表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いねむりひめとおにいさま【プロット版】  作者: つこさん。
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/124

邂逅と後悔・1

新しいターンです


PCの充電が落ちそうであわてて上げたので今回短めです、すみません




「膝を上げて、リヒャルト」


どこか懇願を含んだ声でイェルクが言った。


「君の返事を聞くまで、上げられない」




雨がはっきりとした形を取り始めて二人を濡らした。

互いに見つめ合ったまま目を逸らせなかった。

リヒャルトは自分がずるい人間だと知っている。

答えようのないイェルクの心も知っている。




「僕は…」

なにかを言おうとイェルクは口を開いた。

けれどそれが何かはわからなかった。


「…僕は」




次第に本降りになった。

その場につなぎ留められたようにふたりは動けなかった。

どれだけそうしていたかわからない。

気が付いたときはイェルクはスヴェンに揺さぶられていた。



「おい、イェルク!…ふたりとも何してんだ!」



引きずられるようにして事務棟の入口へと連れていかれた。


そこには騎士のシーラッハ氏を含め、全員が揃っていて、なにか奇妙なものを見たかのような表情でびしょ濡れのイェルクとリヒャルトを見つめた。


「…戻ってこないから何してるかと思えば…いったいどうしたんだ」


訊ねる声にイェルクもリヒャルトも答えられなかった。



「…日を改めましょう。

行こうか、ドレヴァンツ」



どこか達観したような澄んだ声でシーラッハ氏が言い、立ち呆けていたリヒャルトの腕を取って歩かせた。

入口をまた出る際、リヒャルトが振り返り、イェルクを見た。




目が合って、なにかを言おうとイェルクは口を開いた。

けれどそれが何かはわからなかった。




****




ふと目を離したすきに、丸屋根四阿(パビリオン)の外が見えなくなるくらいのざんざん降りになってしまい、どうしようかとユーリアは思案した。

せっかく無理を通してまで連れてきてもらった王宮の中庭だというのに、大きなガラス窓を叩きつける雨はその中のすべてのものを隠してしまった。


「…困りましたね、外がこれでは」


外気が冷たくなり、侍女のカーヤは用意してあった火鉢に火を入れた。

困惑した声のヤンを見上げて、ふと、ユーリアは動きを止めた。



「…あの。

描いても、いいですか?」



王宮ならではの素材のヤンは自分に向けられたその言葉に、「え、わ、私ですかっ?!」とすっとんきょうな声を上げた。




****




外はまるでエルヴィンの心を表現しているかのようだった。



「…完璧だな」

「ああ…」

「こんな見事な診療計画は見たことがないよ…」

「当たり前だ、我々の叡智が詰まっている」

「あとは当日か…」



どうやら話はまとまったようなので、そろそろ開放してもらえないかとエルヴィンは様子を窺った。



「まて…当日雨が降ったらどうする?」



場が凍った。



「なんてことだ…」

「…全く盲点だった」

「…これは、代案を考慮せねばならないな」

「腕が鳴るな…」

「今日は徹夜かな…」



かえりたい。

エルヴィンは心で泣いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アンケートは終了しました。ありがとうございました!!!


結果は第二部「居眠り姫と王女様・1」の後書きです。



スピンオフ作品


わたしの素敵な王子様。[短編]


君の愛は美しかった[連載]



いただいたショートストーリー


●ルーシィさんの異世界単訪●本日の単訪先は!!『いねむりひめとおにいさま【プロット版】』だにゃ♪ 提供:アホなゴブリン('ω')

いただいたインスパイア作品


童話【居眠り姫と王子様】 作者:もふもふもん

i394257

バナーをクリックすると設定資料集に飛びます。

バナー提供:秋の桜子さま ありがとうございます! script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