どうやら魔王の方らしいです
さて、異世界に来たのでとりあえずクラスチェンジします。
「仕方ない。貴女を穢すのは後にしましょう!」
娘を穢すとかいうなよかーちゃん、、、。
まぁ、義母なんだろうけどさ、、、何かストレートすぎて切ないわ。
とりあえず宿を出て、さっさと目的地に向かうことにした。
「とりあえず、クラスを確定させて、そこから穢して、それでもって、、、」
「そこから穢して、とかついでみたいに言わないでよ、、、」
私にとっては、32年守ってきたものを、そんな雑な感じで奪われたらトラウマになる気がする。
流石に、もう、愛した人がどうのとか、幻想に浸るほど若くないので、ある程度の諦めはついているのだが。
ようは、処女のままだと、誰にでも私の力を移せるから、命狙われ放題なので、せめてそれをなくそうという事なんだろうけど。
「あんたも、いろいろ細かいねぇ。かーちゃん、そんな育て方したかなぁ?」
「多分、本当の親に怒られる程度には育て方失敗してると思うけど。」
「え、どうしよう。帰るのやめる?」
よくまぁ、自分の愛娘をこんな雑な神官に託したものである。
「そもそも、ドワーフの女性は身持ちが固いんじゃ無いの?もう少し恥じらいとか無いわけ?」
なんか後輩が言ってたので聞いてみる。
「ああ、それ?それはね、結婚したら、浮気は厳禁。浮気は死罪。って決まってるから、そんな噂が流れるのかもね。」
「つまり、結婚してなければ、どうということはない、と?」
「簡単に言えばそうね。そういう意味では、あちらの世界では不思議かもしれないけど、このドワーフの国ではデキ婚が多いのよ。
結婚は、神に誓うもの。それを違えることは、死をもって償うべきもの。だから、一度結婚したら、離婚も禁止されてるわ。たとえ相手が死のうともね。」
そこまで極端なのか。でも、死んでもダメってやばくない?
「えー、、、未亡人とかどうするのさ。」
「じゃ無いと、浮気したくなったら、伴侶を殺す人が続出するし。」
まぁ、そうかぁ、、、
「でもまぁ、その辺は、色々あるから。また今度教えてあげる。」
そんな話をしているうちに、協会らしき場所についた。
「でかっ」
第一印象はそれ。
あまりのデカさにびびる。
「協会は力の象徴でもあるからねぇ」
のほほんとしながら、母は教会の中へと入る。
「こ、これは、カミーナ様。よくぞこんな辺境まで、、、」
出迎えたのは、なんか耳の生えたいわゆる獣人。
歳は相当とっているらしく、毛並みには白髪が混ざり、腰も多少曲がっているが、立派な神官服を着ていることから、そこそこの地位はあるのだろう。
「かーさん、知り合いなの?」
「ふっふっふっ。こう見えても、高位の神官だって言ったでしょー!」
なんか、偉そうな母。
あれ?
「なんか、少し若返ってない?」
母の顔から、シワが減っている。
髪の感じも、艶が多く見えたのだ。
魔法で若返ったりとかできるのかな??
と、思ったら、
「あんたもねー」
私も?
ここに着てから、鏡なんて見てないからわからないけど、言われてみれば多少肌の艶が良いような。
「向こうとの時間の進み方が違うから、多少補正されてるのよ。」
「へぇ、どの位?」
「うーん、はっきりはわからないけれど、向こうでの十年がこっちで五年くらいじゃ無いのかなぁ?」
まぁ、どの程度補正されるかは、よくわかってないのだけどね、と、母は首を傾げた。
30年近く向こうにいたのだから、こっちでは15年くらいたってることになるのかな?
良し。
32歳の行き遅れかと思ったけど、適齢期になれるかもしれないことに、小さくガッツポーズをしたのは内緒である。
「カミーナ様、こちらに」
案内された先、立派な祭壇が有った。
先に連絡が入っていたのか、準備は万端なようである。
「ありがとう。これなら完璧ね。さぁ、マリ。ここに立って。」
私は、促されるままに中央に立つ。
と、それと同時に。
カッ
私の周りで閃光が走り、同時に母が頭を抱えた。
老神父は、あからさまに狼狽える。
「そんな気はしてたのよね、、、。」
頭の中に響く声。
『クラスチェンジが完了しました。
あなたのクラスは、魔王です』
やっぱそっちか、、、
予想通りの展開です。
因みに、デキ婚の多いドワーフっていうのはうちの適当な設定ですので、ご了承下さい。




