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第一話 誕生

「われらはニューヨーク州知事カールゴンの生を保証する事を宣言する アルカトラズ」


この発表はここニューヨークの裏の組織、非合法集団、いわゆる悪い奴らに向けて一斉発信された。

生の保証、いわば俺たちに歯向かうなという強烈な意思表示、そしてそれを貫く強固な組織、この世界にアルカトラズと言う新興勢力がその名を挙げた瞬間である。


カールゴンと言えば世にいう悪い奴、州知事にまではうまく登りつめたが過去から続く数々の悪事が露呈しだして死相を漂わすようになっていた。

シロイ曰くそうなのだそうだ。

「まだ完全に染まりきってない、まだもうしばらく様子見だね」

テレビに映るカールゴンを見ながら全身白づくめの王子様が話す。

何に染まるのかよくわからないがという顔で「そうか」とだけ返事をする黒ずくめの男。

「クロイの出番はまだ先になると思うから楽にしといてよ」

対照的に全身黒づくめの悪人面に王子様は話しかける。

悪人面は出番がまだならゆっくりさせてもらおう、俺にも色々仕込みが必要なこともあるという感じで安っぽいソファーに深く座っている。

テレビからカールゴンの記者会見のライブ映像が映し出されるとシロイがテレビを見つめたままクロイに言う。

「あ、あいつやらかしたな、クロイ出番が来たよ」

王子様の急いだ風な物言いにも動じず、出番なら仕方ないという風に安っぽいソファーからゆっくりと立ち上がり、いつも通りに「そうか」と返事した。

「死相で染まりきったね、もうあいつの進む道には死の結果しかない、生への選択肢を付けてあげよう」

天使の微笑みを浮かべ神のような言葉を発する王子様。


過去の悪事が露呈し関係のあった裏の世界にも影響しだした。このままでは命の保証はない、まさにジリ貧のカールゴン

自宅に引きこもりニューヨーク中の悪党からの襲撃に怯える。

そこへ突然目の前に現れた黒ずくめの闇をまとった男が現れ、

「俺の名はクロイ、最強の暴力だ、生か死かどちらかを選べ」と物言う

「いきなりなんだ、どこから入ってきた」王道の反応のカールゴン

「お前に残された道は死のみ、われらの監獄に囚人としてくるのならば生を保証しよう。ただし永遠にわれらを裏切るな」空気は読まずさらに物言う。

「意味が分からん、SPは何をしている」王道中のカールゴン。

「”アルカトラズ”生を選ぶのならその名を呼べ」と、捨て台詞のように言うと消えてしまった。

生きていることに驚きながらも恐怖が蘇る、殺される。このままでは殺される。

自滅という言葉が最も似合うシチュエーション、居もしないものに追われるカールゴン。

部屋の狭い倉庫に閉じこもりほんの些細な音にも怯えるまさに死と直面している、と思い込んでいる状況。


だが実際にカールゴンに死は近づいてきていた。1つではなくいくつかのルートがほぼ同時にそれぞれに暴力を携えながら。


カールゴンは悪い奴だが勘は良かった、州知事になれる程度には。今回の死も感づいた。最初のルートからはギリギリではあったが難は逃れた。そして死を実感した。

まだ嫌な予感は消えない、まだ何かやってくる。直感しかなかった、この方法でここまで来た、今頼れるものはこれしかなかった。

真っすぐに、全力で走り出す。目指す先があるわけではない、直感に従っただけ。しかしそれは正解となりえた。

全力で走りながらさっきの名を思い出す

「アルカトラズ」ふと口からその言葉が漏れた瞬間

「生か死かどちらかを選べ」今日2回目に聞くそのセリフに直感が答える

「生を選ぶ」言ってからハッとさっきの条件を思い出す、言葉を発しようとしたその瞬間

「ようこそアルカトラズへ」左手を胸に当て右手を後ろに回し貴族のように礼をするその所作に見入った刹那、カールゴンは全てから守られる身となった。


死のルートがその歩みを一斉に止めた。クロイの秘める暴力が溢れているのだ、いやもしかするとわざと漏らしているのかもしれない。クロイの性格なら考えられる。

雑魚では楽しくないのだ、それでも向かってくるそんな相手を常に欲している。

最強の暴力故の悩み、遊び相手が欲しいのだ。

本気にとまでは求めていない、遊び程度でよいのだ。暴れさせろ。

今回は期待していなかった、そんなやつはそうそう都合よく現われはしない。それでも全く期待していないわけでもない。少しゆっくり目に見まわしてみたが反応がない、ただの屍のようだ。そう自分を納得させ影を1つカールゴンの側に残しシロイのもとに戻る。


椅子に後ろ向きにまたがり、背もたれに腕を組み、その腕に顎をのせながらクロイの話を楽しそうに聞くシロイ。

「今回はお試しだからこの先の展開楽しみだね」シロイは楽しそうに笑う。人から見れば天使の微笑みなのだとか。

クロイには悪魔の微笑みにしか見えないが「そうか」と答えソファーに深く腰を落ち着ける。



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