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乙女ゲームは知りませんが悪役公爵令嬢が美人過ぎて辛い  作者: 無限無言
プロローグのプロローグ編
2/51

2 可愛い幼馴染でした

「アレキサンドロス・サイフォン」最近知りました私の名前です。

 

 現在3歳なのですが、思う様に歩き回れるまでの3年間、本当に辛かったです。

 2歳でも歩けましたが思う様に身体が動く様になったのはやはり3歳くらいでした。


 人生とは前世の罪を償う場である。


 前世は真面目に真っ当に生きて来たと言うのに、なんと言う仕打ちでしょう。

 すでに3年も実刑をくらっている気分です。これ以上は相当悪い事しないと喰らわない刑期ですよ。


 まぁ刑期だなんだと言ってると気分まで捕らわれの身になってしまいそうなので、気分を変えてこの3年でわかった自分の立場やこの世界の紹介をしましょう。


 先ず私はサイフォン家と言う騎士の長男らしく、貴族の末端であるものの騎士爵を持っている事で世襲出来るとの事。イギリス当たりではナイトの称号は日本の国民栄誉賞みたいな物で、世襲出来る様な物ではなかったと思いますが、この世界では違うようです。

 兎に角貴族と言う身分であり、就職の心配をしなくていいのは大変喜ばしい事です。

 同じ騎士爵家の人に自領を持つ人も居るらしいですが、田舎の騎士爵ではその収入は乏しく、貴族とは名ばかりの貧乏貴族になっている様です。

 我が家は王都守護騎士爵と言う役職であり、給料制で生活は安定しています。

 王都の民を守ると言う仕事はあるようですが、特に隣国との戦争も無いようですし、街を巡回する程度なら散歩気分で私にも出来るでしょう。

 剣術の練習はしないといけませんが、実家で稽古が出来ますし学校でも授業がある様です。心配ないですね。

 次にこの世界には魔法と言う物が存在します。

 この魔法ですが、正直言いますと私には何がなにやらわかりません……。

 本には図解で魔法についての事が書かれてましたが、魔力だとか大気中のマナだとかさっぱりです。

 そもそも「感じる貴方の魔力を増幅させ」の一文で意味が不明になりました。

 魔力は感じませんが、前世で感じていた肩こりが無いのは嬉しい限りです。

 最後に国の事ですが、私が騎士爵の長男と言った様に、この国は貴族制を用いた階級貴族社会です。

 家から出た事が無いので詳しくはわかりませんが、窓から見える行き交う人達の顔を見れば平和かどうか一目瞭然でしょう。

 この国は間違いなく平和です。


 3年間の苦行に耐えた私は……これからこの世界で!新しい人生で!前世で出来なかった怠惰な人生を謳歌する予定です!皆さん見ていて下さい?私、この世界で何もしませんから!!


 思わずこれからの人生に笑みが零れる。


――コンコン


 部屋のドアがノックされる。


「おはようアレク!今日は何して遊ぶ?」


 ニコニコと近づく可愛い銀髪の幼馴染。

 彼女は近所の公爵家の令嬢だ。

 近所と言っても相当距離はあるのだが。


「やぁテルルおはよう。今日も可愛いね」


 ちいさな身体で頑張って会いに来てくれる、満面の笑みの幼馴染。

 本当に可愛い。癒されるのでもっと愛でていたい。


 あぁ、私はこの世界で、平和で愛に溢れた怠惰な生活を満喫するのだ。


 神様、ありがとうございます。


――――

――



――そして10年の歳月が経ち、私は13歳となった。


「おはようアレク!」


 10年経っても可愛い幼馴染が部屋へ飛び込んで来る。


「あ、うん。おはよう」


「ねぇ今日もお金ちょうだい」


「……」


「早く」


「テ、テルルの家は僕の家よりお金持ちでお小遣いも多いでしょ。な、なのになんでいつも僕からお金を取るの?」


「13歳にもなって一人称ボクとかなよっこいなぁお前は!それと私の事はテルル様と呼べっていつも言ってんだろーが!殴るぞ!」


「ヒッ!た、只今お持ちします!」


 人生とは本当にままならない物です。


 あの可愛い幼馴染は見事にグレてしまいました。


 あぁ、私はこの世界で愛に溢れた怠惰な生活を送りたいだけなのに……あの可愛いテルルはもう居ないです。



――――

――



――そして2年後。私とテルル様は共に王立学園へと入学しました。




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