村へ
服を着て堂々と村に入った。
何も恥ずべき処は無い、股間を隠さないだけでも嬉しかった。
村は土塁と堀に囲まれた砦の様だった。
(私達の祖先の類人猿は焼き畑をした。
火をつけて森を焼き獲物を焼き殺し食糧にし、
焼けた大地に自分達の食べれる植物を栽培して、
それを繰り返し移動して生活をしていた。
その農業知識が世代を通じて伝えられ群れでの知的財産となり、
そのお陰で農業は発達し定住できる様になる、
農業によって人類は大発展をする。
農業を行うには水が絶対に必要、
河川などの水が豊富な地域は文明都市を発達させるが、
それではそれ以外の地域では、
どんな場所で人は村落を形成できるのだろうか?
答えは当然、水がある場所、
河川がなければ池が出来ていて水が溜まる場所、
それは取りも直さず地下水が豊富、
つまり土を深く掘れば水が出る場所だ。
そして、敵からの攻撃を防ぎ住民を守るには、
堀を深く作りそれででた土は土塁にして積み上げるが効率が良い、
深く掘れば水が出る、
降雨の場合は水没する可能性が高いが、
土塁で堤防の代わりになり、
その掘って出た土で村落は高台に出来る、
8200年前からその形態の人の住む村落は形成され、
それを環濠村落と呼ぶ、
この堀が空堀で水が無い場合は環壕村落と言う、
これが地域で古くから一大勢力を持つから日本では豪族と呼ばれ、
古代ではそれの勝者が国を治めていた。
私達が現在見られる城郭は戦国が終わり太平の世になって、
巨大な財力を持つ大名がその威信を保つ為に建てた物、
其処に木々が生えているのは現在の人間の都合で、
観光地として後の時代に公園だから植えた物、
出来た当時は軍事施設で、
普通に考えれば侵入者が潜める木々があるのはオカシイ、
戦国の時代のそれは当然、見通しが良い様に生えていない、
松明になる松が見通しが悪くならない場所に植えてあるぐらい、
石垣は元寇の時初めて日本に出来たが、
これは石塁と言う土塁の上に置く施設が長く大きくなっだけ、
その後消えるが観音寺城(甲賀地方)で六角氏が使い、
そこを落とした信長が安土城で採用し、
その家臣たちが戦国の大名として城を太平の世、
江戸前期に造り現在に残る。
つまり、創作物などで見られる城郭は中世では国都クラスで、
戦国でも中世でも地方の村落は環濠集落の堀と土塁が一般的)
廻りには広大な畑、多分、麦の様な植物だろう、
その廻りに林があり、
その中を外周路が通り、
そこの外側にミノルは居たのだった。
外周路を回れば警戒巡回で報酬が貰えて狩りが認められる、
数人で腕に覚えがある人間がパーティをくみ、
魔物を狩っているのだと教えられた。
畑の農作業で襲われたりの魔物襲来を防ぐ為らしい。
入り口は一つしかない、
発見場所は半分を超えた場所だから、
そのまま巡回を続けれた、
途中で帰ると報酬は無いのでその点は助かったらしい。
堀は農業溜池の兼ねていて結構大きい、
跳ね橋があり今は降りていて門番が二人、
橋の終わりの大きな扉の前に立っている、
その一人に向かって。
「見知らぬ男が全裸で倒れてラーテル襲われていたので助けました、
ギルドカードも失われていたのでギルドに連れて行きます」
武器も少し前に取り上げられた、
知らない人間を村に入れるのに武器を持っていてはマズい、
それは分かるがなんか連行されてる雰囲気が・・・・
「それでバックパックを着てるのか」
オバサン二人に笑われた。
えーー全裸の方がよかったの~~
あ、それだと確かに襲われて身ぐるみ盗られたで通用するか、
中世だもん、服も貴重で金になるから本当に身ぐるみ剥ぐんだ!
「助けて下さい」
正直に自分の今の気持ちを言った。
「あーうん、男は大歓迎だよ、一応決まりだからギルドに行ってくれ」
そう言われて通された。
門を抜けると砂の広場で市場の様で多くの人が居た。
其処にソリの様な物に商品を並べて売っていた。
砂場は今迄歩いて来た道の真ん中にずっと在り、
これはソリを引く為の砂だという事に気づいた。
文化レベルは明らかに違う中世でも車輪は有ったのだから、
完全に異世界だ。
ゲームの様に宿屋、商店そして教会と思われる建物が見えてる、
驚く事に文字が読めた・・・
嫌、そりゃ日本語や英語なら読めるが知らない文字なんだよ。
最初は記号?
と思ったが少し見てると意味が分かる、
凄いじゃん!
自動で翻訳してくれる!!
そして暫く行きかう人々を眺めていて気がついた・・・
男が居ない・・・
これだけいて少年一人と老人が二人、
それもそうかな?と言う容姿なだけで本人に確認はしてない・・
できないだろ突然話かけ「男ですか?」と女性に尋ねるの・・・
全員、俺の体を嫌らしい感じで見てくる。
あーー違和感の訳がわかった!!
