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同居人は戦いの女神さま  作者: あしのクン
シーズン1
51/72

ね~こはおれのふともものうえでま~るくなる♪

 午後一時の玄関の外。

 俺は散歩に出かける戦いの女神を見送ってから、曇天の空を見上げた。

 昨日の天気予報だと今日は冬晴れが広がり、気温も上がると言ってたんだけどな。

 どんよりと曇ってるし、風も冷たいし。


 寒い寒い、と独り言を呟きながら、家の中へ。

 リビングの炬燵に入ってノートパソコンを開くと、部屋の片隅にいた黒猫が太腿の上に乗ってきた。


「女神様は散歩に出かけましたかニャ?」

「出かけたよ。俺も散歩に誘われたけれど、午後の仕事があるから断った」


 今日はテレワークの日。

 仕事の時間に余裕があれば、戦いの女神の散歩に付き合ってもよかったんだけど、今日は仕事が詰まっている。


「それなら、女神様が帰宅するまではゆっくりとできますニャ」


 黒猫が安心したようにそう言うと、大きく欠伸をして体を丸め、両目を閉じた。

 いつも寝ている物置に比べれば、はるかに暖かいリビングならゆっくりと休める。

 戦いの女神が散歩から帰ってくるまで、この暖かなリビングでゆっくりと休んでくれ。

 俺はそう思いながら、午後の仕事に取り組み始めた。


 言ってみれば、俺と黒猫は戦いの女神の寝言の被害者だ。

 戦いの女神は夜の就寝中だろうが昼寝だろうが、寝言の声の大きさとは思えないほどのボリュームで寝言を叫ぶ。

 どのくらいのボリュームかと言うと、リビングで業務用の耳栓をして寝ている俺が寝室から聞こえる戦いの女神の寝言に醒ますほどだ。


 ただ、俺の場合はまだ救いようがある。

 業務用の耳栓をしていて起こされることがあっても、それは毎晩ではない。

 それにテレワークの日や休日の午後に昼寝をするわけではないから、なんら問題はない。


 でも、黒猫の場合は違う。

 黒猫の正体は精霊だけど、この世界に来たらそのまんま猫の体質だ。

 猫の睡眠時間は十二時間から十六時間だと言われている。

 つまり、一日の二分の一から四分の三は寝ているというわけだ。

 そんなに眠っている猫の体質をしている精霊……黒猫の場合はどうなるか。


 夜の就寝について考えてみよう。

 業務用の耳栓が猫にあればいいのだが、業務用どころか猫用の耳栓はない。

 つまり、夜の就寝中はいつ戦いの女神の馬鹿でかい寝言に怯えなければいけない。

 次に昼寝についても考えてみよう。

 これも猫専用の耳栓がないから、戦いの女神が散歩をせずに昼寝に入ってしまえば、やはり寝言に怯えないといけない。


 以上の事情から、黒猫は寝床を俺の家の敷地内にある物置にしているのだが、この時期は寒い。

 黒猫が凍え死なないように俺が防寒対策を施したが、それでもリビングに比べれば寒い。


 だから、戦いの女神が昼寝をせずに散歩に出かける時くらいはゆっくりと休んでくれ、と思うのだ。


「家主様……昨日の特上マグロの刺身は美味しかったですニャ……」


 午後の仕事を始めて一時間後、黒猫が寝言を呟いた。

 俺はそんな黒猫の頭を優しく撫で、詰まっている午後の仕事を再開した。

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