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黒猫への疑念
三連休の二日目。
俺は黒猫に対する疑念を持ちながら過ごした。
疑念というのは、この黒猫が本当に猫なのかという疑念だ。
昨夜、黒猫が『その通りだニャー!』と前足で拍手した姿を目撃した。
十月六日の深夜の出来事は夢うつつだったので自信はないが、昨夜の目撃は自信がある。
黒猫は人間の言葉を話し、前足で拍手した。
しかし、だ。
その場にいた戦いの女神にそのことを確認してみたら、首を傾げられた。
どうやら目撃していないようだった。
黒猫が人間の言葉を話したことも聞いていないようだった。
こうなると、自信が少しばかりなくなる。
外出もせずに家の中で寛ぎながら、俺は黒猫の様子を窺った。
黒猫は人間の言葉を話さなかった。前足を人間のように使うこともなかった。




