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東方屍姫伝  作者: 芥
絶章
58/72

始まりは、そんなもの

ーー始まりは、なんだったのだろうか?


私が"平凡"であった事?

いや、今はもう"普通"ではない。


私が"彼女"を愛した事?

いや、今はもうそんな事はどうでもいい。


私がこんな"能力"を手に入れてしまった事?

いや、そんなものがなくてもこの憎しみは無くならない。






ーーなら、私が"死"んだ事から全ては始まったのだろう。















私こと【柳 飛鳥】が死んだ時から、物語は始まる

















この絶望の始まりは、そんなものであった。






















「やぁ!! 哀れな少女よ!! 迷える子猫ちゃんよ!!」


目が醒めると、私は白い空間にいた。

そこでは、狐の面を被るヘンテコな人物と、私しかいなかった。


「……あれ、私はーー」


「テンプレな反応ありがとうございまーす」


「アナタは……?」


「どうも、神様です!!」


その中性的な声で、戯けた声で話す彼か彼女かわからない人物は、自身を神だと名乗っていた。


頭がおかしいのでは、そう思えたが、私を囲う世界が真っ白で何もない事に、自分の頭のおかしさを疑った。


そう。

さっきまでは、学校の帰り道であった。

明日から夏休みで、幼馴染でちょっぴり女の子として意識していた"彼女"と並んで帰る道。

そこで私は……。


「そう!! トラックに轢かれ事故にあった!! 可哀想に!! あのまま順調に行けば、愛した彼女に愛され、抱かれ、永遠を誓えたのかもしれないのに!!」


そうだあの時、後ろから何かが来て……。

そこから自分の意識がなくなった事を思い出す。


そして、私は先ほどまでいた"彼女"の心配をした。


「そうだ!? ミコトちゃんは!! ミコトちゃんはどこ!?」


「あぁ、運命とは残酷なり……、どうやら迷い込んだのはアナタだけの様だ」


「何意味のわからない事を言ってるの!! ミコトちゃんは、ミコトちゃんはどこなの!!」


いや、実際に私は"彼女"の心配などしていなかったのだろう。

自分が死んだ、そのことから目をそらす為に、目の前にいる狐の面を被ったふざけた道化になんでもいいから叫び散らしたかっただけなのだった。


しかし、そんな焦る私を前に、その"道化"は淡々と言葉を返した。



「それがーー、アナタの"願い"、哉?」



私は口を噤んだ。

意味のわからないその言葉。


だが、私を見るその狐の面を被ったその"道化"は続けて口を開いた。


「君がここに迷い込んだのも、一つの運命だ。私が、君の"願い"を、"一つ"だけ、叶えてみせよう」


願い。

そんな事はどうでもよかった。

いきなり死んだと言われ、自身にも死ぬ時の記憶があり、恐怖で内側が冷静ではいられなかった。


だからーー、


「助けてよぉ……ミコトちゃん……」


私の、幼い時から好きであった人物の名に縋る。

弱気な自分をいっつも引っ張ってくれて、誰よりも男らしく自分を守ってくれた"彼女"の名を呼んだ。


私の呟きに、その"道化"は笑った。




「良い哉、良い哉!! それが君の"願い"だね!!」




「けど、悪いね!! 私では既に死んだ人の命に干渉するのは難しい!!」




「だから!! 私の世界にいる君に、干渉しよう!!」




「見つけ給え!! その"目"で愛しの君を探して見せよ!!」




「そして今日からそれが君の生き甲斐で!! 生きる使命で!! 君の生きるための"願い"だ!!」




「さあ!! 見せて見ろ!! 魅せて魅せよ!! 私のこの"退屈"を、満たして観せろ!!」





その"道化"は私の頭に触れ、"ナニカ"を与えた。

そして、私の意識はなくなる。

















「始めようか、哀れな少女の道化劇をーー」


















ーーそれが始まりであった


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