男が貴重で更に若い
(俺は29だ、つまり20代!絶対に若いのだ!!)
男が居ないのだ。
だから、裸を嘗め回すように見ていて、
キモいどころかエロいご褒美なんだ!
うちらの世界で男が若い全裸の女性に遭遇した様な物で、
超ラッキーで服はよいからでそのままで歩かせる・・・
スズを見つめた。
視線を逸らす・・
うわーやっぱり途中でバックパックが服代わりになるのを気がついてた!
果実の拾っていた時、そう言えば暫く動きが停まって、
それからソワソワした雰囲気になった・・・・
中年(見た目幼女)のオバサンは何してくれるんだよーーーーーーー
門番が舐める様に体を見たし、俺だけベタベタ体を触られて、
「武器を確認」とかいっていたがあれセクハラじゃん。
男は大歓迎はそういう事か!
「言われた様にギルドに行かないと」
「すぐよ」
「あそこ」
娘たちはバックパックには気がつかなかったようだった。
やましい感じは無い。
指を刺した場所は直ぐの処で皆で中に入った、
酒場の様で昼なのに人で溢れていた、
俺は皆から注目された。
全部女性だが怖い感じはしない、
視線は確かに嘗め回し獲物を狙う感じがするが、皆、小柄だ。
女性しか居ない上に体が更に元世界より小さく可愛いのだ。
そして、そこら中にスライムが居る、
しかもドラ〇エのあのまんまの可愛い奴。
「スライムが」
「え、それが?」
「私達の世界には想像の世界の生き物です」
「「「「えーー」」」」
驚く4人。
「それは後で、先ずギルドカードよ」
娘たちの話をさえぎった。
「嘘を言わないで分からないで良いです、後は私が話をします」
ミノルを連れてギルド担当者の前に来た。
担当者は巨乳のオバサン東洋人で美人だ。
「外周路でラーテルに襲われてる全裸の男性を助けました。
酷い目に合わされたのか、状況が分からないのですが、
ギルドカードを発行すれば判ると思いますので登録をお願いします」
「そうか・・・可哀想だなそれは・・・」
なんか俺、レイプでボロボロにされた女の子扱いな気が・・・
「ギルドカードは分かるか?」
「いえ」
驚いた顔をした。
「そうか・・でも喋れるなら話は早い、名前を書いて」
スマホを出した・・・・・
何で中世の田舎にスマホがあるんだよ!!!!!
「ギルトカードよ分からない??」
廻りがざわつき出した。
俺は多分、完全に違う世界に居る、
魔法が有り外にはモンスターがいる世界だ。
RPGの様な世界だろうけど現実の場所にいると思える、
兎に角、痛みは本物だ。
お遊びのゲームならユーザーに実際に、
鋭い牙で噛まれる痛みは軽い物にするだろう、
アレは激痛だった・・
現実なら俺は此処で拒絶されたら生きては行けないだろう。
ここは助けてくれたサト家の人を信頼し、
スズさんの言う様に分からない振り・・・嫌。
実際に分からないのだから嘘を言わずに任せるが良いだろう・・・
スマホを手に取ってみた。
カードと言えばそう言える程ほどの薄さで片手で操作しやすい、
一世代前のモデルの大きさだろ、
黒い画面を触ると白い後が付いた。
あーこれは指で文字が書ける、
自分の名前を書いてみた。
おー知らない文字が書ける!!
書く方も自動でやってくれるのか?!
「そこに一滴血を足らせ」
え、血を出すの?
スズさんが小さなナイフを渡してくれた、
これは断れる雰囲気で無い。
一滴ならと指先を刺した、チッくとした痛みで血が落ちた、
数滴でてしまった。
「ヒール」と自分で直した。
「「「「「えーーー」」」」」」
廻りが驚愕する声がコダマする。
え、俺何か失敗した???
「凄い短縮詠唱」「都の有名魔法使いか?」
「何でこんなところに?」
皆が色々騒いでる・・
短縮詠唱って・・・え、だってスズさんだって、
「ライト」の一言で魔法使ってるじゃん!
え、なんで??秘密なの???
