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ブレイブ・ギャンガー ―星屑の盗賊団と機械の巨兵―  作者: 藤白あさひ
第3章 お宝はミザールにあり!
109/111

旅立ちはプライスレス その1

《ミザール ギルド会館 地下工房》


 決戦から丸一日が経過したが、ミザールの街は驚くほど日常のままであった。てっきり魔導騎士団の追撃があると警戒していた盗賊団スターダスト・バニーであるが、ミザール到着時よりも穏やかな街の様子に困惑せざるを得なかった。

 しかし、敵が静かであることを憂う理由はない――そう思い切った頭領のエステルは、すぐに次の行く先を決めるべく主要メンバーをギルド会館に召集させた。

 その折、念願であったラスティーラの、いや、ケントの新たな剣が、職人達の魂によって鍛えられていた。

 他ならぬ、神刀《炎帝倶利伽羅》を軸にしたハーフメイド銀線細工(フリグリー)の制作である。


「――せいッ!」


 ガァンッ! と、門出の祝福の如く、ギリー・マクレンのハンマーは高らかな鉄の音を鳴らし、鍛え抜かれたその剣を清らかな冷水へと付け込む。すると、凄まじい勢いで冷水が沸き立ち、数秒ほど漬けただけで炎帝倶利伽羅は悉くその水を蒸発させた。


「……できだぜ」


 名匠の宣言に、ケント達、スターダスト・バニーは息を呑んだ。

 あれ程まで人を寄せ付けなかった最凶の剣は、今や心を許したのかギリーに何の躊躇いもなく手に取られ、所有者として認められたケントに手渡されようとしていた。


「こんなに気を使う剣なんて初めてだ! 鍛冶の最中、チャーシューにされんじゃねぇかと冷や冷やしたぜ……!」

「……作業中もグラサン外さないんだね」


 ケントの何気ない一言に、ギリーは得意げに鼻息を吹いた。


「たりめぇよ。この刀と一緒でこれは顔の一部だ……ほれ!」


 仕立て上げられた最高の一振り。ネルマイヤとの戦い以降、炎帝倶利伽羅は日本刀から姿を変え、ケントに相応しいロングソードへと生まれ変わった。ギリーは折れていた倶利伽羅の刃をラスティーラの銀水晶を溶かした魔法銀で補強し、ほぼ完全なる一太刀へと作り変えたのである。

 その作業工程は実に驚きの連続であった。

 倶利伽羅の刃は鋳型に液状魔法銀が流し込まれた途端、自身の鋼を融解させ、一体化するように液体魔法銀を全て取り込んでしまった。これには熟練の職人達も顔を見合わせざるを得なかった。銀線細工(フリグリー)は魔法道具とは言え、所詮は工芸品。ここまで剣の意志が見える鍛冶など、一生に出会えるものではない。


 まさに満場一致の勇者の剣――装飾も元の真紅と黄金をベースにした古典的なデザインから、銀線細工(フリグリー)らしいマシンライクなものへとリメイクされた。これは元の形のままだと、特に華のないケントには派手過ぎたため、職人達がこぞって「お願いですから、この子が痛い人に思われないよう、現代風のデザインに直させてください!」と全力で倶利伽羅に土下座した結果である。無論、地味扱いされた当の本人は納得いかない表情であるが、エステル達にはかなりの高評価を得ていた。

 何よりも、倶利伽羅の新たな刃が美しく白銀に輝いていることこそ、神様がその出来栄えにご満悦である証であった――


「まさに〈エンプレス〉として、生まれ変わった姿ですね」

「……うん」


 ギリーに手渡された〈炎帝倶利伽羅〉改め、〈エンプレス〉の重み――掌から伝わる金属にあらぬ温かさと気丈さに、ケントの心は震えた。


「どうだ? 新しい相方の感想は?」

「何かお母さんみてぇ……」


 剣に見入るケントの言葉に、職人達は首を傾げた。


「なんだそりゃ? まあ……あながち間違いでもねぇか!」

「何でだ?」


 ネルマイヤを倒した謝礼として、キエルの左腕の銀線細工(フリグリー)は念願の人工天体防衛(オゾン)発生式を施された。パワーアップしたアーマーとガンハンガー、そしてガトリングを始めとした銃器を彼は大層嬉しそうに磨いていた。

