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私の少年

ステファンの紹介客には賭け仲間達もいる。

特にタバコ商の木村は、日本語が通じるのでついつい

話過ぎてしまう。

ミチコにも自分が孤児院から貰われる前から、租界ナンバー1娼婦の育成シミュレーションゲームの駒だと

うっすら分かってきた。

木村が育てた白系ロシア美少女がミチコにトップから蹴落とされたので面白くなかったのだろう。

白系ロシア人は、元々ロシア帝政時代の亡命貴族達なのでそんなに出入りもないし家族で亡命してきてる。

娼婦はお呼びで無いのだ。

ミチコは妻子を日本に残した日本軍人の客が多いので

通いやすいし女に飢えてる。

そして日本政府は中国侵略をだんだん隠さなくなってきている。

どんどん軍人を上海に送り込んでいるのだ。

数の暴力でミチコの方が稼いでいるのだ。

でも木村はハゲデブ親父だから、白系ロシアの美少女をちゃんと親達から金で買っている。

そこに色恋は持ち込んでなかった。

他のメンバーも恋人にしていた男はいなかった…

その為娼婦のモチベが続かず手抜きするようになり

商品の娘達に馬にムチを入れるように

暴力を振るう事も増え、商品価値をより落としていたのだ。

ステファンの勝ち逃げが決まったらしいと。

木村は日本語が話せないストレスが溜まっていたのか?

勝敗が決まったからか?ペラペラと話していった。

なぜか、もう悲しくもなく涙も出なくなったミチコだった。


娼館の1階が騒がしい。

部屋から顔だけ出して階下を見る。

あの窓から見てた裏路地のストリートキッズの少年だ!

手に銀貨1枚を握りしめマダム・エラと言い争っている。

ミチコは部屋を飛び出して階下に降りた。

「どうしたんですか?」聞く。

「この子がアナタを買いたいと銀貨1枚で来たのよ。

今のアナタは銀10枚だから無理だと帰そうとしてるんだけど、渋とくて!」マダム・エラに負けないなんてスゴい少年だ。

少年がミチコに手を差し出す。

その手には銀貨が1枚…

少年が袋に貯めていたのは、きっと銅貨だ。銅貨100枚で銀貨1枚の価値なのだ。

この銀貨は少年が包子や羊串を我慢してコツコツ貯めた銅貨100枚で交換した銀貨なのだ。

「仲間に教えて貰ったんだ。お姉ちゃんはお金で買えるんだって。

だからずっと貯めてたんだ!」差し出された銀貨がなぜかキラキラして見える。

すごく嬉しい。

ミチコは思わず受け取る。

「良いのかい?ステファンの紹介がないとダメだけど?」マダム・エラが心配する。

「いいえ、この子は私の客です。それにココに来た頃は銀貨1枚でした。適正価格です。」

着物の前を片手で抑えて隠したまま、片手で少年の手を引く。

階段を登って部屋に入る。

着物を抑えていた手を離すとベッドに少年を座らせる。

「私はアナタのものよ。すごく気持ち良くなって。

どうか楽しんで、あなたは頑張ったんだから。」

少年に覆いかぶさった。

遠くでステファンの悲鳴が聞こえる。

彼が作り上げた人形がチャイナドールが、生きた娼婦になってしまった。

彼の世界が、壊れていく。

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