第一話 不思議な能力
50☓☓年、地球は崩壊を始め、まともには住めなくなってしまった。
そんなとき、ギリシャ人の少年がこんな発言をした。
「電脳世界に入っちゃえばいいじゃん」
この発言は、すぐに世界中に広がり、とうとう、電脳世界へと入る準備が整ったその時、太陽が急速に成長し始め、地球は干からび、生活なんて出来なくなってしまった。
なんとか生き延びた人々は、電脳世界の発展を進め、すぐに元の世界どうりにすることができた。
この物語はこれから約1000年後、6312年の出来事である。
メイ「そろそろ学校に行きましょう…」
私の名前は躍運メイ。
電脳中学校に通うただの中学生。
「あ…茶柱が立ってる…」
そう。私は最近異常に運がいい。
席替えのくじ引きで毎回後ろの席を引くし、
占いでは必ず1位が出るし、
信号も私が通るタイミングで丁度青になる。
さらには母が興味本位で買った宝くじで2等が当たったりもした。
運は一定の波があるという。
だからこの波が一気に押し寄せないかと少し心配気味…
そろそろ波が来てくれた方がいいかもしれません...
そうこうしているうちに、学校の支度ができた。
「行ってきます」
母にこう告げ、玄関の扉を開けた、その時だった。
母の方から食器が割れる音が聞こえてきた。
驚いて振り返ると、そこには、母が倒れ、持っていたカップが割れている姿があった。
何故倒れているのか、生きているのか、と考える前に私の頭の中にあったのは、
「災難が来てしまった」
でした。
私は、瞳に涙を流しながら119に電話をかけた。
「私のせいで」
「私の運が良かったから母は倒れた」
そんな考えが頭を埋め尽くす中、今度はたった一つ、頭の中にあった、
「どうか、目を覚まして」
という言葉が私の脳を埋め尽くした。
すると、先ほどの体調が嘘のように、母の目が覚めた。
母「なにか、不思議な夢をみてたみたい」
「急に体調が悪くなって、倒れ込んじゃう夢だった」
「最近、睡眠不足だからかな…」
と、母は主張するが、私は間違いなく倒れた母を見たのだった。
そして、119に電話を…
私は、ハッと怖気づいてしまった。
ここに救急車が来たら、何も無いのに救急車を呼んだことになってしまう。
そうなればものすごく迷惑だ。
どうか、救急車は来ないで…
そう考えながら私は学校に向かった。
私は私立電脳高等学校に通っている。
この学校では電脳世界の歴史を中心に学んでいる。
ギリシャの子供が電脳世界を提案したので、
ギリシャ語を学ぶこともあった。
今日の授業は歴史と希語。
希語とは、ギリシャ語のことだ。
歴史では、電脳世界がどのように作られたかを勉強した。
なんとかコードがどうだか、すごく難しい。
みんなもものすごく苦手で、テストは毎回、全体的に悪い。
希語では、複数形について勉強した。
ες がつくのは2000年代に使われていた英語?と同じらしい。
奇妙なのが、今日の休み時間に、友人の心扉カギと話したが、なぜか人目を気にしている素振りを見せていた。
「えーっと、人は居ないよね?」
から会話が始まるのは、クラスのムードメーカーである彼女では考えられない。
何故人目を気にしていたのか、人に話したくないことがあるなら何故私に話しかけてきたのか、それは謎のままだった。
後日、カギはいつもどうり、みんなと挨拶を交わしていた。
青い長髪に制服を着ている。
まるで昨日何もなかったかのように振る舞う彼女を見て、私は驚きの表情を隠せず、一瞬フリーズしていると、いつの間にか彼女がこっちに近寄ってきていた。
カギ「あ!メイ!おはよ〜!」
メイ「あ…おはよう…ございます…」
突然すぎる挨拶に、ぎこちなく答えると、彼女はこちらの心を見透かすかのようにこう囁いてきた。
「昨日のことでしょ?」
「こっちに来て」
私は彼女に引っ張られ、中庭に来てしまう。
メイ「ここで…何の話をするんですか?」
そう聞くと、
カギ「いいや、ここじゃない。ここよりも…」
「上だよ」
メイ「え?それってどういう…」
カギ「ドアー・ステップ」
…え?
私は、いつの間にか屋上に来ていた。
ほんの一瞬、落ちたような感覚がして、何だと思い下を向くと今まで立っていた中庭が見える。
そんな状況だった。
カギ「じゃあ、話を始めるよ」
私が困惑していると彼女はもうすでに話を進めていた。
カギ「この能力、あんたも持っているんだよね?」
「あんたのはわかりにくいけど、たぶん『運を操作する』っていう能力なんだと思う」
この能力のことをこれからは「四つ葉」と呼ぼう。
「あたしのは、『なにかにドアをつけて、ドアとドアを繋げる』っていう能力なんだよね」
あ、これは「鍵」ね。
能力?
話を聞くと、彼女は最近、あのドアのような何か...「鍵」を操ることができるようになったらしい。
そして、私が最近運がいいのも、能力...「四つ葉」とやらの仕業と言っていた。
カギ「まあ、どういうことか、『世界のバグ』みたいなものがあたし達のところについてきちゃったかんじかな」
「あたし達はどうもできないけどね」
彼女はそう言ってまた呪文のようなものを唱えた。
「ドアー・ステップ」
いつの間にか中庭にいた。
その能力とやらで移動したのだろう。
本当に、不思議な力だ。
第一話 不思議な能力




