第三話 アジト
第三話です、すでに執筆に遅れが・・・ がんばります。
ニューヨークのマンハッタンに浮かぶ無人島。カールゴンの活躍によりここがアルカトラズのアジトとなる。
「やるじゃん、カールゴン」満面の天使の微笑みで笑いかけるシロイ。
「やくやった」仏頂面の悪魔、クロイ。
「伝えてもないのに何でここに居る?」驚きながらも、この二人と接するときの常識の基準を変えねばと考えるカールゴン。
「先に言っておくがここではあまり派手にやるなよ、隠しきれることにも限界があるからな」
「心配しなくてもいいよ、ここはアジトだ。誰にも手出しさせはしないよ」新しい秘密基地がとても気に入っているシロイ。
「よくやった」やはり仏頂面の悪魔、クロイ。
嚙み合っていない話が途切れた少しの間の後、真剣な眼差しでシロイが話し出す。
「君にはクロイの影が付いている。何かあればその影が君の死を排除する」
「影?」
「そう、影だ。クロイ本体よりは弱いが比べる基準がクロイでなければ相当強いよ、君との約束だからね、君の生はどんな時でも保証するよ」
「ほんとうに大丈夫なんだろうな?」この二人の力は認めているがまだ半信半疑なカールゴン。
「まだ完全じゃない。なんせ僕達は今回初めて産声を上げたばかりの赤ん坊だ。誰も気にしちゃいない、だからこれから気にしてもらわなくちゃね」
いつの間にか真剣な眼差しは消え、天使の微笑みに変わっているシロイ。
「ヤツラもそろそろ動き出すな。勝手に始めておくぞ、シロイ」カールゴンへと伸びる殺気を全方位から感じ取り頭の中で順番を決めているクロイ。
いつもの去り際とは違う俊敏な動きで飛び出していくクロイを一瞬にして視界から失ったカールゴンが口を開く
「一体何が目的なんだ?」
「んー、今回はアジト手に入ったよね?次は何にしようかなぁ」
「なんで目的が後付けなんだよ」
「貸しをすぐに返してもらっちゃ意味ないじゃん、恩義をずっとかけてたほうがお得でしょ?」天使の微笑み。
こいつと話しても表情から何も読み取れやしない、間違いなく裏はあるがそれ以外は嘘はなさそうだ。ようやくコミュニケーションの取り方を掴みかけたカールゴン。
「とにかく私は仕事に戻るぞ。いつも通りだ、いつも通りの生活を続ける」今はそれしかできないと諦めた感のカールゴン。
「それがいい、君を護るのは僕たちの仕事だからね。こっちの心配はいらないよ」シロイが楽しそうな瞳で笑うのをカールゴンが初めて見た瞬間であった。
索敵から距離と位置を考慮し順番をつけその中の番号1へと辿り着く闇を纏う影一つ、クロイだ。
真正面から建物に入り、ならず者達のたむろする部屋へと入る
「俺たちはアルカトラズ、カールゴンの生は俺たちが保証する。決して手を出すな」
「なんだお前は?やれ」
入り口近くにいた一人が躊躇なく命をもぎ取りに来る。が、次の瞬間には床に呻きながら這いつくばる。
「警告は1度だけだ。従わないのであれば暴力をもってねじ伏せる」
メンツの問題なのである、メンツが立たないと裏の世界ではやっていけないのだ。
3人が一斉にクロイへとかかりつける。しかしクロイの周りに円心状に3人が地にひれ伏せることとなる。
この場のボスらしき男の思考が止まる。早かったな、男を見るクロイはそう感じていた。
「アルカトラズだ、この名を忘れるな」
そう言い残し、クロイはゆっくりとその場を去っていった。
「次は向こうか」建物から出ると次の戦闘を想定し闇に溶け次の番号へと向かうクロイ。
「さっきと同じでいいか」戦闘の想定をやめそうつぶやく「どうせ最終的にはそうなるんだ」
クロイは考えることはあまり好きではない。考えないのではなく考えたくない、ただのめんどくさがりである。
粗方はこのやり方でアルカトラズの存在を刻み込む、中にはクロイから漏れ出す暴力をかぎ分けただけでアルカトラズを認める組織もいた。多くの中堅どころはこの対応だ。力というものをしっかり理解している。
力を見誤った者たちは今よりも先へとはいけない。貪欲な者たちほど力に対して敏感だ。
ただし、少数の強者たちは簡単にはそういったものを認めない。自分たちが1番でならねばならないのだから。
「次からが今回の本番だね」
「そうだな、いつも通りだ」
短い言葉のやり取りではあったがシロイとクロイにとっては十分すぎる会話であった。