表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方 外来人物語  作者: 佐藤練也
9/12

淘汰される者

槍を手に持った感触は、まさに鉄。ひんやりとした感触と、少し重いが手に良く収まってくれる絶妙なフィット感。試しに、その場で構えてみる。両柄末端に立派な刃がくっついてあるだけあって、重かった。



すず「今日からその槍はキミの物だ。大切にするんだよ?」


練也「....。」



すずちゃんが微笑みを浮かべ、俺に言う。そう言ってから宝物庫の外へ出て行く後ろ姿に、俺も黙ってついて行く。境内にまで戻ったすずちゃんの後ろ姿は、普通の人間の女の子とは何も変わったところはない。まだ彼女を神様と認識してない自分がいる、だが実際色々目にしてしまっているし。....あの変な薬を飲んでしまったが為か。



すず「さあ。行くよ。」


練也「行くって...。...さっきの話か?」


すず「ボクは早く、キミを幻想郷へ招待したい。ボクがやりたいことはただそれだけ。...ただ単に、元の世界に戻りたくなったのと、キミに興味が湧いた。それだけがあれば今のボクには十分過ぎる動機だよ♪」



何ということだ。今の突飛な状況を差し置いて、このすずちゃんというボクッ娘の神様のマイペースさは。今俺が驚いているのは、この娘の柔らかい人柄の中に潜む強固なマイペースさだ。ふたたび御神体である鏡の前に立てば、すずちゃんと俺の姿が映る。



練也「...なあ。...懐疑的なことを言って傷付けて悪かったよ。...ただ今の今まで神様が見えたこともなければ、幽霊なんて見たこともない。...興味はあったし、...だけどいきなりだったから。」


すず「ううん。...いいの、きっとこう言われたりするだろうなぁ...。って。」


練也「...。何故?」



悲しみを言葉に絡ませて、それが彼女の口から漏れて行く感じがした。鏡に映るすずちゃんは、先程の元気な印象とは打って変わり儚げに映っていた。



すず「キミのように、懐疑的な意見をメインに持つ人が多いこの世の中。私達のような形の無い者は、皆淘汰されてしまう。」


練也「...うん。」


すず「故に、長い間この世界にとどまることは出来ない。...幻想郷に帰る時が来たんだ。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