表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方屍姫伝  作者: 芥
幕間 その記憶は夢を見せる
38/72

「……ろっ、起きろ馬鹿っ!!」


「ぐえっ!」


私がウトウトと寝ていると、突如、誰かに腹を蹴られる衝撃を受けた。

そして私は寝込みを襲われたと思い、わたしの腹に蹴りを入れてきた奴の足を掴み、手元に引っ張り転ばせ、そいつの腹の上に跨って馬乗りになる。


そして、蹴られた仕返しに顔面に一発拳を入れようとしたら見知った顔であった。


「あ、妹紅か」


「あ、妹紅か、じゃねぇよっ! せっかく起こしてやったのにこの仕打ちは酷くないか!?」


私を蹴った人物、藤原 妹紅が私に怒鳴り散らしてそう言ってきた。


いきなり寝込みを襲われたものだから、思わず頭をトマトにしてやろうと思っていたので妹紅だと気づかなかったら危なかった。


「あぁ、ごめん。昔の夢を見てたから……ってやり始めたのはお前だからな? というわけで一発殴らせろ」


「お前が起きないのが悪いんだろっ!?」


妹紅の言葉を聞き、本当に私の寝起きが悪かったのだろうとは理解はできるが、蹴って起こす事はないと思う。

もう少しデリケートに起こしてほしいものだ。

私も一様、れでぃーなのだから丁重に扱ってほしい。


それに昔の頃の夢を見て気が張ってて……ってどんな夢を見てたんだっけか?

昔の夢って事は思い出せるのだが、んー……あとは思い出せない。



「てか、とっと退けよ! 重えぇんだよ!」


私が夢の内容を思い出そうとしていると、妹紅がジタバタとしながら私の身体を揺すってきた。


「む、私はそんなに重くはないぞっ!」


「まあ、そうだよな。余計な脂肪がついてないし」


妹紅がそう呟きながら私の胸あたりを見る。

私はその言葉にカチーンときて口を開いた。


「ああんっ! 妹紅だって私と変わらないだろ!?」


「お前と一緒にすんなっ! 私はお前と比べればふた回りくらい違いますよーだ、このペタンコっ!」


妹紅はそう言いながら私に馬乗りをされた状態で私の胸の薄さを主張する様にバシバシと叩いてくる。

その行動に更にイラッときた私はお返しにと妹紅の胸を鷲掴みした。


私の行動に妹紅はほんの少し紅潮させ驚き、私はしてやったりという顔をするが、妹紅のそれを掴み私の手に収まりきれないそれを、モニュモニュとすると気分が段々と沈んでいく。

そして、本当に私よりふた回りくらいあった事を知り凹む。


「……妹紅の癖に、生意気だ」


「え、なんで私が悪いみたいになってんの?」


いや、悪だろ……。

私のおっぱいは叩いてボヨンではなくバシバシという音の癖に、妹紅の胸はモニュモニュってなるんだぜ?

明らかにぎるてぃーだろ?


「てか、とっとと退けよペタンコ……」


「も、揉めるくらいは……あるわい……」


私が妹紅との格の差に打ちひしがれていると、妹紅が私の退去を催促してきた。

私は妹紅のその言葉に妹紅と私の圧倒的パイ力に差を感じ、唇を噛みしめながら妹紅の上から退いた。


私が妹紅の上から退くと、妹紅は身体をほぐす様に背伸びをする。

そして、今のくだらないやり取りがなかったかの様に妹紅なニカッと笑いながら私の方に振り返り口を開いた。



「じゃぁ、今日はどっちの方角に行こうか?」



その言葉に私はドキリ、とした。

妹紅と一緒に旅をする中で何度か聞いた事のある言葉。

それは特に目的地がない時に妹紅がよく私に聞いてくる言葉だ。


なのになぜ私は妹紅のその言葉に動揺した?



ごめんーー



私の頭にふとその言葉が思い浮かぶ。

なぜだろうか?

