居眠り姫と辣腕編集・5
読んでくださりありがとうございます。
励まされてます。
合間時間で書いていますのでお見苦しい点あるかと思いますがどうかご寛恕ください。
人生初の二日酔いに、イェルクは全力で抵抗していた。
なにこれだるい。
頭痛い。
めちゃくちゃ喉乾いてるのにトイレ行きたい。
なんか吐きたいのになんか食べたい、特にしょっぱいもの。
なにこれだるい。
頭痛い、しんどい。
なにこれ意味わかんない。
ひとまずトイレ済ませてから自室から出て、なんかよくわかんないけどとりあえず壁伝いに歩いて、行き会う使用人に心配されて、なんかよくわかんないけどなんか応えて、部屋付き侍女に「だめです、お戻りください」とか言われたけどぜんぜん大丈夫じゃないけど「大丈夫」とか言って、目的もないのに玄関の方向へ向かった。
ちゃんと考えれば目的はあって、「もーそろ勤務時間じゃね?間に合わなかったらいろいろこわい」というものだったけれど、とにかく頭がぐわんぐわんしていてよくわからなかった。
階段を降りるあたりでなんとなく格好がつく体で背筋を伸ばせたけど、手すりを頼りにしている時点でアウトだ。
でも僕は行く、仕事があるんだ!
そう思って顔を上げたら、なんか知らない人と目があった。
なんかちょう睨んでる。
誰。
「貴男は――いや、貴男が、イェルクか?」
なんかよくわかんないけど訊かれた。
はいそうですイェルクです。
なんで「はいそうですイェルクです」と答えた。
するとなんかちょう睨みながらその人は近づいてきて、目の前にくるとさっと右手を出した。
条件反射でこちらも出したらちょう固い握手になった。
「貴男とは、また時間を取ってお話したい。
ルドヴィカ嬢の作品に対する貴男の指摘には敬服する。
貴男はきっと良い編集者になると思う」
なに言ってんのかさっぱりわからなかったけどなんか褒められてるのはわかったんで、「ありがとうございます、恐縮です」とだけ言った。
なんかその人は帰っていくところらしかったので、「どうぞお気をつけて」と言っておいた。
また来るとかなんか言ってた気がする。
そんで見送ったあと、なんかルイーゼが「今日の夜勤はお休みです」とか言って、まじかよ、と思って「まじかよ」と言ったら「まじですわ」とか返してきた。
じゃあ寝よう、おやすみ。




