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天才科学者、死す

『侵入者、侵入者。現在z-4ブロックまで侵入』

 まずい。侵入者だ。やっぱり来たか。せめてもう少し後ならよかったんだけど。結局、金属とか大量に買い込んでれば、目をつけられてもおかしくない。住宅街にスパコン置いて、CIAが来たって話もあるくらいだし。

 とにかく迎撃準備をしないと。とはいっても、何がある? SAMアーマー以外に、現状に役立つ武器になるようなものは作ってない。僕の目的は兵器が作りたいとか、武力が欲しいとかじゃないからだ。逃げようにも、脱出経路もふさがれてるに決まってる。SAMアーマーのテレポート機能は、座標を設定してないから、まだ使えないし、SAMアーマーとかを保管している異空間は、人間が耐えられるような場所じゃない。

 作ったばかりでプロトタイプでの試運転しかしてないけど、これで迎撃するしかないわけだ。僕はSAMアーマーコントロールデバイス、メタモルウォッチを急いで装着する。

 そこでまずいことに気づいた。さっき完成したばかりだから、声紋を登録していない。登録しないと使えない作りになっているのに。セキュリティ対策が今回に関しては裏目に出た。まあ、セキュリティだけではなく、変身の言葉を言う口実が欲しかったとか、ほかにも細かい理由はあるんだけど。

 とりあえず急いで登録をしないと。僕はまだ死ぬわけにはいかないんだ。

『侵入者、侵入者。現在最奥部、z-26ブロックまで侵入』

 えっ、嘘。ここまで侵入者が来てしまった。まだ声紋を登録できてないのに。侵入者、たぶん殺し屋か何かは、口を開く。

「お前の発明品は強力な兵器になりうる。よそに利用される前に、排除させてもらう」

 予想通りの言葉だ。このSAMアーマーは、いくつも軍事利用できる技術が詰まってる。小さいころからのあこがれだった特撮ヒーローを再現するために今までやってきたけど、その過程で異空間物体保管技術とか、いろいろ狙われそうなこと発明しちゃったしなあ。さすがに実績が何もないのは困るから、いくつかの技術は公表しちゃったし。なるべく作ってるものがばれないように、公表する技術は選んだんだけど。

 それでも、強力な武器になる技術を持ってるくらいはわかっちゃうような情報の出し方をしちゃったかもしれない。あとは、そうだ、電気代のカモフラージュとかも不十分だったかもなあ。

 そして僕は、侵入者の持っていた銃から発射された弾丸に撃たれた。


 ……あれ?まだ意識がある。おかしいな。当たった場所や撃たれた回数を考えたら、3秒前には意識を失ってるはずなんだけど。

 恐る恐る目を開けてみる。すると、見渡す限りの白い空間。ただ、完全に白というわけではなく、方眼紙みたいに、グレーのマス目が入っている。ひょっとして、ここは異空間? 異空間とこちらの世界がつながることは、人為的にしない限り、ほとんどないはずなんだけど。

 ひょっとして、僕の機械が何か暴走した? うわあ、同じ事故がほかの人のところでも起きてなきゃいいけど……。安全チェックはしっかりしたはずなんだけどなあ。

『大丈夫だ。君の機械の暴走ではない。』

 突然虚空から声がした。いやどこ? 誰? もしかして、僕を利用しようとする別の組織? やだなあ、僕は別に争いを起こしたいわけじゃないんだ。特撮ヒーローの技術を実現して、それを使いたい、ただそれだけなのに。

『いや、私は人間ではない。君たちの言うところの神だ』

 新世界の神を名乗る科学者集団か何か? それとも超能力者とかかな。なんにしても、君たちに与するつもりはないから、とっとと消えてくれる?

『違う。本物の神だ。君は世界への貢献度が10億5000万を超えた状態で死んだ。それだけの貢献度を持っている人間が死んだ場合、別の世界に変化をもたらすため、異世界へと記憶付きで飛ばすことになっている。とはいっても、君は何も意識せず、普通に生きていてくれるだけでいい。偉大な人物は、存在するだけで周りに影響を与えることが多いからね』

 嫌だなあ。それ、なしにならないかな。世界が違えば法則も違う。僕の夢の結晶、最高傑作のSAMアーマー、要は特撮ヒーロー変身グッズが使えなくなるじゃん。いやまあ、どうせこのまま死んだら同じだけどね。

『心配無用。これから飛ばす世界は、君の世界の次に作られた世界で、君の世界の法則に魔法の法則を足した世界だから、君の機械は問題なく動くだろう。魔物とかもいて、いろいろな敵にその武器を試せるぞ』

 そんな夢みたいな世界が!? 行きます、行きます。行かせてください。うまくいけばSAMアーマーを改良だってできるかも!

『よし、ではいってらっしゃい。世界№15421456へ!』

 そして僕は、異世界へと転生した。

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