こんな日もあるよ
朝、仕事に行くために外に出ると、庭に黒猫がいた。
昨日の夕方にも庭で見かけた黒猫だ。
黒猫は昨日の夕方とは違い、俺と目が合っても逃げなかった。
昼、いつものように俺は後輩を連れて牛丼屋に食べに行った。
シモベってどんな感じっすか? という後輩の質問に適当に答えた。
先輩、今日は口数が少ないっすね という後輩の言葉にも適当に応じた。
夕方、仕事から帰宅すると庭に黒猫がいた。
ドアを開けて家の中に入ろうとすると、黒猫も一緒に入ろうとしてきた。
俺は黒猫を優しく追い払い、家の中に入って玄関を閉めた。
夕食、戦いの女神がこんなことを言った。
「我が家の近くに黒色の猫がいるのを知っているか?」
「黒色の猫? ああ、黒猫ね。知ってるよ。昨日の夕方も今朝もさっきも庭にいた」
「実はな、今日はその黒猫に往生したのだ」
「何があったんだ?」
「散歩中、ずっと我に付いてきた。散歩から帰って玄関から入ろうとしたら、その黒猫も玄関から家の中に入ろうとした。だから、庭先に逃がしたんだが、また玄関を開けたら、家の中に入ろうとした。それを何度も繰り返したので、往生した」
「まさか拳で黒猫を殴ってないだろうな」
「殴るわけがないだろう。しかし、あの黒猫は何がしたかったんだろうな」
「さあね。野良猫だったとしたら、新しい飼い主と屋根付きの家が欲しかったんじゃないの」
夕食後、俺はさっさと入浴し、リビングに布団を敷いて寝転んだ。
寝転びながらテレビを見ていると、疲れているのか? と戦いの女神に言われた。
いつもより早く寝転んだので驚いたようだ。
俺はテレビを見ながら、疲れてはいないけどこんな日もあるよ、とだけ答えた。




