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外の世界からのお客さん

 


 拗ねたような視線をハイゼットに向け、馬車の荷車に移動してきたアトラスを睨むシビリアン。


 彼女の本名はオッティ国第一王女 シビリアン・ツーリスター・オッティ。


 由緒正しきお姫様だが、ご希望によりハイゼットたちの旅に同行をした。


 原因は三邪王であるハイゼットたちが、アトラスを男性と思い込みもありアトラスを旅たたせるためのきっかけとして、お姫様ことシビリアンを偽りの魔王に扮して攫ったことにある。


 成り行きでこうなったがこれから旅をする上で、アトラスとシビリアンには仲良くなっていただきたい。


 寧ろ、不仲になる理由が無いし、意味が分からない。


 小さな体に移したシビリアンは、アトラスに向かって小人ほどの胸を張って言い放つ。


 「よろしいですか?アトラスさん、ハイゼット様は私のご主人様です!いくら貴女がハイゼット様に可愛がられて……アン!」


 ハイゼットがアトラスの目の前の空中で停止していた、シビリアンをふんだくると馬車の荷車の隅っこに急いで連れて行った。アトラスは案の定よく展開が分からない顔をしてる。


 「~~~~~!!!………シビリアンッ!!!!」


 俺が結構酷い形相で睨んでいるんだけど、なんかシビリアンは至近距離で顔をちかづ行けられているからか、ポッと顔を赤くしている。そんなことはどうでもいい。


 「俺が変態だと思われるだろうが!!」


 気持ちとしては叫びたがったが、アトラスに聞かれるのであくまでも小声で。


 ご主人様発言は禁止、アトラスと不仲になるのも禁止と約束したはずだ。なのによりにもよってアトラスの前で、ご主人様と俺が呼ばれた。


 さらにアトラスを気にかけているのをアトラスに知られるのはまずい。


 俺にとってアトラスは赤子の頃から知っているのだけれど、アトラスからしたら二日前に偶然に村を襲ったモンスターから助けてくれた旅人に過ぎない。


 アトラスが俺たちにとって特別なのを知られると、おまっストーカーか?ってなってしまうんだよ!!


 「頼むから!アトラスと仲良くしてくれ!!」


 はい、これも小声です。


 「ですが、アトラスさんだけハイゼット様に贔屓にされていますぅ」


 俺たちにとってスペシャルであるアトラスにすねているのか、可愛い。と思えなくも無い。


 でも、シビリアンちょっとスペシャルというカテゴリーの枠が、シビリアンが考えているのと違うぞ?


 アトラスとシビリアンに感じるのは、自分たちの思惑に付き合わせる罪悪感と子供に対しての保護欲のみ。


 シビリアンが(何故か)俺に感じているらしい恋愛感情は無い。


 「俺たちの仲間になった以上、ちゃんとシビリアンも俺の特別だ。ある意味アトラスよりもな」


 彼女のご機嫌を直して頂くために、上辺だけではない本心を彼女に伝えた。これは本当。


 人間に感心を向ける人物はアトラスとシビリアンだけ。その上でアトラスとは違い、アトラスは知らない俺たちの計画を知っているシビリアンはある意味アトラスよりも特別とも言える。


 ちょっと視線をそらしていたシビリアンも、嬉しそうな顔で小さく頷いた。


 前に母上が言っていた、女性には「君が特別と」伝えれば喜ぶって、本当にヒットなんだな。流石母上。


 意識はしてないが、魔神の趣味と教育によって行動がプレイボーイになっているのをハイゼットは気付かない。


 安心したハイゼットは、手を離してシビリアンを解放した。


 さてと、後ろで置いてきぼりになって立っているアトラスに、ハイゼットとシビリアンが振り返った。


 「悪い、コイツはシビリアンって俺と契約している妖精だ」


 ハイゼットが軽くシビリアンを紹介する。実際には妖精と契約するなんてありえない。エフルや精霊たちと人間は永久中立を交わしているので。


 ニッコリ、紹介されたアトラスは笑い答えた。


 「ヨロシク、僕はアトラス。でもシビリアンってお姫様と同じ名前だね?何となくだけど雰囲気も似てる」


 そりゃそうだ、本人なんだから。だがしかし、バレるのは困る。

 

 「さあ…偶然の一致じゃないのか?お姫様は妖精じゃないだろ?」


 アトラスは、特別不思議がることも無く「それもそうだね」って笑って流した。


 その間にも、シビリアンは面白くない顔をしている。存在をほっとかれて面白くないのか?