 そんな彼らを一望するとギリーは、煙管に火を点けた。


銀線細工(フリグリー)化したことで、元の倶利伽羅の力を弱めた。純金に別の金属を混ぜたように魔力の質が低下した状態なんだよ。それでもとんだじゃじゃ馬だろうが、こいつを使いこなせれば、相当な魔導騎士になれるに違いないぜ?」


 カンカンッと灰を落とすと、彼は意地悪な笑みを浮かべた。

 剣に鍛えてもらう。少しおかしな話ではあるが、エンプレスの力を目の当たりにして、その言葉の重みがわからないはずはない。あの爆発的な力を操れぬ以上、これから待ち受ける強敵との死闘に勝ち進んでいける保証などどこにもないのだ。

 現に、悔しいがネルマイヤに勝てたのもエンプレスのおかげでしかないのだ。


「とりあえず、それが本命の〈エンペラー〉が復活するまでの代役だ。精々鍛えてもらえ」

「ギリー、聞きたいんだけど……折れたエンペラーって元に戻るかわかる……?」


 恐る恐るケントがギリー達に尋ねるが、彼らは少々申し訳なさそうに、


「残念だが、戻らねぇな……あれを直すってことは、切断された腕を生やせって言うに等しい。人間じゃ無理だ」

「そんな……!」

「その証拠に銀線細工師(フリグリスト)以外で武器を生身から、天装時に反映できる人間もいない。その逆も然りだ。だからお前は、非天装時にエンペラーを携帯したことはなかっただろう?」

「確かに……」


 盗賊達は悲観に暮れた。やはり、亡霊なる機兵(ファントム・ギャング)シヴァとの死闘で失った代償は大き過ぎた。今更それに気づいたところで遅いが、悔やまずにいられなかった。


 だが、


「おいおい、人の話は最後まで聞けって! 元に戻らねぇが、完全に失ったなんて一言も言ってないんだぜ?」

「――へ?」

「これだからゆとり世代はのぉ~自分で何とかしようとする気持ちが足らんわい!」


 この神経を逆なでる小言。ケントはムッとした顔つきで、足元に視線を落とす――やはり、そこにいた。


「ジジイ!?」

「フランチェス、何でここにいるんですか!? バニーちゃんが見張ってるはずなのに!」


 盗賊達は驚愕した。母艦ニューバニーで監視されているはずの小さい白髭ジジイは、小馬鹿にしたような笑い声を立てると、ここぞとばかりにケントに白い目を向けた。


「エステル、侮るでないのぉ~バニーごときにワシが抑えられると思ったかのぉ~?」

「おおっ! エロ神様じゃねぇか! ちょうどよかった、あんたにもこのエンプレスの出来栄えを見てもらいたかったんだ」

「ほぉ~? 噂の銀線細工(フリグリー)か、どれどれ」


 ――「エロ神様」は否定しないんかいッ!?


