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第八話 戦闘

春ですね。春になると何か新しく自分が変わったような気になります。

ええ、気のせいです。

では、ブレないシロイとクロイのお話をどうぞ。

全く身構えることなく無防備に佇むシロイの前に素早く影を出すクロイ。絶対的な信頼関係のなせる業なのだろう、シロイに臆するそぶりは微塵も見えない。

そしてその影がリーダーの男の初撃を難なく防ぐ。

「まだギリギリの方がいいのか?」クロイはシロイの方を向きながらよそ見をしたまま残りの2人の攻撃も防ぐ。

「もういつも通りやっちゃっていいよ、ただ殺さない程度でよろしくね。後、今まで全然ギリギリじゃなかったけどね」楽しそうにクロイに微笑みかけるシロイ。

「そうか、弱すぎたか。難しいな」力を押さえる加減は苦手のようなクロイ。

気を取り直し、3人に向き直りスッと影を3つその3人の後ろに音もなく浮かび上がらせる。

その時少し離れた建物の窓から一筋の殺意がクロイに向けられていた。狙撃手である。


スコープを覗き込みクロイの姿を捉えたまま、今まで銃に添わせるようにまっすぐに伸ばしていた人差し指を引き金へかけようとしたその瞬間体の自由を奪われた。

指一本動かすことができない、正確には拘束されているわけではなかった。背後からのその殺気に本能的に動けなかっただけだ。

背後にはクロイの影がまさに獲物を捕らえよと殺気を放ち現れていた。

時を同じくして3人と少し離れたところの1人はクロイの影によって捕縛されることとなった。


全ての様子をすぐ後ろで一部始終見ていたカールゴンは今の現状を把握しようと状況を冷静に判断していた。

「さて、じゃあ君達はヴァレンティノのところに連れて行くとしよう」当初の予定通りという感じでシロイが言う。

「離れたところの奴もこっちに連れてくるか?」クロイがシロイに問いかける。

「そうだね、4人まとめて外の運転手に運ばせようか。手配したのはロマーノだろうからヴァレンティノと一緒にいる時に連れて行こうかな」まだまだお楽しみは終わってない様子のシロイ。

ヴァレンティノだと? カールゴンは声に出さずに心の中で叫ぶ。もしこの刺客達がヴァレンティノから向けられたものなら最大の危機を乗り切ったことになる。この2人との関係を切ってはいけない、カールゴンの直観による決断である。

「じゃあまたね、カールゴン」友達の家から帰る時のように挨拶をするシロイ。

「たすかった、あ、ありがとう」カールゴンの素直な気持ちからの礼を聞きまんざらでもなさそうなシロイとクロイだった。


そして車で待機していた運転手の元にやってくるシロイとクロイ。

「やあ、君も仲間だろ? 言うとおりにできるよね」カールゴンを連れ去るためにワンボックスカーで来ていた運転手にシロイが話しかける。

外の様子を探るために窓を開けて警戒しながら周りに注意を払って待機していたつもりだった。しかしいきなり車の目の前に仲間4人が拘束された状態で現われ窓の横にはただならぬ気配を纏った2人が立っていた。

敵わない、素早い判断だった。両手を上げ降伏の姿勢を示す。

「分かった、言うとおりにする」他の4人より戦闘能力に劣るからこその運転手なのだが決してこの男も弱いわけではない、この2人と比較しなければの話ではあるが。


捕縛した4人を後部のハッチを開け荷台に放り込むと、シロイとクロイの2人は後部座席へと乗り込む。

「たまには車での移動もいいね、運転手見つけようかな」どんな時でも楽しいことを考えるシロイ。

「そうだな」珍しく車での移動もいいものだと思い素直に同意したクロイ。

「それじゃあ君たちのアジトに行ってもらおうか、出発進行ー!」車さえもシロイには他のオモチャと変わらないようだ。

「あ、そうだクロイ、ヴァレンティノとロマーノに影をお願い。一緒にいるとこに会いに行くから」含みのある笑顔でクロイにお願いをするシロイ。

「ああ、分かった。夜の闇があればどこへでも影を送れる」お願いされるまでもなく了承するクロイ。


そしてしばらく車を走らせ港の第三倉庫へと到着する。

「うわー、いかにもって感じのとこだね」思ったことはすぐに口にするシロイ。

「シャッターを開けて中に車を入れろ」クロイが運転手に指示を出す。

車ごと倉庫の中に入れるとシャッターを下ろすよう再び指示を出す。

シロイとクロイが車から降りても運転手は2人の目的が分からず動けずにいた。殺されるわけではなさそうだが掴みどころがない、いつ気が変わって殺されるかもわからない。とにかく指示されたこと以外はしてはいけない、そう考えていた。

「今日はヴァレンティノもロマーノも動かないだろうからまた明日だね。逃げなけりゃ何しててもいいよ、それじゃおやすみ」車から降りるなりシロイがそう伝え本来なら事務所として使われるであろう倉庫の奥の部屋に向かって歩き出す。

「影を置いていく、逃げようとすれば容赦はしない」クロイがしっかりとくぎを刺す。

そして2人は奥の部屋に入って行った。


同時刻、ドエイドのアジトにてサイラス。

最後に5人からの報告があったのは今日の夕方の6時。その夜に行動を起こすというものだった。そして今現在の時刻が深夜1時。

行動を起こしたのならばそろそろ終わっていてもいい時間のはず。カールゴンを捕らえるだけ、それだけの予定のはずだ。

何かあったのか? サイラスは一抹の不安を払拭しきれずにいた。



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