 「ほら、シビリアンも挨拶をしろ」


 小さな背中をハイゼットが押して、アトラスの前にシビリアンを連れて行く。心境は礼儀を教えるお兄ちゃんだぞ?俺。


 「シビリアンです、どうぞよろしく」


 決して視線を合わせない、しかも事務的な挨拶。先ほどのファーストインパクトに比べればまだよしとしよう。


 「うん」


 アトラスはいい子なので、満面の笑みでシビリアンの無愛想な挨拶にも大きく頷いた。そしてハイゼットに視線を動かし。


 「エッセが今日は次の街でいる物を整えるために寄るって」

 「そうかい、丁度よかったかもな……」


 小さく、呟くハイゼットにアトラスが聞き返す。


 「ん?ハイゼット何か言った?」

 「いいや、何も」


 顔を隠すようにある首に巻いた布を、自分の口元まで持ち上げて目を細めた。


 アトラスを人間が住む世界と魔界を隔離するために、滞在しているサファリでエルフと約束を結んでいる。


 族長の娘を見つけ出すこと、アトラスが17年になるまで隠密に探してきたが、手がかりは本当に少ない。


 族長の娘を探したくても、存在を探せない。彼女は結晶化をして心と体を閉じ込めていた。


 これはもう自分の足で、四方を探すしかあるまい。


 魔王であるハイゼットは、交わした約束は可能な限り叶える。これは信条である上に母親の教え。


 シビリアンを自分の肩に乗せると、荷車の端へ座り。


 世界でも有数な闇市場へいく計画を頭で組み立てていく。


***


 さ迷う魂を入れたモンスターには、アトラスが住む国。オッティ国には配属していないから国を出るまでは平和だ。


 スムーズに国王がいる城下街を過ぎてから、ちゃんと次の街へついた。


 目的は食料やアトラスの装備の充実。武器であるハイゼットが造った剣はともかく。


 普通の布で旅が出来るほどたやすくは無い。ここで消耗品を揃えておきたい。


 お城か城下街で整えておけばよかったと思うだろうが、お城の兵士が使う備品にはオッティの紋様が刺繍してある。お城のお抱えがウロウロしてみろ?お城で何かあったとばれるだろう。


 城下街では城下街の外壁が立派に建ち、鉄壁の守りなので兵士でもないのに旅用の服はあるが鎧なんて必要ない。それだけ平和な国だ。


 城下街では満足な買い物ができなから、隣の大きめな街へ標的を変えたのだ。


 隣の街では野生動物を想定して、多少はマシな装備品が取り扱われ売られている。


 それも、お隣の大きな軍事国家のお国からしたら鼻息で笑う程度のちゃちな物だが。


 とにかく、体が素晴らしく丈夫なアトラスも、服までは丈夫じゃないから厚手の旅用の服を何着かミラジーノと一緒に見ているらしい。らしいとつけたのは俺が単独行動をしているから。


 今日はその街に一泊するとして、一日自由行動にしてもらった。俺はエルフ族の族長の娘を探したいから、だったのだけど。意外にエッセも1人で用事があるといって何処かへ消えた。


 しかも人間の住む世界サファリには、エッセの魔力も存在も感じない。サファリにいないなら魔界へ里帰りしているのかね?