 剣と寄越せと手招くフランチェスに、ケントは嫌そうにエンプレスを手渡した。それを受け取るなり、ジジイは大層感心したようにその出来栄えに唸り声を上げた。


「これは素晴らしい……鍛冶屋、お主、中々の技量と知識じゃのぉ……! 御前の刀がこれほど――」

「ん? ゴゼン?」

「ゲ、ゲホゲホッ!」


 何を言いかけたのか、突然咳き込む白髭ジジイを、エステル達は胡散臭いとばかりに凝視した。そんな視線の針から逃れるためか、フランチェスはいきなり、


「そ、そうじゃ! ケント、この剣に認められた褒美に、良いことを教えてやるわい!」

「何だよ」


 バチバチと聞こえてきそうな視線をぶつけ合い、ジジイは大きく鼻息を吐き出した。


「ふん! 良いのか? そんな生意気な態度を取って、エンペラーの本物がこの世のどこかにあるって教えてやろうと思ったのにのぉ~」

「――え? ど、どういうこと!?」


 若者とは現金なものだ。自分の得になるとわかった途端、態度を改め、掌を返す。見よ、このそろばん兵士の体たらく――瞬時に正座し、仲間にお茶を出すように指示しているではないか。

 フランチェスはため息をついて、


「鈍感男は女に嫌われるわよ~ケントちゃん。お主、自分の半身が折れたと言うのに、何で平気なのか考えたこともなかったか?」

「あっ……」


 その間抜けな表情に、フランチェスは司祭帽を浮かせ、ポリポリと頭を掻いた。


「まったく、情けない勇者じゃ! 要するにお前が使っていたエンペラーは、過去の記憶を頼りに銀水晶で作ったレプリカじゃ。本物がもし折れていたら、お前は今頃立つのもままならないか、廃人になっていてもおかしくはない。そういうことを、この鍛冶屋は言おうとしていたのじゃ……のぉ?」

「え!? ま、まあ……」


 ジジイの誇らしげな笑みに、ギリーは汗だくの顔で頷き、落ち着きなくボリボリと子供が2人入りそうな腹を掻いた。

 何やらすこぶる過大評価されているようで申し訳がない。いびられ気味のケントに憐れみの視線をサングラス越しに投げかけながら、彼はジジイの話に耳を傾ける。


「フランチェス……今の話を聞く限りケントに関係なく、エンペラーはこの世に存在しているということですか?」

「ざっとそんな感じじゃ。この炎帝倶利伽羅のように、一万年越しに残っている可能性もあり、はたまた……ま、それ以上はワシも知らんけどね!」


 つーんと澄まして、フランチェスはボリュームたっぷりの白髭をいじった。

 完全に乗り遅れてしまったが、二人の話から察するにこの世のどこかに本物の聖剣〈エンペラー〉が存在している。どんな形であれそれを見つけない限り、自分はラスティーラとして100%の力を出すことはできない。

 だが、果たしてそれを次なる目的とすべきかは別の話だ。

 エステルはしばし考え込んで、


「……とりあえず、戦うための準備はできました。エンペラーを探すことは今後の私達の課題ではありますが……次に優先すべきはそこではありません」

「……ほぉ? どうするつもり?」


 その時、足早に地下階段を駆け下りて来ることが聞こえた。ギリーが扉の傍まで行き出迎えると、別のギルドへと赴いていた組合長が工房へと現れた。


「おおっ、皆揃ってるか!」

「お帰りなさいませ、組合長。近隣都市における魔導騎士団の動きはどうですか?」


 すると、エステルの問いに組合長は深刻な顔で頷いた。


「まずは吉報だ……ナルムーンの連合艦隊がドゥーベ海戦から、アルドラに間もなく帰港する。しばらく奴らが動くことはないだろう」

「これでドゥーベ海はガラ空き……迂回して海から出るチャンスです。マカロン、あれを」

「へい」


 エステルが合図すると、マカロンは急いで大陸の地図をテーブルの上に広げた。


「さっき組合長とお話してたんです……魔導騎士団は私達が陸続きのルートでサンズに帰還しようと考えている。事実、政令都市最大規模のポラリス突破は避けられません……とある瞬間を覗けば」

「とある瞬間?」


 ケントの問いにエステルは頷いた。


「ドゥーベ海戦から戻って来た、アルドラ・ベテルギウス連合が帰港した直後です。この二都市の関係は最悪……おそらく、アルドラの治安警備海内で何かあれば、彼らはベテルギウスを黙らせようとして、対応に遅れが出るはずです。あえてそこを突きます!」


