表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王妃様による最高の離婚~あなた方がバカにした私が国を支えていたのですが、お気づきでした?~  作者: けい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/19

二度目の正餐会①

 マリアとその侍女が出て行き、部屋の扉がきっちりと閉まった瞬間――。


「妃殿下! あの者は一体何様のつもりなんですか! どこが謝っているんです!? 失礼にもほどがありますよ!」


 侍女のミレーネが激怒した。


「まあまあ、落ち着いてミレーネ」

「これが落ち着いてられましょうか!! 妃殿下こそもっと怒ってください! 無礼だとあの場で打ち据えても誰にも文句は言われませんよ!」

「こら、ミレーネ。相手は正聖女様なのだから、言葉には注意しなさい」

「ですが……っ!」


 ミレーネがここまで怒る気持ちも、今なら理解できる。


(前回の私も随分と落ち込んだもの。その時はマリアのことを純朴な少女って思っていたから、言葉をそのまま受け取っちゃったのよね)


 しかし、マリアの本当の顔を知っている今となれば、彼女の言葉の端々に滲んだ挑発や侮蔑がしっかりと分かった。


(安心したわ。離婚後にマリアの性格が悪くなったんじゃなくて……)


「大丈夫よ、ミレーネ。私の代わりに怒ってくれてありがとう」

「そんな、私はただ妃殿下こそが、この国で一番尊い方だと知っているだけで……」

「安心して。私は王妃の座まで分けてあげる気はないから」


(さて、様子見はここまでよ)



 

        ◆




「はぁ……」


 リナフィアは一人、書類に目を通しながら溜息を吐いた。

 日に日に増える書類の量に嫌気がさしたのではない。

 先日、突然部屋にやってきた夫に、離婚をほのめかされたからでもない。

 自分の夫の馬鹿さ加減を思えば、彼の統治する国に住まう民が憐れでならなくて、自ずと嘆息してしまうのだ。


「こんな書類まで……」


 リナフィアが次に手にした書類は、北部州からの一時的な減税申請書だった。

 税務関係は、本当ならば国王が決裁しなければならない分野であり、難しければ財務大臣に相談すればいいもの。


「なのに、読んだ形跡もないだなんて。一体、彼は日中何をしているのかしら」


 流れてくる使用人達の噂話によると、どこに行くでもルーベントの傍らにはマリアがいるらしい。まだこの世界に来て日が浅い正聖女様には、文化や国のことを教える者が必要で、それを国王自らが買って出ているのだとか。


「執務をないがしろにしてやることじゃないわ。だれか教師をつければ済む話なのに。きっと周りも言っているでしょうし、彼が耳を傾けないのね」


 ルーベントという男は、プライドの高い男だ。

 幼少の頃より王になるべく育てられた彼は、唯一の王子だったこともあり、周囲からの期待や羨望を一身に受け育った。


 まあ、常に人にかしづかれ、持ち上げられて続ければ、プライドが空の彼方まで飛んでいくのも無理はない。


「出会った頃は、そこまでじゃなかったのだけれど……」


 昔は、机を並べて一緒に勉強したこともあったというのに。

 いつの間に、ここまで自分勝手な性格になってしまったのだろう。


「おかげで、私が全部彼の尻拭いをすることになったのよね……前回は」


 為政者ならば、かしづいた者の気持ちを考えねばならないというのに、彼はかしづいた者に、己の気持ちをさらに良くするようなことを求める。

 それでも国が回っていたのは、すべてリナフィアが影で尽力していたからだ。


(本当! 前回の私、よく頑張ったわよ!)


 思わず涙ぐんでしまう。

 ミレーネ以外に誰も労う者はおらず、執務室に引きこもるようにして日々を仕事で忙殺されていた。おかげで、引きこもりの王妃と、周囲にも民にもよく思われていなかったようで、しかし、それすらあの頃は気付いていなかった。


「引きこもっていたせいで、皆私が何をしているか知らなかったっていうのもあるのよね。仕事を私に持ってくる大臣達も、自分のところの分だけって思っている節があったし……」


 自分のところの決裁書類分くらい、王妃に回しても大丈夫だろう――と皆が考えた結果、リナフィア本来の仕事の倍の量が流れてきたことがある。


「酷いときは全部署が揃ったこともあったわね……ハハ……よく私、過労死しなかったものよ」


 リナフィアは執務机の端に積まれた書類の小山をチラと見た。

 まだまだ序の口の量。

 だが、噂を聞く限りこれからもっと増えていくことが安易に予想できる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