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そもそも私が異世界人だった  作者: 亘理朝夢
19/22

イケメンは正義

カミーナの雑さが際立ちます

いやー、久しぶりに見た気がするけど、一週間程度か。


「センパーイ!会いたかったですー!」

「あら、あの時のイケメンじゃない。」

「あれ?この人誰っすか?この人もドワーフですよね?俺のこと知ってる?」


黙ってればイケメンだが、喋ると結構軽い。

何でも、近くの町まで護衛がてらに馬車に乗せてもらっていたらしい。

今は、馬車の荷台に全員乗せてもらっている。


「あ、初めまして。マリの母親がわりのカミーナと言います。よろしくお願いしますね。確か、アリシアさんの息子でしたっけ。」

「あ、どうも、俺は大森レオ。本名としてはレオンハルトと言います。うちのかーちゃんのこと知ってるんですね。母親がわりって?どーゆーこと?」


状況が分かっていない後輩のために、現状をかいつまんで説明する。


私が元々は異世界出身のドワーフであること、

カミーナは母親ではなく世話係の神官である事、

魔王か勇者の器だったのだけれど、暗殺されることを恐れて異世界に逃がした事。

なんども召喚に失敗してどうしたもんかと思っていたら、なんか勝手に帰ってきてしまった事。


「魔王の器だったとか、凄いねー先輩。魔王か勇者の器だとか言われてても、大抵勇者なのに。」


そりゃまぁ、その他大勢の勇者と違って、魔王は欠番がないと産まれないらしいからね。


「そうなのよー。おそらく勇者の器だろうから、とりあえず異世界に逃がして、ある程度で呼び戻せば、万事うまくいくと思ったのに。魔王ですって、魔王!おかーちゃん、びっくりですわ。」


何だそれ。


「でも、それなら魔力も強大ですし、魔王に収まれば何の心配もないのでは?」

「それがね、お兄さん。魔王の魔力って、血を浴びると奪えるじゃありませんか」

「え?だって先輩、女性でしょ?」

「は?」

「経験済みの女性は、大丈夫、、、え?うそ?ほんと?」


絶対こいつを殺す、、、。

同情している、魔術師の男も、目を見開いて、こっちをみている。この野郎、マジ!?みたいなその顔やめろ。


「でもあんた、ドワーフの女性は身持ちが固いとかどうとか言ってたじゃない。」

「いや、だから、てっきり転移者だと思ってたから。故郷に旦那も子供も残して来てると、、、。既婚のドワーフの浮気は死罪とか聞いたことあるし、、、。まさか、32歳で、そんな、、、」


プルプルと肩を震わせているカミーナに全力でツッコミを入れる。ほんと失礼なカーチャンだ。


「ところで、お兄さん。うちの子どう?」

「ああああ、やめてぇぇえ!」


笑いながら、後輩に対しても交渉を始めるカーチャン。

やめてくれ。知り合いにそんなこと頼むとかまじで死ねる。


「先輩、可愛いですし、俺としては全然構わないんすけど、多分無理ですよ?」

「お兄さんも、転移してるわけでしょ?能力値的には強いんじゃないの?」

「待ってください、カミーナさん。」


苦笑しながら、後輩は言った。


「もしかして、器が負けを認めた相手と交わったとき、体に力が染み入って、血を浴びてもその力を奪えなくなる、っていうのを、勘違いしてません?」

「え?この子より、強い人に初めてをもらって貰えばいいんでしょ?」

「そう言えば、ドワーフ族には、あまり英雄や魔王が産まれないんですね。そのせいで、言い伝えも曖昧のまま伝わったのでしょうか。」


ちょっと待て。そんな曖昧情報のまま、私の貞操が奪われようとしてたの?無駄に終わる可能性まであったってこと?

流石にそれは凹むなんてもんじゃないよ!?


「ちょっと、かーちゃん!適当なのにもほどがあるじゃん!」

「そうなの、、、?」

「負けを認めた相手、と言うのがアバウトすぎて分かりづらいんですよね。要は、簡単に言えば、惚れたら負け、ってやつです。」


惚れたら負け?つまり、それは、えーっと、、、


「先輩が、本当に好きになった相手なら、別に先輩より弱くても大丈夫ですよ。」

「じゃあ、悩まなくてよかったじゃない。ほら、早く誰かイケメンに惚れなさいよ」

「カミーナさん、急かしちゃダメですよ。負けを認めるほど惚れた相手に捧げるのが重要なのであって、惚れてない相手に捧げてしまったら、魔力のバランスが崩れてやり直しは効きませんよ?」

「、、、。てへっ」


暴力はいけない、と思いながらも、何度この義母(カミーナ)を全力で張り倒したいとおもったことだろう。

要は、ドワーフ族の拙い知識のまま、異世界へ放り出し、連れ戻せずに四苦八苦し、最後は適当な情報のまま私のの貞操まで、、、。

てへ、で済む問題か!


「ま、まぁ、でも、惚れた相手がいればそれでいいのよね。あなたはそれでも姫なんだから、いくらでも相手は探せるわ。とにかくドワーフの国へ帰りましょう。」


前提条件が、悉く翻ってたり、何だか納得いかない感じではあるが、とりあえずは帰るしかないのか。


「ちなみに、先輩」


頭をぽりぽりかきながら、後輩が言う。


「俺、エルフの里目指してたんだけど、なんかすごい遠いらしくて疲れたからさ、とりあえずドワーフの国についていってもいい?」

「それは別に構わないけど。アリシアさんと連絡取ったりできてるの?」

「それが、なんか通信がおかしくて、こっちに来てから一度も連絡取れてないんだよねぇ。」

「あの変な声のせいなのかな?」

「変な声?」


あ、カミーナにはいってなかったんだっけ?


「なんか、向こうで変なのに襲われたとき、私の器だとか何だとか。そんな声が聞こえてね。」

「私の器?なんだろう?」


3人で考え込みながら、とりあえず一番近い街へと馬車は進んでいった。


危うく無駄に、初めてを散らすとこでした。

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