表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

月より

ローズが言ってた「愛を囁く男に(まこと)は無い」と。

今ならミチコにも分かる。

褒めそやし自己肯定感が上がる美辞麗句びじれいく)を並べ立てるより

「抱きたい」と言ってくれるのが、嬉しいのだ。

1年抱かないステファンより、屋台飯を我慢して1年お金を貯めて買いに来てくれた少年の方が、

ミチコには愛を感じるのだ。


平和だった租界に砲弾の音が響く。

とうとう日本軍が租界の中国街へ攻め込んだのだ。

上海事変が始まった。

ステファンのカジノや屋敷はちょうど境界に近かったので砲弾が命中してしまった。生死は分からない。

マダム・エラの異人娼館も危ない。

「共同租界の屋敷へ移動するよ!皆!逃げたら借金倍額にするからね!」マダムが娼婦達をドヤしつける。

小夜子以外は皆、金でマダムに縛り付けられているのだ。

マダム・エラは亡くなった夫がイギリス人だったので

共同租界にも屋敷を持っているのだ。

さすがの日本軍もイギリス領の共同租界には手出しできない。

「ミチコ、アンタはもう自由におなり。

借金も無いしステファンに身につけて貰った分も娼館も儲けさせて貰ったよ。」と来た時身につけていたドレスをミチコに返す。

砲弾の中で異人娼館の皆と別れ、ミチコはどこへ行けば良いのかオロオロする。

久しぶりに着たロングドレスとヒールで走りにくい。

「お姉ちゃん!こっちだよ!」ストリートキッズの少年が、ミチコの手を引く。

「日本が優勢だから、日本軍の兵舎に逃げ込もう!」少年は火の手避けミチコを連れて走る。

ステファンらしき男を瓦礫(がれき)の中に見かけるが、今は少年の声しか耳に入らない。

息を切らしながら2人は戦火の中を生き延びる為に走った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