第二十四章:二人の逃避行
今回は帝国の首都を更地にした二人の逃亡編です。
巨大化したアスタロテと生活できるのか……
ぜひ見届けてください!
帝国を滅茶苦茶にしたショックから、
逃避行する一人と一匹。
あてもなく飛び続ける。
「私たち盛大にやらかしちゃったね」
「全くだ……」
「セカイを滅ぼしかけるとか笑えん」
「居場所なくなったし……」
「困ったものだな……」
「どこへいけばいいのやら」
二人は酷く落ち込んでしまう。
「ちなみに人間形態に戻れるの?」
抱きしめて欲しかったアリシアは、
尋ねるが……
「それなんだが……」
「今は無理そうだな」
「やっぱりパワーアップの影響!?」
「その可能性は高いな……」
「今までよりも、」
「五十倍パワーアップしてるぞ!」
「すごいね!」
「というか身体も引き締まって……」
なぜかアリシアはときめきを感じている。
「昨日まで太ってたみたいな言い方じゃな」
「ち、違うのよ」
「腹筋割れててカッコいいじゃない」
「わかっておるわ!」
「冗談じゃ!」
「太古の昔の……」
「温泉地に行くか」
「今はどうなってるか……」
「さっぱりじゃが……」
「いいね!」
「温泉デート?」
「もう全部捨てて二人で、」
「生きるのもいいかも」
「そしたら誰にも迷惑かけないし」
「うむ……」
「卵はベアトリスがいるしな……」
「まさかこんな結果になるとは……」
「でもあなたは結果的に救ったのよ」
「いなかったら……」
「もっと酷いことになってた」
「自分を責めないで……」
「私も帝国の女王様に聖剣を向けて、」
「外に飛び出したからね!」
「指名手配犯になってると思う……」
「さすが余の妻だな」
「たくましいの!」
「だって……」
「あなたのこと助けたかったし……」
「その……愛してるし……」
「う、うむ……」
「あ!いま誤魔化した?」
「そんなことはないぞ!?」
「しかしここまで大きくなると……」
「着地や歩くのも一苦労だと思ったが……」
「身軽に動けていてビックリじゃ……」
「さすがね!」
「アリシアよ……」
「ところで……」
「魔力パスをしておかないか?」
「これで離れていても……」
「どこにいるか、」
「すぐにわかるぞ!」
「それに余の力も多少は、」
「使えるようになるだろう」
「何より声を返さずとも……」
「会話が出来るようになる」
「わかった!」
「それで……」
「どうすればいいのかな?」
「お互いの魔力の交信じゃな」
「なるほど?」
魔法の成績がいまいちだったアリシアには、
ピンと来ない。
「わかりやすく説明すると……」
「アリシアの魔力と余の魔力を……」
「繋げるのじゃ!」
「とりあえず……」
「合体する感じなのね」
「そういう認識でよいぞ」
「あとわたし爆発しないよね?」
「平気じゃ……」
「ではアスタロテ様と……」
「魔力パスを開通します……」
「なんじゃ……」
「その変な言い方は……」
二人はお互いを意識し始めて、
祈り始める。
「なんだか……」
「愛されてる感じがするし……」
「温かい……」
「つながったのかな?」
「問題ないようじゃな」
「これは……」
アリシアが婚約破棄を言い渡されて、
傷ついた記憶を見てしまう。
「アリシアよ」
「王太子を滅ぼそう……」
「き、急にどうしたの?」
「すまぬ、なにやら……」
「記憶が入ってきてな……」
「大丈夫よ」
「あんな人より……」
「あなたのほうが大切よ」
「今度会ったら往復ビンタか……」
「ストレートパンチをお見舞いするわ!」
「そ、そうか」
「余に似てきたな!」
アスタロテは急に火球を放つ。
「な、何!?」
「どうしたの?」
「なんでもない!」
「また嘘ついて!」
「恥ずかしいんでしょ?」
「それとも惚れ直したかな?」
(アスタロテ大好き~)
アスタロテの脳内に、
アリシアの心の声が入ってくる。
これはなんじゃ……
アスタロテは内心動揺していた。
「そ、そんなことはないぞ!」
「もう着くかの〜」
「あー!」
「また誤魔化した!」
あれこれと話し合う間に、
到着した。
「もう今日は疲れたから、」
「どこかで休まない?」
「余の腹の上で寝るか?」
「ちなみに寝ずに戦える気がするぞ!」
「いいわね!」
「お腹の上で寝たいわ」
「寝返りもうたないみたいだし!」
「何もない野原だが……」
「今はそれが心地よいな」
「そうね」
「お星さまもきれいよ!」
「この光景には圧倒されるな!」
「星を吹き飛ばしたくなるの!」
「あなたのほうが……」
「きれいだけど……」
「どうやってキスしたらいい?」
「アリシアよ」
「とんでもなく攻め始めておるな」
「余の理性も消し飛びそうだ」
「また消えるの!?」
「さっきも消えてたじゃない!」
「あれは暴走じゃ!」
「あー!」
「赤黒くなってる」
「また爆発するの?」
「せんわ!!!」
「冗談よ」
「妻が魔性の女に……」
「あそこに着地できそうじゃない?」
気を取り直して、
二人は着地に適した場所を見つけた。
「そうじゃな!」
「あ……」
「地面がえぐれた……」
着地の衝撃で、
円形の深い大穴が開いてしまった。
「パワーアップしすぎ!」
「クレーターになってるじゃない!」
「うむ……」
「どう?」
「人間形態に戻れそう?」
「ぐぬぬぬぬ……」
「無理じゃ……」
「もう諦めるしかないのかもね」
「すまぬ……」
「問題ないわ」
「あなたが側にいてくれれば……」
「顔まで持ち上げてくれる?」
「よいぞ!」
「ふ~ん……」
アリシアはとりあえず頬で、
ある部分にキスした。
「なんかゴツゴツしてる!」
「不意打ちはやめんか!」
「さあ!」
「今日は寝ましょう」
「明日近くの街へ行くわ」
「聖剣しかないけど……」
「このアクセサリーでも売って……」
「お金にするわ」
「余は狩りをしようにも……」
「恐らく無理だろうな……」
「湖でジャイアントロブスターでも……」
「食べるかの……」
「私も食べたいわ〜」
「味が濃くて好きなのよね」
「ロブスターの丸焼きにしてくれる?」
「任せておけ!」
「炭にならないか心配だが……」
「そうね」
「見張っておくから……」
「余の腹の上で寝てくれ」
仰向けになり、
アリシアをお腹の上に乗せた。
「どこもゴツゴツしてるよ〜」
たくましい腹筋のくぼみで横になる。
「……寝づらいか?」
「慣れれば平気かも」
「おやすみ……」
「困ったの……」
「潰さないように、」
「気をつけねば……」
アスタロテは頭を抱えながら、
アリシアを見守り続ける。
たぶん明日は良い日になるだろう……
人間形態に変身できなくなったアスタロテ……
二人の生活はどうなってしまうのか。
ぜひ次回もお楽しみに!
【ブックマーク】で応援していただけると、執筆の凄まじい励みになります!




