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深淵の峡谷から生まれた神秘の怪物  作者: 鋼さん
深淵の峡谷編
1/2

新たなる王の誕生

深淵の峡谷…………それはこの世界、アボケルドゥンにおいて最も危険で禁忌と称された峡谷である。違う、それは違うのだ。元は観光名所とも言われたとても美しい峡谷なのだ。いや、そうだった。ソレは汚され、黒く染まり、希望も光も無い暗黒空間となってしまった。そんな峡谷でも落ちてくる者は後をたたない。


何故か?それは上級国民(クソッタレの貴族共)が己の邪魔な者たちを落として殺しているからだ。突然だがこの峡谷には上下関係がある。弱肉強食……………も勿論あるが深淵の峡谷の上位層は争いなどはしない。したとしても些細な喧嘩だ。まあその喧嘩でも人間にとっては恐怖そのものなのだが。


話は戻るが上位層には知性がある。そして上位層の魔物は心も身体も弱りかけの人間を踏みつけにはしない。たとえどんなことがあろうとも、生きているのならまだ償える。しかし上位層に人間たちがやってくることは殆ど無い。深淵の入り口から落とされてから上位層が居る縄張りまで遠すぎるのだ。


一番近い上位層の魔物でも300kmはある。そして何より一番厄介なのはある一定の地点になると上位層の魔物は人間の近くに行くことが出来ないのだ。だから助けることも儘ならない。近づこうにも移動することが出来ない。助けたいのに助けれず呪詛を吐かれる。それで一体どのくらいの上位層の魔物たちが傷つけられてきたのだろうか。人間たちは知らない。己が、自分達が犯した過ちという物を。


人間たちは知らない、魔物にも心はあるのだということを。人間たちは知らない、祖先が間違え、今もなお間違え続けていることに。人間たちは知らない、取り返しのつかない所まで()が刻まれているということに。


頼む、■■■よ。人間たちに罪を払わせてくれ。深淵の峡谷に溜まりに溜まりまくった絶望、恐怖、孤独、嫉妬……………落とした者や落とされた者の闇の感情が一つの生命体として現れる。お前のその旅は苦しい物になるだろう。それでも我らはお前に頼るしかないのだ。すまない、■■■、お前に我ら■■■(■■)としての罰を任せるなんてな。もっと我らがちゃんととしていればこんなことにはならなかっただろうにな。


ー■■■視点ー


俺?僕?私?…………一体何者なんだ?情報入手、情報入手………漂っている魂を取り込みます。魂との統合を開始します。………俺は俺?……………なるほど、そういうことか。今の俺の意識は前の俺ではなく闇と魂のみ転生、というか転移された俺が統合して出来た人格というわけか。しっかし、面倒くさい使命背負ってんな。


面倒臭いが……………やるしかないよな。別世界で元とはいえ俺は人間だ。だったら償いをやるしかないよな。そんじゃあまずは此処に、深淵の峡谷に漂ってる魂をなんとかしに行ってきますかね。俺はそんなことを考えながら少し身体を動かしている。身体能力が全然違うから大丈夫か?と思ったが俺の人格は俺であって俺じゃないから大丈夫なんだな。


俺はそんなことを考えながらドォン!と音を鳴らしながら走って行く。さすが深淵の峡谷の王として生まれてきただけはあるな。しかし深淵の峡谷の上位層には全然劣っている。何故なのかは俺の能力が原因なってくる。その能力は……………お、見つかったな。能力の話は後でするとしよう。


俺が見つけたその魂は怨霊となっている。この深淵の峡谷では珍しくもない……………が上位層の魔物はこの怨霊達のせいで心に傷を負っている。上位層の魔物曰く私はお前が、お前たちが救わなかったからこうなったのだ、と魂で伝えているようで辛いらしい。その気持ちが今分かった。俺、いや、俺たち上位層の魔物は感情が伝わりやすい。だからなんだろうな、泣きそうになる。


けれど俺は償いをすると決めた、だからこんな所で立ち止まるわけにはいかないんだ。俺だけは、立ち止まるわけには行かないんだ。そう決意を決めて俺はその怨霊に近づくが魔力と霊力を使った攻撃をされる。その攻撃を俺は避けて更にその怨霊に近づくと腕を広げて………………抱きついた。


『ハ、ハナセ!オレハオマエラニコロサレタ!デカイマモノニミラレナガラゴブリンニナブリゴロシニサレタンダ!』

「ごめんね、君は苦しかった筈なのに、ずっと前から助けを求めていた筈なのに助けれなかった。理由があったなんて言い訳するつもりは無いよ。でももう眠って良いんだよ。君の苦しみや悲しみは全部俺が背負うから。だから君は安心して眠ってくれて良いんだよ」

『フザけるナ!、オ前に分カル筈が…………なぁ、本当に俺は眠って良いんだな?お前が俺の苦しみを全て背負ってくれるんだな?』

「あぁ、そうだよ。君の全部を俺が背負ってみせる。だから君は俺に任せて眠っといてくれないか?」

『おいおい、俺の全部って苦しみだらけだぜ?とんだお人好しだな、お前。お前が俺の分まで幸せに生きてもらえれば満足だ。そうすれば俺が苦しんで出来たマイナスもゼロになるだろ?だからよろしく頼むよ、深淵の王様』


怨霊は骸骨の姿から生前の姿に変わってから光となって消えていった。いや、消えていったじゃないな。俺の中に入ったんだ。でも、俺の知識の中にある物じゃない。本来は闇となって俺の中に入ってくる筈だ。なのに光でとても暖かかった。なぁ、名も知らない霊よ、俺はお前の心を救えたのか?そう俺が考えた時吸収されて手に入った力が熱く反応した気がした。

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