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東方屍姫伝  作者: 芥
四章 その幸せは彼女を縛る
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仮面

「あはははははっ! 計・画・通り☆」


狐面の少女は高らかに笑う。

赤い鳥居の上に腰を下ろし、そこから見えた"モノ"を見て狐面の下で口を開けて笑う。


現時刻は夕陽が昇りかけの頃。

狐面の少女は三人の少女に囲まれながら、機嫌よく足を振る。

そんな様子を見てか、狐面の少女をかこむ少女の一人で、翠色の髪をした少女がニタニタと笑いながら狐面の少女を見る。


「もぉー、人の不幸を見て笑うとかぁ相当クズねぇ。そこに痺れてぇ、憧れちゃうわあぁ」


鎌鼬、黒桜 刃が狐面の少女の脇腹をからかう様につつく。

そしてさりげなく自身と同じくらい膨らむ狐面の少女の大きな胸にも手を伸ばすが、彼女らの後ろに浮かんでいる少女の手によって、その行動は妨害された。


その少女は紫色の髪のおさげをたらす少女。

彼女は狐面の少女と刃の後方の宙におり、円形の鏡の板に腰を下ろして浮かんでいた。

そして二人の間に割り込む様、刃の行動を遮るためにペシリと刃の手を叩き、狐面の少女の胸を触れる前に止めた。


「あらぁ、鏡ぅ。貴女のおっぱい触るわけじゃないんだからいいじゃなぁいのぉ?」


刃は少女、鏡によってセクハラ行為を止められたが、不機嫌にはならずニタニタとした顔で鏡の方に振り向いた。


しかし、鏡はその言葉を気に入らないのか眉間にシワを寄せ、腰を下ろしている鏡の板に文字通り手を突っ込み、鏡の中から一枚の藁半紙と筆を取り出してその紙に何かを書き始めた。

そして、書き終わると見せつける様にその紙を刃の顔の前に突き出した。


『わたしのおっぱい』


鏡が刃に見せた紙にはその様な事が不器用な文字で書いてある。

そして、書かれた文字通りに主張する様に鏡は狐面の少女の首に後ろから抱きつく。

その時の表情は顔が物凄く真っ赤で恥ずかしそうだが、これだけは譲れないという様に狐面の少女に抱きつく。


そんな鏡の愛くるしい所を狐面の少女は見てか、微笑んだ。


「鏡のおっぱいでもない哉?」


その言葉に鏡は目を見開く。

なん……だと……、という様に狐面の少女に目を向けた。


「いや、逆になんでそう思ったの哉?」


『すきだから』


鏡はそう紙に書き込む。

狐面の少女の顔の前につきだし、その言葉に恥ずかしいからか顔を真っ赤にして、狐面の少女の背中に顔を隠す。


どうしてその考えに行き着く、と狐面の少女は苦笑いを浮かべた。

まあ好きにさせておこうと思い、鏡の頭を軽く撫で適当にあしらおうとしたが……。


「あー、鏡ちゃんずるいですぅー。私もお姐さまに抱きつきますぅ」


といいながら空色の髪をした少女の憑が、鏡に便乗する様に、にぱーと笑いながら狐面の少女の脇腹に抱きついてきた。

軽々しく抱きついてくる憑を見てか、鏡は機嫌を悪くした顔で睨みつけた。

そして、先ほどと同じように紙に文字を書いて伝える。


『ひょうじゃま』


「邪魔じゃないですよー。私もお姐さまが大好きなんですー」


鏡と憑が言い合いを始めた。

そんな間に挟まれた狐面の少女はため息をつく。

歪んだハーレムだ、と思いながらも二人の頭を撫でなだめる。

そして、この面倒くさい空気を変えるために口を開く。



「ま、取り敢えず計画はうまく進んだのも、君らのおかげ哉。ありがとさん」


狐面の少女はそう言い、自分の顔を覆う狐の仮面を取り、少女三人に顔を向けた。

仮面の取られた少女の顔は普通の少女の顔。

肩にかかるくらいの長さをした黒い髪に、目が大きく童顔な普通の少女の顔。


"狐面の少女"から"ただの黒髪の少女"になった彼女の顔を見て、少女ら三人はそれぞれ笑みを浮かべた。


「うへへぇ、お姐さまにそう言われると光栄ですぅ」


「私はまだなーんもぉ、してないけどねぇ」


『したがっただけ』


二人が言葉で、一人は手記で少女の言葉に答えた。

その言葉に少女は満足したのか、仮面を取り素顔の見えた少女が笑みを見せた。


「はは、君らがいたから"白鷺 雪"の心を壊せた」


「もー、仮面とって可愛い顔見せたと思ったらぁ、物騒な事言っちゃってぇ。お姉さん貴女のそんなゲスいところ好きよぉ」


「だけど、今は芽が出ただけだ。華が咲いたらこれまで以上に大変となる」


「お姐さまぁがそれを望むならぁ、私はついてくだけですぅ」


「これはボクにしか得の無い、自分勝手な"物語"だ」


『からだもこころもあなたとあり』


少女はそれらの答えに満足気に微笑む。

そして、夕陽が沈んでいく空を見て感傷に浸りながら口を開く。


「長かった、長かったよ。千年続いた"物語"も中盤を終え、あとは幕が再び上がればいよいよ終焉だ」



そして運命は再び動き出すーー




少女はそう呟き、狐面の仮面を被りなおす。




「それまではお別れだ、"ミコトちゃん"」




少女はほくそ笑む。

来る日を楽しみにーー。

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