第一会場
私は歴史あるメイナード辺境伯爵家の娘のマーガレット。今日は学園の入学式なの。入学式での教師達の長い長い話は嫌いよ。何を話しているのかよくわからないのだもの。けれど、壇上に上がった生徒代表の方を見て私は暗い気持ちが明るくなったわ。この学園にあの様な美しい方がいるなんて私はなんて幸せ者だろう…と思ったの。挨拶が始まったわ。
「知っている者もいるだろうが、自己紹介をする。私の名はディートヘルム・アルフレッドという。今日この日この学園で有望な青い芽達との学園生活が始まる。この学園では爵位は関係する事無く生活する様にしていただきたい。」
爵位も関係ないのね……私の婚約者も見つかるかもしれないわ。だって爵位は関係ないのだから。
♢♢♢
「お父様。お母様。学園の生徒代表の方が言ってましたの!学園では爵位は関係ないとのことでしたの!」
「そうか!爵位は関係ないのだな。」
「まぁっ!準備をしておかないとですわね!メアリー!ガロン!」
同じ気持ちなのね!
「楽しみにしいてね。お母様。お父様。」
♢♢♢
「ごきげんよう。メイナード・マーガレットと申します。私のことは『マット』とお呼びください。」
「おはよう。僕はロベルヴィン・エドワードと言う。先祖のおかげで貴族入りする事ができたんだ。」
貴族入りする事ができた……男爵家の者ね。男爵家の者が私の様な高嶺の花に話しかけるとは無礼も……いいこと思いついちゃった♪
『特選コースに潜入して。報告も一日に一回してね。』
「わかった。」
あら?なんか違和感が……まぁいいわ。
私に男爵家の貴方なんかが話しかけるからよ。ふふっ。
「私の人生はこれから良い方に向かっていくのね。楽しみだわ。」
「えぇ。マット様。私はマット様のために生まれてきた事がこの学園に入学してわかったのです。没落しかけた侯爵家の私を拾って下さってありがとうございます。おかげで私の家は救われました。」
「良いのよ。私は私のためにやっているだけだもの。」
「はぁ。美しい。」
平民のこの子に教えとお金を授けたら、没落しかけた侯爵家の娘という設定を作ってくれたのよね。私の周りがこんなにも優秀だなんて私って有能ね。うふふ。
「授業を始めます。席に戻ってください。」
仕方がないわね。あ、そうだわ。この学園では時々パーティー兼試験があるのよね。確か最初のパーティーはユリの月だったわ。ドレスを新調しなくちゃ。
「今日は貴方達の魔力量を測ります。呼ばれたら、水晶の前に手を翳してください。」
♢♢♢
「メイナード・マーガレットさん。」
「ふふっ。」
「終わりです。次の方を呼びます。」
なんで?
「私のレベルは?」
「後程体力、知力の試験をした後にまとめて発表します。」
ケチな教師ね。伯爵家の私に逆らったら如何なるのかわかっているのかしら?教師になるぐらいだから子爵家以下でしょ?でも、呼び出されるのは嫌ね。
「わかったわ!」
♢♢♢
「魔力測定を終えましたので、次は知力試験です。会場は第二講堂ですのでお間違え無き様お願い致します。」