短い言葉な筈なのに、酷く切なく、悲しい言葉な気がする……。


「おい、雪。惚けてどうしたんだ?」


妹紅が惚ける私に心配してか、私の顔を覗き込みながらそう尋ねてくる。

私はいきなり顔を近づけてきた妹紅に頰を少し染めながら何もない事を伝える。

そして、適当な方角に指を指してあっちの方に歩いて行こうと提案した。

妹紅は私の言葉にそうだな、と言い首を縦に振るが疑問を向ける目で私を見てきた。


「なんでそっち?」


「い、いやなんとなくだ!」


口が裂けても適当に決めたとは言えない、と思いながら妹紅に言うと妹紅は変な奴、と言いながら首をかしげる。

そして、まあ良いかと言って私が指差した方へ向いて口を開いた。



「ま、お前となら何処だっていいや」


私は、私はお前とーー



妹紅のその言葉と同時に、私はまた別の言葉が脳裏に浮かんだ。

妹紅のかけてきた明るい声とは違い、その電波の様な声は辛く悲しくて、すっと頭を横切った。


さっきから何なのだろうか?

変な言葉が頭を横切り、無性に悲しくなってくる。



「さて、じゃあ行こうぜ」


雪、幸せになーー



まただ……。

また妹紅の言葉とかぶるように聞き覚えのない言葉が脳裏に走る。


なぜ、その言葉が聞こえてくる……。

私の中にいる怨霊の声か?

違う、そんな気持ち悪いものではなくただ純粋に悲しくて……。



「なぁ、雪……」



頭の中に聞こえてくる声に立ち止まっていると、私の前に歩く妹紅が振り返り私に手を差し伸べていた。

そして、私が妹紅の呼びかけに反応し顔を上げた瞬間に妹紅は口を開く。



「私達って、友達だよなーー?」



あぁ、そうだ。

私はその言葉に首を縦に振ろうとした。


しかし、なぜか頭を縦に振る事は出来ない。

なぜだろうか?

なぜ、私はその言葉に自信を持って首を振れないのだ……。

でも、確かに私と妹紅は友達で……




『はっ、嘘つけよ。私よりパッとでの女を選んだくせに……』




突然、私の周りが暗くなった。


そして先ほどの電波の様なものとは違い、妹紅の声ではっきりと私の頭に声が響く。

妹紅は何処にも居ず、私の周りは暗闇だけが広がっているのに、何処にもいないはずの妹紅の声が頭に響く。


私は突如、聞こえてきた妹紅の声に反応し、そんな事ないと首を横に振った。


しかし、声は止まらず聞こえてくる。


『なわけないだろ、私は知ってんだ。お前はただ誰かと居れるなら、相手は誰でもいいんだ』


違う……そんなんじゃ……


『あいつと結婚したのも、お前はただ存在が認められて嬉しかっただけだろ?』


違う……違う……わたしは……


『あいつと一緒に寝たのも、温もりが欲しかっただけだろ? 身体で愛されてるって事を実感したかったんだろ?』


そんなんじゃない、わたしは本当にあいつを……


『愛されれば、誰にでも身体を許す変態の癖に……』


違う……わたしは……


『なぁ、知ってるか雪?』


もうだまってくれ……


『お前はただ白鷺 茜の代わりにあの女を好きになっただけなんだぜ?』


もう、それいじょう……


『それに……』


もう……やめて……


『白鷺 茜がお前にした様にーー』



「だまれっ!!」



私はそう叫び頭を抱え、なにも無い暗闇の中で蹲る。

しかし、その妹紅に似た声は私の様子を気にすることなく、直接私の頭に響かせる様に呟いた。




『お前も、あの女に依存してんだよ……』



ちがう……

わたしはただ……


『お前の心は、とっくの昔にイかれてんだよ……、お前が白鷺 茜を生き返らせようとする前からな』


そんなんじゃない……

それに、妹紅の声でそんな事を……言わないで……



私は、私は本当にあ■ねを、斬■を愛してたんだーー



だから、■紅の声でそんな事を言わないで。

私は嫌な声が聞こえない様に耳を塞いだ……。

其ノ愛ハ、ハタシテ何カーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