槍
東方外来人物語、この後すぐ。
練也「幻想郷に...。」
すず「そう。君達人間の間では、それはただのフィクションの世界に過ぎない。だけど、ボクはその世界から確かに生まれて、この外の世界に来た。この目を通して、決して少なくない者達との関係も築いて来た。」
すずちゃんが鏡に背を向け、もう一度宝物庫の方へと歩き、それに俺もついていく。ゆったりと歩くその背中を見ながらついて行くと、俺が手にした丸薬の場所ではなく一つ戸棚が置かれてある板間に着く。
練也「...ここは?」
すず「君に握らせたい物がある。あの棚をどかして。」
そういわれ、埃を大量に被った棚を身体で横に押し退けていく。そこには、扉があった。何かを厳重に閉じ込めておく為の扉が...、という大袈裟なものではなく少し古ぼけてはいるが、まだその形を留めた、年代物の扉が俺とすずちゃんを出迎えた。
すず「そろそろくる頃かな...。」
練也「...何?」
すず「君が過去に見た夢の中で、"偶然だと思ってしまっている真実"...それが今宵全て、"真実"へと変わる。」
練也「...。」
正直一体何を言っているか、わからない。俺は話半分に聞きながら、自らが見たとされる夢....。そこで会った存在のことを指しているのか、だとしたら俺は何故彼女が俺がその夢を見ていたことを知っているのか...。
ぎいぃ...。目の前の扉が、音を立てて開いた。風も吹かない夜、静寂の中その扉の中へと足を踏み入れる。そこで俺はあるものを目にした。
練也「...槍?」