表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方屍姫伝  作者: 芥
幕間 その記憶は夢を見せる
35/72

桜ノ命

「……ん、ミ……ちゃんっ!」


声が聞こえる。

声の質から少女のモノだとわかった。

だけど、聞こえてくる声はその少女のものだけでなく、複数の男女の声が聞こえる。

が、自分の耳に印象的に聞こえるのはその随分と近くから聞こえる少女の声であった。


肩を揺すられ、声をかけられている。

私はその呼びかけに答えるように伏せていた顔を起こす。


「……あかね?」


私は呼びかける声の主に顔を向けながら、ポツリと呟いた。


私がそう呟くと、黒髪の少女はムッとした顔をし、口を開く。


「もー、寝惚けてるのミコトちゃんっ!」


黒髪の少女は頰を膨らませながら、私の髪をワシャワシャと撫でてくる。

私はその少女にかけられた声によってハッキリと目を覚ました。

そして、視線を周りに向ける。


私が今いるところは教室。

学生特有の制服を纏った男女が、それぞれの友人とザワザワと騒いでいる至って普通の風景。

帰り支度をしている人がいることから、今はおそらく下校時刻なのだろう。


私は目を擦りながら幼馴染みの"彼女"に声をかける。


「あー、どんくらい寝てた?」


「朝からだよっ!? お昼も食べずにミコトちゃんったら爆睡してたじゃん!!」


そんなに怒鳴らなくても……。

私はプンスカと怒る"彼女"にごめんごめんと呟きながら自分の記憶を探る。


なんというか記憶が朧げだ。

寝る前の記憶が曖昧だ。

だけど、代わりに随分と長い夢を見ていた気がする。


トラックに轢かれて死んだと思ったら過去の世界に行っていて、それでその世界で死んだと思ったら妖怪になっていた。

そしてその世界で好きな人の為に妖怪を殺し続けたら、また別の人を好きになってその人と結婚、しかもその結婚相手は女の人で私より年下の見た目をした鬼。

で、その結婚した人と多少は淫靡に、そして幸せな暮らしを送っていたら私が重い病気に罹って倒れて、好きな人と引き離されて、それで……。


「ちょっ、なんでミコトちゃん泣いてるの!?」


"彼女"が慌てた様子を見せながらハンカチを取り出して私の目元を拭う。

"彼女"にそう言われることにより、私は自分が泣いていたことに気づき、疑問に感じた。

なぜ、自分は泣いているのだろうか、と。

とりあえず泣いている理由はわからないが、慌てる"彼女"を落ち着かせようと適当に誤魔化すため口を開く。


「あぁ、目にゴミが入っただけだよ」


「そうなの? 私が怒っちゃったから泣いたとかじゃなくて?」


私は子供か、と思いながらも大丈夫だよ、と"彼女"にいい笑顔を見せる。


そして、ふと先ほど思い出していた夢の内容の続きを思い出そうとするが、すでに忘れていた。

憶えているのは兎に角スケールのデカい夢で、中二くさかった夢だなー、くらいだ。


まあ、所詮は夢だ忘れよう。

私はそう思いながら机の中から教科書を引きづり出し、鞄に詰め込む。

そして、私に視線を送っていた"彼女"の方に目を向けたーー




「さて、帰ろうか"■■"」



「うんっ!」




私がそう呟くと、"彼女"は元気よく頷く。

そして、私の腕に抱きついてくる。


私が暑苦しいから離れろ、と言うと"彼女"は笑顔で私は寒いからくっつきたいのー、と言ってきた。

私はそんな笑顔を浮かべる"彼女"を見て、仕方がないなと思いながらも平和だな、とジジくさいことも思った。

なぜか、そう思った。

そして続けて思う。



この平和がいつまでも続いたら、とーー

桜ノ命ハ、平和ヲ望ムーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