平穏な一日
さあ、どうするか。
実は今日は書くネタにできそうな出来事がなかった。
平穏な一日だった。
ネタにできそうな出来事がなくても、平穏な一日は素晴らしい日であるのは間違いない。
将来になって振り返っても、幸せだったと思う~♪と口ずさむだろう。
俺は缶ビールを飲みつつ、戦いの女神を眺める。
赤ワインを飲みつつ、テレビのバラエティ番組を見ている。
たまに穏やかに笑っている。
平穏だ。
職場での出来事を思い出してみる。
仕事のミスをしがちな後輩が今日に限ってミスをしなかった。
おかげで部署の雰囲気は穏やかだった。
平穏だ。
俺自身に関わる出来事について、細かく振り返ってみる。
朝の出勤時、赤信号に捕まる頻度はいつもと同じだった。
職場の上司の寝癖の形状(くるんと渦を巻いている)もいつもと同じだった。
夕方の退勤時、エンストを繰り返しながらも交通の流れを止めない車と遭遇するけど、今日もいつもと同じだった。
細かく振り返ってもいつも通りだったので、俺の心は穏やかだった。
平穏だ。
「戦いの女神、平穏って素晴らしいな」
俺は平穏を噛み締めながら言った。
戦いの女神は赤ワインを一口飲んで、こう言った。
「平穏過ぎるというのもつまらんな。体がなまるからな。よって、たまに思う。魔王と魔物と戦いたいと」
戦いの女神はいつもと同じように好戦的だった。
平穏だ。