 まっ念話は何処にいても届くだろう、緊急の場合はそれでエッセを呼ぼう。


 人気のない場所で俺は小さな相棒、シビリアンを肩に乗せてから瞬間移動をして、滞在していた街から姿を消した。


 その頃、エッセは時空を飛び越え、三世界――天界と魔界と人間が住む世界と別世界の狭間を訪れた。


 目的は一つ、外からきた異世界の住人がどの程度まで自分たちの世界へ干渉しているかをこの目で確かめるために。


 不安定な波動だけの世界へ足を踏み入れる、行き方は覇王として管理する場所のひとつなので分かっていたが、実際に訪れたのは生まれて始めてだ。


 そして自分の姿を、人間の鎧を着た青年から、覇王として魔力の源である翼を出した普段着に戻した。


 赤黒い羽に、赤い色を多く使ったロングコート調の私服はエッセのお気に入りだ。


 ボタンをはずし胸の辺りを広げ、ちょっと男のボインをチラ見したのが、セクシィー。


 そんなのはともかく、エッセが周囲を見渡す。


 暗闇、いや光りすらないので闇も無い。そんな場所で様々な影響を受けて波紋が、水面を走るように所々に現れては消える。


 エッセが瞬間移動してきた場所には既に先客がいた。


 天界の闘神の長でもあり、第二神豊穣の女神アリストの夫である第五神の旦那ヴォルツであった。


 久しぶりに、いじけていない姿を拝見できたエッセは眉を顰める。


 他人の園丁に引きこもる第五神の長に、エッセは複雑な心境だった。


 「オッス」


 しかし、第五神ヴォルツはエッセと目が合うと軽い挨拶をして腕を上げる。


 これでも闘神としては最強の男だ。その妻は最恐だろうが。


 見た目は二十代後半の青白い鎧を身に纏った男、身長はエッセより少し高く体格もよい。


 美形というより男前のハンサムな顔で、感情が豊かな分に表情がころころ変わる。


 髪は短めで、無駄はなく。少しだけ褐色色の肌と紫の瞳が特徴だ。


 この男が視察に自分と同じように訪れている、闘神も覇王も役割は外敵からの守護。面白くないレベルまで警戒の内容をあげなくてはならないかもしれない。

 

 「何か見つけたか?」


 エッセは、自分に視線を向けた後に直ぐ何処かを見つめるヴォルツに訪ねてみる。


 「ああ、次元に綻びを見つけた。すげぇ小さいんだけどよ、ほら」


 ヴォルツが指をさす先をエッセは目を細め、暫く見つめると確かに違和感があった。


 「もう、三世界に外からの生命体は入ってきてるぜ?目的はいまん所さっぱりだけどぉ~ろくなことねーゾ…多分」


 あーあ…折角アリストと仲直りして暫くイチャイチャしようとしてたのによ。なんてヴォルツのボヤキをワザと右から左へエッセは聞き流し、時空の綻びに意識を集中していると。


 数人が入り込んだ形跡を感じた、戦争を前提とした軍隊クラスの規模でゾロゾロと三世界へ侵入している訳じゃない。ただ数人がなんらかの意思と意図をもって三世界へ侵入したようだ。


 では、何処だ?


 不服にも長い付き合いのヴォルツはエッセの心の呟きを見抜く。


 「知らんよ、そいつら上手く姿を隠している。それ以上探るとエルフや精霊が発狂するぞ?」


 エッセにヴォルツが警告してきた。特定の人物を探すのにあらゆる場所に魔力を送り探し出す、だが。


 入り込みすぎると結界で守られている天界と違って、魔力に敏感なエルフや精霊たちが狂う可能性があった。


 天界も魔界も特有の結界を張ってあり、天界には最高神と第二神アリストが守って、魔界では魔界の神がいる。彼らを相手にするよりは人間たちを始め、様々な種族が入り混じって住むサファリが一番潜入しやすいはずだ。


 「ああ、分かっている。しかし…」


 暢気に後手に回っているつもりか?と聞く前に。


 「あらら…、アチラさんからワザワザおいでなさった…ご苦労なことで」


 不適にヴォルツが笑い構えるでも無く腕を組むと、狭間の次元が歪み。


 妖艶な美貌を持つ美女と、一体の巨大な怪物がエッセとヴォルツの前に姿を現した。


***

 

