居眠り姫と夢見る絵描き・2
ビンデバルト氏を迎えるときの比ではないくらいのそわそわ感で、起きている午後の間中部屋の中を歩き回り、ラーラから「お疲れになるのでやめてください」と窘められたルドヴィカだが、椅子に座ってはみるもののやはり気持ちが落ち着かず、立ったり座ったりを繰り返した。
苦笑したザシャに「一緒に馬小屋の掃除でもするか?」と言われたので「それもいいわね」と立ち上がったら慌てて冗談だと言われた。
ルドヴィカの部屋には今、一枚の絵が飾られている。
先日ビンデバルト氏からもらった人物画だ。
なんと、今日はその絵を描かれた方と『いねむりひめ』の打合せをするのだ!!
「いやーーーーーーーーー!!!」
ラーラがびくっとした。
どうしようどうしようどうしよう。
まあ、ご本人様がみえてしまう。
ああああ、どうしよう。
複数提示された挿絵は、どれも美しいものだった。
その中でもう、ひと目見たときからもう、なんていうかもう、とにかくもうルドヴィカの心をわしづかみにして捏ねくり回してオーブンでこんがり焼いてくれた絵があった。
素敵すぎる。
いや、素敵がすぎる。
どうしよう、どきどきが止まらない。
この絵を描かれた方が、『いねむりひめ』の絵を描いてくださるかもしれない。
自分が書いた作品に絵がつくというだけで、ルドヴィカ観測史上最大級の幸福前線だというのに、なんとそれが自分好みだとしたら。
「…悪くない人生だったわ」
晴れやかな微笑で遺言をしたためようとしたルドヴィカに、なんとなく察したラーラがため息交じりにそれを制した。
今日で書き始めて1週間です
思いつくままに筆を滑らせている作品ですが、たくさんの方が読みにきてくださっていて本当にありがたく思います
今後もルドヴィカたちが動くままに書きたいと思います
読んでくださり感謝します




