異世界へ里帰り
やっと異世界に着きました。
『転移を開始します。』
機械的な声が響く。
『転移に伴い、最適化を行います。』
『スキルの取得を開始。』
おお、これが転生、転移ボーナスってやつか!
噂には聞いていた、というか、小説で読んだことあったけど、本当にあるんだなー。
出来れば、異世界で生き抜くのに便利なやつ下さい、とか思う。
例えば、何があったかなー、とか考える。
しかしまぁ、急すぎてあまり思い出せない。
『エラー発生』
エラー?!
『リトライ』
『不足分を世界の魔力で補います』
エラーってなんやねん。
『基礎能力の設定が完了しました。』
『追加でスキルの取得が可能です。』
『希望のスキルを入力してください。』
入力??とは言われても、目も見えなければ、キーボードも無いけど。キーボード無いと入力できないでしょ。
『スキル取得可能。スキル、キーワードを取得しました。』
何だよそれ。
ちょっと待て、キーボードとキーワードを聞き間違えてるし!
あかん、あかんやつやこれ。
下手なことしたら意味不明な解釈でスキルつけられてしまう。
どこぞのオッケーぐるぐるじゃ無いけど、発音悪かったら大失敗しそう。
『続けて、圧巻、愚弄を取得。統合して愚者の威圧に進化。大失敗が見つかりません。類似スキル、成功率操作を取得。』
あああ、待て、ダメだしっ!
これ、スキルによったら人生積むのに。
こいつ、誤変換ヤバすぎるやろ。
『駄目押し、変換を取得。統合して、ラストアタック補正を取得。罪の恋というスキルは存在しません。類似スキルとして、恋を誘発するスキルを検索。魅了を取得しました。』
違う、魅了じゃ無い。生き延びるための能力だってば!!
もっとこう、あれだよ、小説で出てきたのなんだっけ???
そう、賢者とか無理?状態異常無効とかは??
『双剣無双、状態異常無効を習得。』
双剣無双って何や。
やばい、このままでは希望のスキルが状態異常無効だけになってしまう。
何があれば生き残れる??
アレか?金???
『上位スキル錬金術を取得』
惜しいけどなんか違う!!!
『上位スキル取得により、以下の、、、』
まだまだ続きそうだが、ものすごい眠気に襲われ、意識が白濁した。
意識を失った時間はよくわからないが、私は簡素なベットで寝ていた。
形を見る限り、日本でそうそう見れるものではない。
アニメや漫画で見たことがある、そんな部屋。
異世界に召喚されたら、知らない街や森の中っていうのが定番なのではないのか。
少なくとも、小説ではそういうの多かったけどな。
ああ、でも、見つけたとか言って召喚されたんだし、召喚した相手が、ベットに寝かせた説もあるな。
後輩たちのおかげで、無駄に心の準備ができていた。
なので、たとえここが異世界でも、まぁ仕方ない。
騒ぐより、とにかく生き延びないと。
ガチャリ
ドアの開く音。
「、、、、マリ!!気がついたのね!!!」
...。
そういえば、こっちの世界に飛ばされる寸前、なんか聞こえた声。
怪しいあの声とは違い、聞きなれた声。
数十年聞き続けた声。
しかし、普通異世界へ来るなら、イケメンとかが同行するべきだろう。
これは、さすがに残念すぎる。
「お母さん、これ、どういうこと?」
まさか、親同伴で異世界へ来ることになるとは。
「無事で良かった!」
私の質問は無視して、頬擦りをする母。
過剰なスキンシップだが、うちの母は昔からこんな感じだ。
「お母さん、説明してよ。」
もう一度説明を求める。
「ここにきてしまったからには、隠してもしょうがないわね。」
諦めた様子で、母は、言った。
「今まで隠しててごめんね。貴女は、人間じゃ無いのよ。そして、今まで暮らしていたのは異世界。
貴女が生まれたのは、この世界なの。」
「やっぱり、本当だったのかぁ、、、」
後輩たちに言われた時は信じられなかったが、流石に実の母親が異世界で説明をし始めたら、もう疑いようが無い。
「詳しくは後で説明するけど、まず、貴女、スキル手に入れられた?」
スキル?ああ、あの夢のやつか。
「なんか夢の中で、誤変換しまくりのオッケーぐるぐるみたいなやつに話しかけられたアレ?」
「、、、誤変換?」
「キーボードって言ったら、キーワードとか取得し始めた感じ」
あからさまに顔を顰める。
「その様子だと、なんか変なスキルを取ってしまったみたいね、、、キーワードなんて聞いたことないわ。」
こんな事なら、ちゃんと教えておけばよかった、とボソッと呟いたのは聞かなかったことにしよう。
「ステータスを確認してもらえる?
ステータスって唱えてみれば、多分目の前にモニターみたいなのが、、、」
ああ、あれね。
「わかった。やった事ある。、、、ステータス!」
種族:ドワーフ
レベル:1
使用可能スキル:
成功率操作
魅了
愚者の威圧
状態異常無効
双剣無双
ラストアタック補正
錬金術
キーワード
うむ、意味わからん。
そのまま伝えるが、聞いた事ないものばかりで、母も首を傾げている。
「分かるのは、魅了、状態異常無効と錬金術、成功率操作くらいね。他は知らないけれど。」
話を聞くと、錬金術と成功率操作は便利なスキルではあるが、熟練度が関わってくるし、しかも、できることはポーション作ったり、アイテム作ったり、という事らしい。
「貴女はドワーフだから、成功率操作とか、錬金術は持っててもおかしくないわ。」
しかも、スキルとは狙って使えるものとそうでないものがあるらしい。
「魅了は、精神支配の能力だったと思うけど、相手との力の差であんまり使い勝手のよくない能力だったような?まぁ、私もあまり詳しくないのだけど。とはいえ、仕方ないわね。あとで調べましょう。」
母は、お腹がすいたでしょ?と言いいながら部屋から出て行った。
なんか、思ってた転移とかスキルとかと違うなぁ。
もっとこう、がっつり強いのが欲しかったなぁ。
てか、強そうなスキルってどれよ。
双剣無双って、一昔前のモンスターハンティングとかのゲームじゃあるまいし、、、
私、双剣持って戦うの?流石にそんな体力使いそうなのは勘弁なんだけどなぁ。
32になって、今から武器修行は辛すぎる。
やれやれ。
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