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【番外編】  ある日の騎士の実家の侯爵家

 その日、久々に非番を迎えたクルセイドは実家で結婚の報告を行っていた。


 元々婚約をしているのだから、いまさらと言えば今さらなのだが彼女が挨拶に来る前にクルセイドとしては色々と片づけなければいけない問題があったからだ。


 ソフィアとの結婚するため、爵位は弟に継がせてほしいとの希望。


 その言葉を伝えるクルセイドの言葉に対する両親と弟の反応は、実に微妙なモノだった。


 まずは、母の弁である。


「クルセイド、貴方の言い分はよくわかるわ。愛する女性と共にある、そのために侯爵家は弟へ。とても素敵なことで童話みたいなお話だわ。……けれど、それはだめよ」

「母上、私は…」

「ねえ、良く考えて、クルセイド。貴方、ソフィアさんより国軍での地位も低くて、実際に弱くて、特に何も出来ないでしょう?だからせめて素敵な領主様になるということくらい見せて……頼りになる所を見せなきゃだめだと思うの」

「……え?」

「大丈夫よ、私たちまだまだ若いから。だから貴方を通り越して貴方の子がこの家を継ぐ可能性だってあるのだし」

「…………」

「だから気にしないで早く子供をお願いね?それに、あなたが爵位を継がないならソフィアさんのお父様は結婚許してくれないと思うわよ?」



 思った以上に息子に駄目出しを繰り広げた母に続いたのは父であった。



「…あの忌々しき男の娘か…」

「あの、父上…」

「いや、あの男とソフィア殿が違うことは解っている。だが、ソフィア殿の唯一の欠点はあの男の娘といことだ……!あのカタブツめ、訓練場の改修費用を削りおって……ソフィア殿が直してくれていなければ騎士団の鍛錬所は機能せんぞ…!!」

「あ、あの?」

「あの男は娘の姿勢を見習え。若くして財務大臣ののぼりつめたからと言って……」

「………」


 そんなに仲が悪いのであれば何故息子とその男の娘を婚約させたのですが。そうクルセイドは聞きたかったが、聞けなかった。聞こうとしたタイミングで「……女は強いぞ、尻に敷かれるな」と、妙に実感のこもった言葉を告げられたからに他ならない。

 そして最後に、弟の弁である。


「ソフィア様が姉様になるの?…やだよ、僕のお嫁さんの方がいい。僕の方が幸せにするよ」


 わずか7歳の弟が、兄に向って一番敵意をむき出しにした。


(ソフィア、お前いつのまに俺の弟に会ってたんだ。聞いた事なかったぞ。というか……)


 可愛がっていた弟が兄の結婚を喜ぶではなく、将来の義姉を嫁にするつもりだった事実にクルセイドは早く気持ちに気付けて良かったと心底思うのであった。







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