先生と女子生徒
『先生、だいすき』
『先生、あいしてる』
『先生、ばいばい』
『先生、お元気で』
……じりりりりりりりりっバンッッ
「もう、朝かよ」
高橋 和人。25歳。
職業は中学校の先生。
ここに赴任してきて1年経った。
学校の先生、生徒、親とも上手くいっている。だが、好いてくれてるわけではない。なにか問題があればすぐに築いてきたものすべて、壊れるだろう。
でも、あの子だけは…違ったのだ。
〜2年2組〜
「神崎さん!今日ね、新しい先生がくるの!!噂によると格好いいって!神崎さん、職員室に行って一緒に見に行かない?!」
飯田 栄子。顔は可愛い。なのに喋るとうるさい。そして飯田に付いて歩く金魚のフンみたいな取り巻き達もそうだ。可愛いくはないが、うるさい。
神崎 佳奈は心の中でそう思ってた。
「飯田さん達だけで行ってきていいよ。私、そういうの興味ないから。」
「神崎さん…って、空気読めないの?」
飯田はそう言うと、教室から出て行ってしまった。
「あーあ、飯田さんを怒らせちゃったね!明日、神崎さんがどうなっても知らな〜い。」
「うちも知らないから〜。」
そう言って、私の席を蹴って取り巻き達は飯田を探しに行った。
「…はぁ。」
授業始まるまで、あと10分あるからトイレに行ってこよ…。
教室の雰囲気も、なんか…悪いし。
私は、何食わぬ顔でトイレに向かった。
〜職員室〜
「おはようございまーす」
和人は、あくびをしながら職員室に入った。
「ちょっと、高橋先生。先生なんですからもう少しキチッとしてもらえませんか?生徒達に見られては私達まで馬鹿みたいにみられるじゃないですか!!」
林 恭子。35歳。独身。
いちいちうるさいババッ、いやいや…うるさい女の先生。
私達まで馬鹿みたいにって俺はもう馬鹿、決定なのかよ!
「今度からは気をつけまーす」
もう早くコーヒー飲みたい。
ブラックコーヒー。てかなんでブラックコーヒーしか、ここの職員室はないんだよ。
「高橋先生、寝癖が…ふふっ」
あ、遠藤 うらら先生…。
顔は可愛いし、性格も可愛いし、スタイルもいいし。なのに彼氏がいない。
でも、この可愛さで30歳って、ありえない!!!
「遠藤先生は今日もバッチリ決まってるのねー。」
…はぁやぁしぃ〜。
「あ、はい。生徒に好印象に見られるにはまず、バッチリ決めないとって、思いまして…」
えんどぉせんせぇい〜!
「えー、そうだったのぉ〜。てっきり男ウケ狙ってるのかと思ったわぁ〜」
ああああああ、遠藤先生、怒るよ。
そして遠藤先生に失礼だ!
「そろそろ、時間ですね。林先生、早く教室へ行ってはどうですか?」
ほら、遠藤先生、怒ってらっしゃる。
「そうですよ、早く行ってはどうです」
ふふん、早く行け。
「…ふっ、2人して何よ。遠藤先生もでしょ!」
もう面倒くさい。トイレに行こう…。
あ、職員室のトイレは確か工事してたから、2年生のトイレを借りなければいけないのか…。
〜トイレ〜(神崎 佳奈)
キーンコーンカーンコーン…
「チャイム鳴っちゃった」
まあ、いいや。保健室でサボろう。
飯田は私のクラスでは権力者だ。
親が金持ちだから、学校は飯田に、ひいき、している。
だから、クラスでは権力者になってしまったのだ。