馬鹿が現る
私たちは屋敷に入った後、応接間に通されてそこで待機中です。
「このお菓子おいしいです!」
「そう、よかったね。」
「はい、なのです。」
メシルが可愛い。何この可愛さ、これこそ人類の宝、すっばらいしぃぃぃぃ…
まぁ、それは置いといて、遅い、遅すぎる。は~やくこ~ないかな~。
そう思っていると、
ガチャ
扉が開き入ってきたのは、
「失礼した。少し仕事がたまっていて手を離せなかったんだ。」
イケメンだった。
「乙女ゲーの攻略相手ですね。お帰りください。」
私は闇で、そいつを縛り上げて部屋の外に投げ出した。
「ふぅ、仕事が早くも終わった。それより、早く伯爵を呼んでください。」
「貴様!いったい何をするんだ!」
また、攻略相手が現れた。
「うっとうしいですね。あなたみたいな人はゲームの中だけでいいんですよ。
リアルにまで進出しないでください。」
「言っている意味は分からないが物凄くけなされている感じがする。貴様こ
そなんだ!そんなおかしな仮面をかぶって人を馬鹿にしているのか!」
「はぁ!?仮面ってそんなものどこに………え…」
顔をふれてみると仮面があった。
「ど、どういうこと!」
仮面を取り外し、自分の手を見てみると、
「あれ?何も変わってない。よかった。ちゃんとできてるんだ。て、そんな
ことより、早く伯爵を出してください。」
そういい、周りを見回すと、部屋にいた全員が固まっていた。
「あ、あれ、どうしたのかな?」
イケメンがとまっどったように、
「そ、それが素顔なのか?」
「そうだと思うけど、何か?」
イケメンは突然、跪き、私の手を取り、あほなことを言い放った。
「どうかこの私と結婚してほしい。」
「ワッツ?」
私は一瞬フリーズしたが、
「お断りします。」
「ど、どうしてだ!?」
「いや、いきなり初対面の人と結婚なんてできるわけない。これ常識。」
「だ、だが、」
「は~や~く~は~く~しゃ~く~だ~せ~。」
すると、近くにいたメイドさんが、
「あ、あの、その方が伯爵様ですけど。」
「え?」
その方ってもしかしてこれ?
私は目の前にいる馬鹿な男を見た。
ないわ~これだけはダメだと思う。
私は確かめてみた。
「あなたが伯爵?」
「そ、そうだ!私がここの領主のエスト・フォル・エデルだ!」
「うわぁー復活したよ。あ、それよりはなしって何?」
「そうだった。君を雇いたい。どうかな?」
「意味が分からん。」
「だから、君を私の護衛として雇いたいといっているのだ。」
「成程。だが、断る!………うわぁ、このセリフ超恥ずかしい。」
「な、何故だ!」
「私には目標があるからだ!」
「それはいったい…」
「馬鹿でかい虎を倒すことだ!」
「………はい?」
「あの虎を倒すまでは絶対に誰にも縛られたくはないのだ!」
すると、馬鹿伯爵が提案してきた。
「この街は、多くの冒険者が集まる街だ。それゆえ情報が多く集まる。とい
ことは、君が捜している虎の情報も見つかるかもしれない。さらに言うとこ
こは領主館、様々な情報が飛び交うところだ。ここで働けば、もしかすると
虎の情報も手に入るかもしれない。やみくもに探すよりはいいと思うのだが
どうかな?」
う~、仕方ない。
「分かった。ここで働こう。ただし、給料は高くつくけどいいの?」
「本当か!給料については問題ない!これからよろしく頼むよ。そういえば
、まだ、名前を聞いていなかったな。君の名前を教えてくれるかい?」
「私の名前は隼瀬。」
「ハヤセか、わかった。これからよろしく頼むよ。」
こうして私はこの馬鹿な領主のもとで働くことになった。