 バシッと、エステルは熱意込めて机を叩いた。

 一同はどよめく。


「つまり……奴らが帰還した途端、アルドラの手前から海上に出るって寸法か?」

「そうです、キエル。そこで目的地をこのウェズンに設定します」


 エステルの指先を追いかけ、マカロンは地図上のウェズンに赤丸を描いた。

 だが、ケントはその提案に表情を渋くする。


「ウェズンって……ここは小さい沿岸都市だけど、アルドラ魔導騎士団の治安維持法範囲だ。海上に出たところで、〈リヴァイス〉が出撃した途端、水魔法に疎い俺達はひとたまりもないぞ……!?」


 元ナルムーンの兵士、いや、剣帝ラスティーラらしいもっともな意見だと、エステルは頷いた。


「ケントが言うのも無理はありません。アルドラは知っての通り……ナルムーン最強とも謳われる天才魔導騎士――バサラ・アクセルが統治する都。おそらく、海上戦になれば、ネルマイヤなんて比じゃないはずです」

「バサラと聞けば……ラスティーラの盟友かつライバルと名高い、ファントム・ギャング〈リヴァイス〉か。待てよ……確か、アルドラってのは無理やりナルムーンに併合されて……」


 キエルの言葉にエステルは頷く。


「ウェズンってのは、まだ旧アルドラ王国への郷愁が強い街なんだよ」


 ケントの隣に立つ組合長はそう口火を切った。


「アルドラ王国が崩壊し、ナルムーンに併合されて10年。たったそんだけの時間で、王族を処刑したナルムーンへの憎しみが消える訳がねぇ……さらに言えば、アルドラ魔導騎士団も同じだ」

「え?」


 初めて聞いた――そんな顔で、ケントは組合長を見る。


「内陸民に伝わるわきゃねぇ話だ。アルドラ魔導騎士団の前身んってのは、旧宮廷騎士団なんだ。解体したとは言え、当時のメンバーがちらほら残ってる……無論、団長のバサラもそうだったはずだ」

「そのおかげで、奴らはサンズからの闇商船をスルーして、密貿易に手を貸してやがる。大方、財政整えて力を蓄えるつもりなんだろう」


 ギリーはふうっと、煙管の煙を吐いた。


「なるほど……その闇商船に紛れれば、サンズに帰還できる可能性は高くなるってことか。確かにアルドラの近くじゃないと意味ない作戦だな……」

「はい。最も効率的で成功率も高い作戦かと私は思います。残りの魔導経典を取り返したい気持ちはありますが、まずは戦力を整えます。そのために私は……兄、フェンディ・ノーウィックが率いるブラッド・ラインと合流したく思います」


 現実的に考えて、これ以上にない提案だった。サンズ教皇国最強の魔導師であり、エステルの実の兄であるフェンディ――彼と合流することができれば、間違いなく魔導経典の奪取はこちらの有利に働く。この作戦に挑まない理由などなかった。


「よし、そうと決まれば出発準備だ。忙しい滞在になっちまったが……ギリーの旦那、色々とありがとうな! 組合長たちも、本当に世話になったぜ」

「キエル。てめぇの腕なら、最新装備を使ってくれって技師が後を絶たねぇだろうよ。お前は俺達職人の埃だ、死ぬんじゃねぇぜ」


 組合長の直球なお褒めの言葉に、キエルは「はいはい」と、照れ臭そうに頬を掻いた。

 その傍らでエステルはギリーの息子、キャウの手を取った。


「また遊んでくださいね~キャウ。今度はお姉ちゃん達のお家がある、ベガにいらっしゃいな! ごちそうしますよ?」

「エステル達、行っちゃうんだね……せっかくお友達ができたのに、何だか寂しいや」

「キャウ……!」


 しゅんとなる9歳児にきゅんと来たのか、エステルはぎゅっと彼を抱きしめた。思えば、年上に囲まれて育ったエステルにとって、人生で初めて弟分と呼べる子との出会いだった。


