第1章~いつもの仲間との飲み会
このお話は、2010年(平成22年)頃に当時の同僚と飲んでいた時のお話になります。
この当時は、現場内で自分を含めた末端の作業員(役職の無い人達)の仲が良好だったので、毎月毎月同じメンバーで飲みに行っていました。
いつものメンバーは、自分(土井)を含めて4人いました。
そのメンバーは、高玉さん、岡野さん、清野さんでした。
当時の4人年齢は、高玉さん31歳、岡野さん34歳、清野さん26歳、自分が38歳でした。
このメンバーで既婚者なのは、岡野さんと自分でした。
飲み会では、季節に合ったメニューに舌鼓を打つのが何よりも楽しみでした。
安くて美味しい店、食べ放題の店、珍しいお酒が飲める店、飲み放題の店、奇抜なコスチュームの女性店員がいる店(バニーガールやバドガール他)、夏場のビアガーデン、メイドさんが45分おきにミニステージでアニソンを歌うメイド居酒屋、クリスマス時期にミニスカサンタで接客してくれるレストラン…。
とまあ、上記メンバーでいろいろなお店に行ったものでした。
ただ、酒の肴としての面白い話はなかなか炸裂せずに、盛り上がりに欠けていました。
やはり、毎回の様に同じメンバーで飲んでいると、次第に酒の席での話題も縮小していきます。
だったら、若い女性店員が売りのお店に行って、目の保養をすればいいじゃないか!
そう思われるかもしれませんが、得てしてそういうお店では常連客しか相手にしていないものなのです。
なので、最初は興味本位で若くて可愛い女性店員が接客してくれるお店に行くものの、ある程度満足したら普通の居酒屋に戻っていくのです。
今回のお話は、そんな4人が飲みの席で語った内容になります。
それでは、そろそろ本題に入ろうと思います。
それは、2010年の夏が終わった頃でした。
更にいうと、ビアガーデンの季節が終わってから間もない時でした。
いつものメンバーで、会社近くの焼き鳥屋で飲んでいた時です。
高玉「あ~、もう来年までバドガールは見られないんだな~」
土井「今年は最高だったな、やっぱバドガールは金髪美女でしょう!」(日本人女性もいましたが、バドガールのコスチュームは体系的に外国人の女性の方が似合っていました)
岡野「いやいや、金髪美女だったらバニーガールの方が断然エロいでしょ!」
高玉「そりゃあ、男だったら舐め回すように見ちゃうでしょう!」
土井「そういや、高玉君はバニーガールと一緒に何枚も写メを撮っていたよね」(写メ→携帯で撮影した写真の事)
岡野「あれどうすんだ~?あんなの彼女には見せられないだろう!」
高玉「いいんだよ!俺に彼女がいないんだから」
清野「でも、俺には長年付き合っている彼女がいるから、そういう写真は撮れないんだよ」
高玉「何だぁ…、いいなあ~、お前もそろそろ結婚を考える時期だもんな」
岡野「もうそんな時期か~、清野君がここの現場に来たのは20歳だったよね」
土井「あれからもう6年か~」
清野「そうですね、いろいろと指導してもらってありがとうございます」
岡野「それはいいとして、清野君はいろいろと資格も取ったし、現場も安定しているから、そろそろ結婚してもいいと思うぞ」
清野「そんなぁ、まだ早いですって…」
岡野「いやいや、結婚は早い方がいいって!子育ては体力が無いと厳しいからな」
高玉「そういや、岡野さんって何歳で結婚したんだっけ?」
岡野「俺は、前々から付き合っている彼女がいたから24才で結婚したよ」
高玉「俺から言うのもなんだけど、もし、結婚するなら30歳になる前の方が断然いいぞ!」
清野「俺なんてまだクソガキですよ」
岡野「それは卑下し過ぎだろう」
土井「結婚するんならメディカルチェックをした方がいいよ、お互い健康じゃないと乗り切れないから」
清野「それは考えていますよ」
岡野「だったら今がチャンスだぞ!現場には十年戦士が揃っているから新婚旅行で10日は休めるからな」
清野「ありがとうございます!でも、何か踏み切れなくて…」
岡野「結婚は勢いだぞ!皆もそう言っているじゃないか!」
高玉「そういうもんなの!30過ぎると急にやる気が失せてくるから」
土井「何かリアルだね…」
高玉「見ろよ!同じ30代で俺と岡野さんの違いを!」
岡野「まあまあ、そう言うお前も30歳そこそこで結婚を諦めた訳じゃないんだろ?」
高玉「それはそうだけどさ…」
土井「清野君!やっぱ、彼女がいると余裕なんでしょ?」
清野「それが…、そんなにはいい事ばかりじゃないんですよ~」
岡野「そうか~、まあ、人にはいろいろあるよな…」
清野「あの、今度皆さんに相談したい事があるんですが…」
岡野「いいぞ、遠慮なく言ってこいよ!お金なら無いけどな」
清野「別に、お金を借りたいとかじゃないですよ」
高玉「じゃあ、転職したいって事だろ!そうだ、そうに違いない!」
清野「いやいや、今は大丈夫です」
高玉「それで、相談って何なんだよ?」
清野「いえ、今すぐって訳じゃないんですよ」
高玉「何だよ、言いたくないなら最初から言うなよな~」
岡野「分かった分かった、お前が言いたくなったら早めに言えよな」
清野「ありがとうございます」
高玉「何だよ、本当は大した事じゃないんじゃないの?」
土井「少しだけでも言えないの?」
清野「すいません…、時期が来たら必ず話しますので…」
岡野「まあまあ、この話はこの位にして次のつまみでも注文しようぜ」
土井「そうだね、じゃあメニューを貸して」
この時の僕らは、清野さんから後々に聞く話の事なんて想像もしていませんでした。