そのスペルダスト 『ニュートライズド』
対人区、第一アリーナ。
湧き上がる歓声に取り囲まれるのは二人の男。
睨み合う二人。闘志と殺意が胸に燃えるッ!
「アルカ=D=ケーニッヒ。ここが貴様の命日だ」
豪華なマントを纏う金髪隻眼の細マッチョな男は言う。
「粋がるなよ人間風情が……貴様こそ帝王の名剥奪の刻ッ! 我が鮮血の血族こそがこの『ダストレイジ』の頂点に立つにふさわしい」
対して吠えるのは色白銀髪の男。赤いマントと洋風の礼装を纏っている。
「ほざきやがれコウモリ野郎」
金髪がそう言うと同時に電子音のゴングが鳴った。
バゴーンドゴーン!
吹き荒れる砂塵ッ! 音速を超えて攻防を繰り広げる二人に、観客は熱狂した!
「腕を上げたなアルカ=D=ケーニッヒ。無能な血族どもの長としか思わなかったが、認識を改める必要があるようだ」
「我が誇り高き眷属達を侮辱するかッ! 劣等種がァァア!!!」
吠えた銀髪の男が腕から作り出した血の大剣を振りかざした時、そこにはリザは居なかった。
「!?」
「……覚えておけコウモリ野郎。このリザ=グランツが、この『ダストレイジ』で『帝王』と呼ばれる所以をォォォ!!!」
突如、巨大な光の大剣が中空に浮かび上がる。その横で腕を上から下に振り下ろすリザ。
巨大な大剣が直下し、そこにはアルカの姿があった。
『決まったァァァァ!!! 希少スペルSSクラス! 『光剣グランヴェイル+++』ゥゥゥ! 転生を5桁行っても手に入らないこのスキルを3度も強化したこそ見れる一撃ッ! これを持つのはこのゲームでリザ=グランツだけだァァッァア!!!』
ハイテンションで喚く解説。観客はこれが見たかった、だの感想を言い合う中、舞台の上でも二人の男が語り合う。
「腕を上げたなアルカ=D=ケーニッヒ」
「リザ……よ。やはり、化物は人には勝てないのか」
「テメェも俺ももとより『人間』だろう。こちらの世界でロールプレイしている内に、人外にでもなったつもりだったか?」
「フッ……そうだな」
息を引き取ったアルカ=D=ケーニッヒ。青白い粒子へを姿を変え、数秒後にはギルドのベッドでリスポーンを迎えるだろう。
「聞けッ! 貴様ら! 我の名はリザ=グランツッッ! この世界で『帝王』と呼ばれる頂点ッッ! 我は誰の挑戦でも殺意でも受けて立つッ! 腕に自身がある者……強者の自覚がある者共よ……かかってきやがれェ!」
腕を高々に掲げあげて吠えるリザ=グランツ。観客も大声を上げて、その日の熱狂はピークとなった。