「どうですか?」
廻りの騒ぎは無視してスズは担当者に聞いた。
「おおー凄いな戦士、格闘士、狩人に僧侶と火魔法使いがあるぞ!」
スズは巨乳の担当者を睨んでる。
「お、名前は間違えないギルドカードは機能してる」
「では魔族で無いは証明されましたから、
私が保証人でカードを発行してもらっても良いですね」
「ああ、料金を払うのはサトさんでよいのか?」
俺は無一文だ服さえなかったのだから、
今は持ってるのは服だけだ・・・バックパックだけど。
「はい、これで」
スズさんは金袋を逆さにして全てを出した。
担当の巨乳さんはそれを数えて言った。
「足りないぞ」
貧乏なんだ~~スズさんスイマセンです。
「ユキ!」
「え~~私~~」
狩人でないのに妹二人は後で気配を消している。
「母さん、全然足りないじゃ無いの!」
廻りから、クスクス笑いが聞える。
「ほい。これでギルドカードが登録でこの村の住人だ」
ギルドカードを貰った。
名前と職業が出てる、
時間と方角も分かる、
凄いなこれを皆持っていれば、
身分証と時計と方位磁石が全ての人が持ってる事になる、
中世じゃないぞこれ、
「これ電源はどうなってるんですか」
「電源?」
「行きますよ」
そうか、多くの人がいる場所で俺みたいの不審者の会話はマズいのだ。
「ちょっと待てよ」
ミノルに近いが少し小さい体、
この中では明らかに一番大きい戦士姿の中年の女性が言った。
「ラーテルはどうしたんだ、一番重要な事だろ」
スズは「マズい」という雰囲気が出てる、
「そうです。
報告は後でと、
早く彼を休ませて上げたかったので、
しかし、これは遅れてはマズいですね。
ラーテルは群れで7匹、目視で確認ですが居ました」
廻りはざわつき出す。
「それで何故そのメンバーで追い払えるんだ」
迫力があるこの人、
「それはミノルさんが一匹を速攻で倒して、
その強さに加えて、新たに4人の人間が救援で警戒して逃げたからです」
スズさんは全く動じない。
ミノルは気がついた。
本当に異世界から来たならどうなる?
もし自分達の世界に魔法が使える全然異次元の文明を知ってる、
人間が現れたらどうなるだろうか?
魔法で時間や空間を操れたり、火が出たり、
人の怪我を魔法の様に直したり・・・
自分達の常識外の新しい分野の知識、
電気の発見を超える、人類を激変させる可能性がある、
正直に異世界人が「異世界から来た」
「魔法が使えないですか?」
なんて喋ったら、
世界が驚愕するニュースだ。
国家レベルでその人物は確保されて、
徹底的に調べられる、
空に浮く、時間や空間を操れる、傷を直ぐに直す、
生き返らせれる・・・
ゲームの魔法が使えたら・・・・現実ではとんでもない事。
他国もそんな人類の文明レベルで大変換する知識を、
その国に独占はさせる訳が無い、
奪回、他国が強国になりで世界を指導していく事を恐れて、
暗殺を試みるかもしれないから、
厳重に管理、つまり、刑務所に入れられるのと一緒だ、
楽しい冒険なんて甘い事を言っていれる訳が無い。
逃げても他国も国家レベルで確保しようとするから、
もう、実験モルモットの人生となってしまうだろう・・・
これはこちらの世界でも同じ、
俺は電気や核爆弾の事を知ってる、
この中世でその知識は勿論、直ぐには夢物語で役に立たない、
俺は電気や核に詳しくないが、
結論でそれが光、熱、動力、電波で通信が出来、
パソコンになる事、核兵器で都市を壊せるを知っている。
答えを知ってるのだから、その者から、ヒントを得れて、
実証していけば何れこちらの学者も出来る様になるだろう、
天才と言われて歴史に残る偉人はその発想で発見をした。
それが凄いのだ、
「最初からこの感じで造っていけば、
最後にこんな形で私達は使ってます。」
と俺は答えのヒントを知っているのだ。
異世界から来たは秘密にした方が良い。
実際に何で来れたか?
どうするのか?
此処は何処なのか?
誰が行ってるのか?
何も「分からない」のだ、
正直に嘘の無い事を言えば「分からない」だ。
スズさんは門番を通り、
ギルドに行き、
ギルドカードを発行して貰う、
これで俺を家に連れて行き、
一応、安全になる。
情報を漏らさないよう分からないで通すが一番良い、
嘘はマズいが「分からない」と言っておけば、
相手は自分なりの推測で納得して済んでしまう、
それが狙いだ、俺は明らかに怪しいし規格外なんだろう・・・
「ララ、報告して任務は完了しました。
支払いをお願いします」
「警戒巡回でいつもの千メタとラーテルを発見だな、
これは実際の数次第で変わるから、討伐後だな、
討伐には参加してもらうぞ」
あーこうなるのを分っての事だったのだ。
報告を後だから支払いが無い、
だからあてにしていた金が無く持ち金が足らなかったのだ、
先ず、俺は家に確保で皆の目から離す、
ボロが出るとマズい、
自分も未知の存在なだけにじっくり話をしてから、
どうするか考えたかったのだろう・・・
「勿論当然です、只、彼を休ませたいので・・」
「スズ、昼だからもう畑仕事は終わってる、
時間は焦らないが日が沈むまでには討伐しないと、
明日の朝の農作業で襲われる人が出てはマズい、
3時間で来てくれ、火魔法使いで僧侶迄あるなら、
後衛でハンサム君にも頼みたいから話をしてみてくれ」
「ガガ・・うん、そうね三時間で来るわ」
5人はギルドを出た。