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そもそも私が異世界人だった  作者: 亘理朝夢
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後輩くんのクラスチェンジ

とりあえず、まずは後輩くんのために教会に行こうということになった。

後輩くんがエルフなのはわかるがクラスとしては何に当たるのか、全く見当がつかない。

もうできることを考えるとおそらく魔導師ではなかろうか。


「やっぱりゴブリンって緑色で小さくて棍棒を持っている感じのやつ?」

「そうそう大体そんな感じの認識で合っている。ゲームとかに出てくる緑色のやつね。ただ結構凶暴なんで、人を攫ったり殺したり食べたり、村のそばにいると大迷惑だから駆除の依頼とかが出るわけ」


おおっ!漫画の知識通りじゃないすか!

人を殺すと聞いても、何となく楽しくなってしまう。やっぱりゲームみたいに雑魚代表なのかな?


「そんなに強くはないし、あんたみたいに魔王の力を持ってたら全く心配するようなことでは無いけどね。」

「あーそういえば、俺も異世界転移のボーナスで、結構いろいろ魔法使えるんですよ!」

「あ。あのオッケーグルグルもどき!?」

「へ?いや、なんか、真っ白い空間に、なんか神様っぽく無い服装の青年がいて、欲しいスキルとか色々聞かれましたけど。」

「はぁ?なにそれ。ちなみに、かーちゃんは?」

「私は、プロテクトかけて移動してるので、そんなに大したことは起きませんよ?」


どういうことだ。

こんな意味不明なことになってるのは私だけっぽい。


「何ですかそのオッケーグルグルもどきって。」

「いい、何でもない……」


とりあえずその話は置いといて。

まずは後輩(レオンハルト)のクラスチェンジが先かなぁ。

そもそも、クラスチェンジとか言われても、人間育ちの私にはしっくりこないんだけどね。

そんな話をしている間に協会についた。


「すみません、クラスチェンジしたいんですけど。」

「あーはいはい。そこの真ん中に立ってくださいねー。」


入ると、懺悔室の横で本を読んでいた眼鏡のシスターがニコニコしながら祭壇の前のあたりを指差した。


「じゃあ、ちゃっちゃと済ましちゃいましょう!レオンハルトくん、そこに立って。」

「はいはい。」


後輩(レオンハルト)が、指定された場所に立つと、周りが黄色くキラキラと光った。

私の時とは、光りかたが違うなぁ。なんか綺麗だ。

それを見て、シスターとかーちゃんは、怪訝な顔をしている。

流石に魔王ってことはないだろうし、一体何なんだろう。


「あのー。完了したみたいなんですけど。」


後輩も、不思議そうな顔で首を傾げている。


「眷属って何ですかね?」

「聞いたことないんだけど。シスター、知ってる?」

「いえ、私も聞いたことがないです。」

「眷属ってことは、誰かに付き従う感じなんすかね?」

「分かんないなぁ。」


なんかしっくり来ないが、なってしまったものは仕方ない。私たちはシスターにお礼を言うと、教会を後にした。


「とりあえずゴブリン倒しながら考えよう。」


カミーナ(かーちゃん)の提案に、2人して頷く。どうもこの世界は、成るように成る、と言った感じのことが多い。深く考えても無駄だ。

そのまま三人で森の方へと進む。


「それで、人間に興味ないとか言うわけよ、こいつ。」

「ああ、確かにそれだけ聞くと痛い人ね。」

「仕方ないじゃないですか。俺ハーフエルフな訳だし、人間とうまくやれるのかわからないし。」


くだらない話などを色々していると、急にカミーナが立ち止まった。


「しっ!いた、ゴブリンよ!」


ガサガサと動く草むら。確かに何かの気配を感じる。


「と、言うことでがんばれマリちゃん」


おそらく、カミーナでも楽に倒せるのだろうが、彼女は私の背中を押すと、ウインクしてみせた。

どうやら、力を試すつもりらしい。


「わかったわよ。」


私が、ゆっくりと集中しながら、呪文を唱える。片手に魔力を集め、練り込み、イメージする。

同時に、草むらから出てきたのは、数体のゴブリン。


「……ぎ!ぎぎぎ!!」


緑の小柄な体。小柄とはいえ、120センチくらいだろうか。小学生低学年くらいの子供サイズだ。


火球(ファイヤーボール)


