居眠り姫と法規の司・3
ブクマ増えてる…((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
あ、ありがとうございます…!!!
いろいろこう、なんかこう、がんばります!!!
若干挙動不審の状態でルドヴィカは自室から玄関へと赴き、そっと扉を開けた。
「どこいくの?お嬢様」
めちゃくちゃ近い背後でザシャの声がして目に見えてルドヴィカはびくっとした。
きしんだ音がしそうなくらいぎこちなく首をめぐらしてザシャの姿を認めると、ルドヴィカはエイリークをことさらぎゅっと抱きしめ、目を逸らし気味に「…っ…ツェーザルのところですわっ…う、馬を見せていただきますのっ」と呟いた。
「…ふ~ん」
ザシャは胡乱な目でルドヴィカを眺めた。
「じゃ、俺もついてくかな」
「えっ?!」
「俺もツェーザルに会いたいし~」
「ザシャはいつでも会えますでしょう?!」
「お嬢様だって会えんじゃん~」
「………」
半端なくそわそわしてルドヴィカはいろいろ思考をめぐらせたようだが、どうにも打開策がなかったらしく、「わたくしが先ですっ」と言って外へ飛び出した。
一生懸命てちてち走ってルドヴィカは厩舎へ向かったが、ザシャは普段の歩くペースで容易に追いつけてしまって、可哀想だから半歩遅れてあげた。
「ザシャこないでっ」
「なんで~?」
「なんでもですっ」
ザシャが遅れてあげたお陰でちょっとだけ早く厩舎管理室に駆け込めたルドヴィカは、扉を閉めて背でおさえた。
「あれ~、開かない~」ザシャはとりあえずのってあげた。
「ツェーザル!ツェーザル!」小声で必死にルドヴィカが呼ぶと、厩舎からツェーザルが顔を出して目を張った。
「どうなさいました、お嬢様」
「これ!」
ルドヴィカは折りたたまれた便箋をエイリークから取りだして差し出した。
「あとで厩舎でこっそり見て!ザシャにばれちゃう!」
とりあえずツェーザルは受け取って胸ポケットへ入れた。
空気を読んでそのタイミングでザシャはルドヴィカバリケードを突破した。
「なんだよ~、お嬢様がいたから開かなかったのか~」
「ザシャ、母屋に帰りましょう!」
「え~、まだ馬見てないじゃん?」
「今日はみんなお休みです!戻りますわよっ!」
一生懸命ザシャを押してルドヴィカは母屋へと帰って行った。
残されたツェーザルは便箋を取り出し、開いて見た。
ルドヴィカが考えた6匹の子猫の名前が書いてあった。
ツェーザルの目が緩んだ。
****
イェルクが警らとして残ろうとしているということは、7班の中では知られるようになってきていた。
それに伴い少し張り詰めていた空気は穏やかになり、これまでと同じ生活に戻れたのではないかとイェルクには感じられた。
テオと話すまでは。
「なんで残るの」
切り裂くような響きの言葉だった。
「お前貴族じゃん、いけよ」
薄ら笑いで投げつけられた声に、イェルクは信じられないものを見るようにテオを凝視した。
今まで彼がそんな酷薄な顔をイェルクへと向けたことなどないし、ましてや位を取り上げて述べることなどあり得なかった。
テオはきっと、
きっと歓んでくれると、思っていた。
頭の奥が灼き切れたように真っ白になった。
しばらく呼吸の仕方も忘れて、苦しくなった胸が悲鳴をあげた。
うそだ。
テオはそんな顔はしない。
そんなことは、言わない。
は、とひとつ大きく息を吸ったら、追いかけてきた時間がイェルクの背に冷え冷えと襲いかかってきて、イェルクは怖くなって、そこから走った。
冷たいテオの目から、逃げた。