「またすぐ会えますよ……人生谷あり山ありです。お姉ちゃんも負けませんが、キャウも負けちゃだめですよ!」


 その言葉に、キャウは涙を堪えてにかっと笑った。


「うん! エステルも今は谷だけど、いつかは山ができて、ドンペリの一本くらい入れてくれるお客さんが見つかるとといいね!」

「…………キャウ? それは誰が言ったんですか?」

「え、えっと……」


 無邪気な悪意が、工房を一瞬にして絶対零度に変えた。

 ふわっと息苦しいオーラに、恐る恐るエステルを振り向くと真紅の髪が、邪気に揺らいでいる。これ以上見たら目が潰れる――そんな思いで魔王に背を向けるが、彼女の眼力は彼らの背中を突き刺し、キャウにあらぬ事を吹き込んだ下手人を探す。

 困り果てる息子を見捨て、無情な下手人はゴホンとどデカい腹から咳を出す。


「ケ、ケント、お前もがんばれよ……色んな意味で」

「――あんたかよ」

「そろばんと剣も結構だが、彼女を作るのも忘れるな。そんだけ剣が立つんだ、妥協せずに行く街行く街に現地妻を作る気合でいろ」

「嫌だよ、交友費かさむじゃん!」


 今どきの若者――不況に育てられた悟り世代らしい意見に、ギリーは鼻から思いっきり煙管の煙を吐き出した。そして、説教でもするかのように腹を付き出し、


「甘めぇ――金持ちの年上を狙えと言ってるんだよ」


 酸いも甘いも経験した猛者の言葉は、脳天に稲妻が落ちるに等しい衝撃をケントに与える。何でそれに気づかなかったのだと、ケントは己の愚かさを思い知った。


「そうか……世の中金持ちのお姉さんも存在するんだ……!」

「そうさ……せっかく田舎からここまで来たんだ。愛人になる気持ちで、妥協せずにいい女を見つけて来い」


 それもどうなの? と、聞き耳を立てていたエステルやキエル達は雲散臭そうな目でギリーを見つめ、ケントに視線を移す。

 だが、ヤツの顔つきは違った。そろばん兵士にとって金は全て。お財布は全部お姉さんが何とかしてくれる――そんなセコい考えに取り憑かれたケントは、死んだ魚の目をキラキラさせ、至って真面目にギリーの話を真に受けている。


「愛人もいいけれど……」


 ――いいんかい!?


「その前にお金持ちかは知らないけど、口説き落としたいお姉さんがいるんだ」


 やや照れ臭そうだが、温かみのあるケントの苦笑に、ギリーや組合員達は口笛を吹いた。


「抜け目のねぇヤツ……! で、どうやって口説き落としてくるつもりなんだ?」

「そうだな……俺一人じゃ、心もとないから――ホットケーキ、来てくんない?」


 いきなり話を振られたリーゼントの彼は話を飲み込めず、


「――はっ?」


 ただそのキリリとした目をぱちくりさせた。

 ケントやギリー、そして組合員達の生温かい微笑みが不気味に思える。次第に重くなる心の重みに耐えかねて、ホットケーキはエステルに助けを求めた。

 しかし彼女は、彼に気合を入れるように背中をバシッと叩いて、


「頼みますよ、ホットケーキ。お遣いがてらでかまいません。ケントは押しが足りませんから、フォローをお願いしますよ!」

「え? だから、お頭、何――」

「い・い・か・ら! ケント、1時間以内に帰ってくるのですよ!」


 そう言って、ホットケーキをケントの元に付き出した。

 ケントは「はーい」と気のない返事をすると、状況を飲み込めないホットケーキを、強引にミザールの街へと連れ出た。


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