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いねむりひめとおにいさま【プロット版】  作者: つこさん。
第一部

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シャファト家と在りし日の想い出・5

「…ツェーザルは結婚とかしたりしないの」

「……………………。

………………なんで」



エルヴィン医師が帰った後で 厩舎に赴き、馬具の整備を黙々としているツェーザルの横にでかい体でしゃがみこんで作業を眺めていたザシャは、おもむろに訊いた。



「うん、気になって」

「 ……………………」

でかい体でなに乙女みたいなこと言ってんだこいつ、とツェーザルは心の中で無表情のままつっこんだ。



「いや、人生設計みたいの?どうしてんのかな、と思って」

「 …………………なぜ突然」

「うーん、エルヴィン先生が、なんか親から見合い勧められてるらしくて。

それで、なんかそういう話になった」

「 …………………なぜ俺に訊きに来る」

「いやツェーザルは人生としてもここの従僕としても先輩だし。

どう考えてんのかなー、て」

「 ……………………」

追っ払いたい。



「 …………………知らん」

「いや自分のことでしょー。

それでなくともここの未婚メイドには人気あんのにさー」

「 …………………。

…………………知らん」

「あ、まじで知らない感じだ?え、ツェーザルめちゃくちゃ人気あるよ。

なんか仕事に打ち込む姿が素敵、とか。

あと馬に微笑みかけてる顔がかわいくて萌えるとか」

「 ……………………」



ツェーザルは立ち上がって逃げた。

「え、なに真っ赤になってんの?てゆーか答えてくんないのかよー」



****



「おまえもう帰っていいぞ」と出勤後二時間で言われた。



「…なんですって?」

「今日はもういい。

トビアスも起きたら帰らせる。

さっさと帰れ」



いや、たぶん本気なんだろう。

この人がちゃんと仕事すれば秘書をふたりも抱えなくていい。

なんだってこの人なら全部自分ひとりで回せる。

それなのにやらないから、下の部下たちにしわ寄せが行かないようにユリアンたちが存在するのだ。



ユリアンはため息を吐いた。

「…なんで普段からそうしてくんないんですかね、あんたは」

「おれが働いたら、朝廷から仕事なくなるじゃん。

経済回すための分かち合いの精神てやつだよ」

「 …………………」

素で言っているが、本当にそうかもしれないと思うくらいにはユリアンは上司を買っていた。



「…ここは素直にありがとうございますと言いましょうか。

恩に着ますよ、ヴィン」

「大丈夫だよお義父さん。

ここはおれに任せて、おれの嫁を頼む」

「やらんと言ってるでしょう!!!」


なにが恐ろしいって、もしこの軽口が本気だったら絶望的だということだ。



早々に辞して、ユリアンは正門へと向かおうとしたが、ふと思い立って王宮へと続く廊下へと歩みを進めた。


せっかく時間ができたのだから、会ってみようかという気持ちからだ。


王宮騎士団の第二師団駐兵所へと向かった。



****



…むさっ…。



うわむりだわー、これいろいろむりだわー。

仕事でも一度も来たことのない区画の、本来なら生涯訪れることもなかったであろう場所へと自分から赴いて、ユリアンは大変失礼な感想を抱いた。



だってさぁ、ムキムキだよ?しかもなんかもれなく皆半裸だよ?どいつもこいつも汗かいてんだよ?これむりじゃね?



見た目明らかに文官のユリアンが来たので、何人かは自主訓練と思われる何かの手を止めて駐兵所と廊下の境目に目をやった。

ひとりが駆けてきて用件を訊ねる。



「国璽尚書秘書のシャファトと申します。

もしお時間が許せば、師団長殿とお話したい」



目を見開いて「少々お待ちを」と騎士は取り次ぎに行った。

持つべきものは肩書と朝廷内の地位である。


ややあって、先ほどの騎士と共に小柄な金髪少年が一緒に走ってきた。



「お待たせ致しました、ユリアン・フォン・シャファト様でしょうか?」

はい、そうです。

「はいユリアンです」

「私は第二師団長エドゥアルト・キュンツェル様付きの小姓、カミルです。

主もただいま参りますので、宜しければこちらへ」

小姓のカミル君は息を弾ませたまま先導した。

えらいなぁ、ルイーゼと同じくらいかなぁ。



案内されたのは駐兵所内ではなく、廊下に戻ってすぐにある客間だった。



茶を淹れていただいて、ユリアンは感心した声で言った。

「えらいねぇ、カミル君、君いくつだい?」

「…13です」

「きっと小さいころから小姓をしていたのだろう」

「はい…7つから」

「7つ!!!」

控えめに言ってもユリアンはびびった。



7つとかあれだ、ウチの息子は庭でばったとか捕まえてた。



「よく努力したね。

君は本当にえらいよ、立派だ」

娘とひとつ違いということで無駄に父親目線でユリアンは言った。



カミル君は俯いて、なにかこらえるようにしてから、「…ありがとうございます」と呟いた。



しばらく特に中身もない会話をしていたら、扉がノックされた。



「――お待たせしました、シャファト秘書官。

第二師団師団長、エドゥアルト・キュンツェルです」



なんかめっちゃキラキラしてた。



テオかいてたらがちで泣けてきてほのぼの回かきました


ザシャとユリアンは…ほんと、動いてくれて助かる…

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アンケートは終了しました。ありがとうございました!!!


結果は第二部「居眠り姫と王女様・1」の後書きです。



スピンオフ作品


わたしの素敵な王子様。[短編]


君の愛は美しかった[連載]



いただいたショートストーリー


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いただいたインスパイア作品


童話【居眠り姫と王子様】 作者:もふもふもん

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