かなり制御して撃った魔法一撃で、あっさりと消し炭になるゴブリン。


「うん、やっぱりゴブリンくらい何ともないわね。でも、倒した証拠がいるから、あんまりこんがり焼かないでね……。」

「調節って難しいのよね。」


そんな話をしていると、何か後輩くんが思いついたらしい。自分の手を見て、私を見て、焦げたゴブリンを見て、ニヤリと笑った。


「次出てきたら、俺がやってみてもいいですか?」

「え、ええ、いいけど、眷属?大丈夫?魔法は多分普通に使えるとは思うけど。」

「今、先輩が魔法使った時、一瞬ピリッとしたんですよね。俺の眷属ってもしかしたら、と思って。あ、でも危なかったら助けてくださいね?」


そんな話をしていると、偵察隊がやられて怒ったのだろうか。さっきの個体よりも一回り大きく、殺気をみなぎらせたゴブリンが5匹草むらから飛び出した。

後輩は、ゴブリンを視界に捉えながら、手を私の方にかざして、言った。


「眷属化、魔王マリ。」


何それ!?と、思ったが、後輩は至って真面目なようだ。


「先輩、許可して。」

「え?え??」

「許可する、って言ってみて。」

「きょ、許可する。」


言うと同時に、後輩(レオンハルト)の髪の色が赤に変わり、背中にコウモリのような翼が生えた。顔つきも、どことなく悪そうに変わっている。

うそおおおお!?私の眷属ってこんな感じなの!?何それ怖い。

後輩は、気にせず剣を抜くと、構えて呪文を唱えた。


魔王覇剣(カオスソード)


剣に赤い炎が絡みつく。


「試し切り試し切り♪」


性格は変わらないようだか、どうやら身体能力も格段に上がっているらしい。ゆっくり歩いたように見えたが、その後姿がぶれた。

よく見ると、その手にはゴブリンの耳が5個。


「あらまぁ、末恐ろしい。」


カミーナが呟いた。

ゴブリンは、何が起きたのかわかっていないだろう。一瞬で自分の耳がなくなり、首と胴が離れ、体が燃え上がったのだから。


「怖!眷属って怖!」


私が状況を何となく理解して叫んだ時には、すでに全てが終わっていた。


「あ、先輩、ちょっとすみません。」


後輩はそのまま私に向かって剣を振った。


「え、ええええ!?」


突然すぎて、防御も何もできないまま、頭をおさえて蹲った。さっきのゴブリンみたいに、胴体と頭が離れていたらどうしよう。

そんなことを思いながら、ゆっくり目を開く。


「ふーん、やっぱりそうか。」


剣を見ながら、面白そうに笑う後輩。

恐る恐る目を開け、自分の首を触る。くるりと自分を見るが、とりあえず見る限り、私は一切怪我をしていない。服にも、全く傷はない。


「今、俺、魔王の眷属なんですけど。先輩の力の一部を扱える代わりに、先輩には危害を加えられないみたいです。」

「先に言えええ!!!」


私の寿命は縮まったが、どうやら後輩のクラスチェンジは無事に終わったようだ。


「解除。」


後輩が呟くと、いつもの姿に戻り、翼も消えた。


「この感じだと、俺、先輩のそばにいるのが一番安全みたい。しばらくよろしくお願いしまーす。」


そんなわけで、私に眷属が増えたらしい。

異世界ってやっぱりよくわからない。


遅くなってすみませんでした。

ゆっくりですが、時間を見つけて更新していきたいと思います。

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