 同時刻、エッセから事情を聞かされてないハイゼットは、オッティ国から遠く離れた治安の悪い国の街をシビリアンと共に歩く。


 ここは政治を統括している国王が、無能なために秩序が保たれずに悪がのさばる素敵な所。少しの油断も命取りだけどハイゼットには関係ないことだ。裸で寝ていても誰にも彼を傷つけられない。


 しかし妖精を従わせているハイゼットが珍しくて、何度も絡まれたがその度に、人間の悪党など指先一つでダウンさ~。


 それを数回繰り返すと、シビリアンをハイゼットの肩から掴んで逃げようとする輩まで出る始末。治安の悪さに名高い国なだけある。


 彼女には悪意を持って接触する者を弾く魔法を掛けてあるから、シビリアンに触れる寸前で結界が発動してシビリアンを誘拐しようとした悪党は手を弾かれた。


 それに驚いている隙に、ハイゼットは腰に提げているナイフを悪党の首に突きつけ。


 「彼女に触れようなんざ、千年はえぇよ」


 ドスを聞かせて、睨むだけで悪党は逃げ出す。そんで喜びシビリアンはハイゼットの右頬に抱きつく。


 「はい、その通りですハイゼット様!!私シビリアンは髪の毛一本までハイゼット様の所有物ですぅ~」


 いやいや、君の主になったつもりは微塵も無いから。


 そんなやり取りまでも、飽きずに繰り返して薄暗い路地を進んでいると。


 1人の少女……訂正しよう、1人の幼女がハイゼットの前に立ちはだかった。


 真っ直ぐにハイゼットを見据えて、本当に小さな胸をはる。


 その様は小さな女王様、身長はドキドキの117cmほどで、あるご趣味の方は興奮する大きさ。


 年齢は8~9歳頃、髪の色は銀髪のツインテール。しかもツインテールを縦ロールにしているところが気品を強調している感じすらあり、間違っても保護対象にはなっても恋愛対象には入れてはならない年齢だ。


 顔もお人形みたく、整い。クルクル丸い瞳は赤いのが印象。


 ミラジーノのゴスロリとまでは言わないが、フリフリを控えめにあしらい。どちらかと言うと一生懸命大人のファッションを目指し、失敗したような……。


 幼女の後ろでは、男を従えて立っている。男は紳士に白いシャツに黒いカジュアル・ジャケット、ジャケットと同じ色のズボンを履き。


 頭にはオシャレな紳士が被る渋い色のハットを乗せた、二十代程度の男だった。


 幼女と相反して、ハイゼットと同じくらいの長身でスリムな体型。髪の色は濃い茶色、顔も整っているが能面のような笑顔と細い目で張り付いたような…馬鹿にしているような表情を出していた。


 小さなクイーンとマリオネットの従者が何か?


 ハイゼットは目を細めて、軽く相手の出方を見る。普段ならば無視をするが、幼女と紳士服の男から何とも言えない重圧を感じる。


 ハイゼットがにらみ合い、お互いの沈黙に痺れを切らして口を開く前に、幼女がハイゼットに指をさして言った。


 「貴様が魔王ハイゼットか!?」


 高い声、実に幼女らしい少し舌足らずなのに、古風な言いまわし。


 「……何故俺が魔王と知っているんだ」


 静かに、ハイゼットが幼女と紳士服の男を睨む。ことによっては記憶を抹消させてもらう。シビリアンも緊張でハイゼットの長い髪を掴んだ。


 ハイゼットが動こうと、手を動かそうとした瞬間。


 「光栄に思え、あたくしに貴様の子供を生ませる栄誉を与える」


 はい?


 なちて?

 

お待たせしました、待っている人いるかは別として遅くなりました。

本当に二週間ほどデスマーチが続いて心身ともに疲れた長毛種の猫でございます。


休みがほしぃ~、本気で学生が妬ましいぃ~。


とにかく新キャラです、中々アトラスの旅を進ませてもらえません、頭の中で勝手に動くんですよ!!まったく可愛いやつらです。

もうちょっと他の小説を含めて更新度を早めたいと毎回言っているのですが、早く書きたいのでどうぞ見捨てないでください。

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