そのスペルダスト 『ニュートライズド』 1
月輪高等部 朝
「うおーホームルームだー席につけお前ら」
けだるげにそう言う無精髭を生やした教師。
それを反動に生徒らの猿の様な語り合いは、小声へと息をひそめる。
「おい。昨日のアレみたかよ?」
「コロシアムでまたアルカとリザがやりあったアレだろ?」
「そうそう、リザしかもってない、光剣『グランヴェイル』! コロシアム戦でしか見られないから残念なんだよね。貴重」
「でもそれってなんでコロシアム戦でしか見せないんだろうな」
「なんでって……」
「アレなんじゃない? 対策とか研究が進んで……自分が勝てなく成るのが嫌。弱点を晒さない様にひた隠しにし続けて上に立つ。でもそれって"寒く"ない?」
「……んーまあ確かにそう思う人もいるかぁ」
語り合う生徒らに、教師が一喝。
「そこ! まだ休み時間気分で語り合うんじゃない!」
そう言われ、昨晩のゲームのコト……『ダストレイジ』を語り合う生徒らは押し黙った。
「じゃあ続ける。紗宮アキツ」
「……はい」
うつ伏せで手を上げるのはボサボサの髪をした男子生徒だった。不健康なクマを持つ男。
「そもそも」
注意を受けたにも関わらず、生徒らはまたゲームの話を続けた。
「只管レベル上げて、転生して、レベル解放時に一定確率で手に入るスペル使って無双って……ただ廃人が作業に費やした時間だけで戦ってる気がして仕方ねえわ」
「お、おい」
「俺はああいうのがデカイ顔してるのが気に入らねえな。リザだかなんだか……まあそういう運とか作業時間の要素で競い合うゲームなんだからしゃーねーか」
「……」
その生徒の発言に──男、紗宮アキツの胸には様々な言葉が渦巻いていたッ!
(運要素? 作業!? トップに立ったことのない奴が発言をするんじゃねーぞ!? 効率よく周回できるかどうか、また試行回数を稼ぐことで運の要素を撤廃することも出来る! ひたすらに作業だの言われてるが、周回考えたときのレベリングも含めてプレイスキルなんだよッ! 何が寒いだ! テメェが勝てねぇだけだろうが! このゲームやめろカス!)
歯を食いしばって腹で喚く紗宮アキツ。
(そもそも──そういうことは俺に勝ってから言いやがれ。結果を出さない者の不満など──負け犬の遠吠えに過ぎんッッ!!)




