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夢幻の如くなり
深夜。
寝室からの怒声で夢から覚めた。
意識が朦朧とする中、ドアが少し開いている寝室を見た。
耳栓をしても戦いの女神の寝言で夢から覚めるのは初めてだ。
頭を隠すように布団を被る。
すると、布団の中で黒い物体が動くのが見えた。
その物体に顔を近づかせてみたら、黒猫だった。
ぎゅっと目を瞑った黒猫は前足で耳を塞いでいた。
そして、女神様の寝言はうるさいニャー、相変わらずうるさいニャー、眠れないニャーとぼやいていた。
黒猫はどうやら戦いの女神の寝言に耐え切れず、寝室からこっちに避難してきたのだろう。
そうだろうとも。
ああ、そうだろうとも。
猫用の耳栓があるかどうかは知らないが、あるなら買ってやろう。
俺もいま使っている耳栓よりも優れた耳栓を探さないとな。
俺は目を瞑り、黒猫を優しく撫でた。
そして、また夢の世界に戻った。




