少し曲げて、聞き取れない声量で何かを言っている。


 でも、1人だけ異質を放っている人がいる。サラサラな黒髪ロングでお淑やかな雰囲気を漂わせながら、堂々とした立ち振舞で凛々しさも醸し出している。身長は俺と同じくらいで、胸は控えめで、なんというか……かっこいい。大和撫子にカッコよさを足したような女性だった。

「おはようございます!」

「はい、おはよう」

 その人だけは生徒が自ら歩み寄り大きな声で挨拶している。

「凄いなあの人。人望あるんだな」

「あぁ、アイツは生徒会長の志田 四葉(しだ よつは)だな」

「志田会長は生徒からも先生からも人望が厚いんですよ。彼女に歯向かう人はほとんどいません」


 そして、俺達が校門に差し掛かり、生徒会長の横を通るとき、

「おい柚伏、また担がれて登校か。少しは自分でなんとかしろ。いつまでも大川が……」

「あーはいはいわかりましたー。アタシからも言っとくけど、いつまでもその仮面が通用するとは思うなよ」

 そう言って、柚伏は大川の背中から降りた。

 何だこの嫌な雰囲気は……この2人仲が悪いのか?

「はぁ……大川は別にこんなに面倒を見る義理は無いだろう…」

 大川さんは微笑み、先を行く柚伏を見ながら返答した。

「私がやりたいんです…」

 志田会長は小さくため息を付いたあと、俺に視線を向ける。

「君は……」

「俺は神里司です」

「そうか。いやなに、2人はいつも一緒だから、他の人と登校とは珍しいなと思ったんだ」

「へぇ…入学したときから仲が良いんですか?」

 そのとき、遠くから声が届く。

「さゆり〜おいてくよ〜」

 柚伏さんが大川さんだけを呼んでいる。一緒に登校したのに悲しいな。

「すみません。今行きます」

 大川さんは俺に会釈して、駆け足で柚伏のところへ行き、俺はおいていかれた。

「入学してからずっとあんな感じだな」

 よっぽど気が合うんだろうな。正反対な性格してるけど。

「呼び止めて悪かったな」

「いえ、全然。では」

 俺は会話を切り上げて、1人で教室に向かう。


『このまま教室に直行か?』

 うん。保健室行って、遅刻とか嫌だから。教室に1回行って鞄だけ置いてく。

 靴を履き替え、校舎に入る。

『まあいいじゃろう』

 何でいつも上から目線なんだよ。

『妾のほうが強いからじゃ。強者が上に立つ、自然の摂理じゃ』

 絶対に上に立っちゃいけないタイプだ。

 と、思っていると教室に着いた。


 俺はそのまま教室に入り、自分の席に鞄を置く。

「おはよう、北村」

 俺は高校で初めて出来た友人、1人孤独に座ってスマホをいじる北村に挨拶をする。

「……なんだお前か、おはよう」

「何だその反応」

「深い意味はない」

 いや、その言い方はあるだろ。と、思いつつも特に興味もそそられなかったので訊きはしなかった。

 今はアザトースのことで頭がいっぱいで、ここで会話している時間すら惜しい。

『なら挨拶しなければよかろう?』

 友人に話しかけたら少しは心が和むかなって思ってな。

「まあいいや、ちょっと離れるからさ、出席取るとき俺いなかったら席外してるって言っといてよ」

 北村の視線がスマホから俺に移る。と言っても、目は髪で隠れてるし、マスクもつけてるから表情は何もわからないんだが。

「気分が乗ったらな」

「昨日のお礼も兼ねて何か購買で買うからさ」

「勝手に買ってくるなよ。僕も行くから」

「わかってるよ。じゃお願いね」


 俺は教室を後にして、保健室に向かう。





  保健室にて俺は今、()()()()()()()()()()()()()()()()

 事の発端はほんの1分前。


 ただ、アザトースが目を覚ましたことを伝えただけである。


 本当にこれだけだから、回想とかも無い。強いて言うなら、言った直後の宮黒さんの動きがメチャクチャ速かったことくらい。


「アザトース、お前に訊く。目的は何だ?」

『相変わらず、ピリピリしておるな』

 ピリピリしてるな、じゃない!宮黒さんに何したんだよ!?

 何なんだよ。何なんだよこれ。

 おかしい。


 銃口を向けられているのに恐怖心がほとんど無い。心拍数も上がっていないし、過呼吸にもならないし、涙も出ない。


 それが怖い。

 自分の感情が希薄になっている感覚だ。このまま自分がどこかに、アザトースに乗っ取られる感じがしてしまう。


 こんなことを感じてしまうほど、銃口などどうでもいいモノになっている。


『それは妾の感情が汝に流れておるからじゃ。現に妾は銃口を向けられようと全く怖くない』


 じゃあ…


 そのとき、頬に熱い物がかする。頬からは血が滲み出る。

 熱い…痛い……それなのに、平常心を保っている。


『妾とのことは後じゃ。今は彼を何とかしよう。そうじゃな……まずは…』


「殺すなら、眉間を撃つんじゃな」





 は?俺……何言ってんだ……


 口が勝手に……勝手に…動いて……あれ?……


「それで妾は死ぬかもしれんぞ」


 違う……違う……俺じゃない



 何で


 何で


 何でこんなに


 楽しんでんだよ






おかしいだろ…──────────────

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