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東方 外来人物語  作者: 佐藤練也
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片鱗

宝物庫の位置にまで来たのはいい....。ただここの立て付けもだいぶ悪く、扉だったところはもはや羽目殺しのようになっていて、ちょっとやそっとでは開かなくなっていた。

 

練也「何十年前なんて代物じゃないだろ....。何百年も前みたいな......。」

 

漠然と雰囲気で感じ取れるその建物の年季の入り方には、驚きを隠せなかった。無理もない。立て付けだけじゃなく、昔ながらの漆喰で固められた外装は当時のまま、変わることなくその姿を保ち続けているのだし、改めてこの国の技術の凄さを感じる。俺は外装から再び扉の方へ眼を転じ、その取っ手に手を掛けた。

 

練也「やっぱり、これ.....!!びくともしねえ.....!!!」

 

ぐぎぎぃっ!!!なんだこれ!!筋トレで鍛えたってレベルの鍛錬じゃ絶対にこじ開けられないだろっ....!!!とりあえずここは、....ふうぅ、一旦深呼吸だ.....。何してんだ俺は。早いところ中を確かめて、家に帰ろうと思いながら戸口に向かい手を掛けた。

 

練也「......。」

 

 

ガチャッ.....。....開いた....。いとも簡単に、それも立て付けが悪いなんて感じる間もなく。すんなりと。.....って、押戸かいっ!!!引き戸じゃないんか!!!....今迄の苦労は徒労に終わったということだろうが、ここ迄来たからには宝物庫は探索しないで帰るわけにはいかない。俺は薄暗い宝物庫の中を、懐中電灯で照らしつつ探索を始めた。仕切り直しだ仕切り直し...。

 

 

練也「....ごほっ、....ごほ.....埃が、っごほ、...凄いな....!!」

 

 

少し荷を動かしただけで、物凄い量の埃が舞う。マスクでもつけてくればよかったかな...、ここまで来たら戻ろうとなんて思わないけど....。重ねられている箱をどかしていくと、やがてそこには妙なものが見えた。一箇所だけ、床の色が違うのである。明らかに何か封印してありますよオーラが出ている、その色が違う部分に注目している俺の脳裏には神職の言葉が過った。

 

..............自身の潜在能力を覚醒させる秘薬が、宝物庫の何処かに..................

 

 

練也「.....これがそれか.....。」

 

思わず唾を飲み込み、その部分を凝視する。この部分をこじ開けることによって、俺の身に一体何が起こるのか知れたもんじゃない。だけどこういう時になって感じることがあるもんだ、自身の好奇心に人は逆らえない....。ってな。成すがままにやろうじゃないか!俺は、その床の部分へと歩み寄りその部分へと手を触れた。

 

練也「....触れても何も起きない...。仕掛けは.....?」

 

辺りを探ってみたりはしたが、これといった仕掛けも見当たらない。詰まりこれはただの埋め込まれている蓋のようなものなのかも知れない、その床の色が違う部分に指をかけて一挙に引き揚げようと力を込めた。.....重い。...揚げたら腰を持っていかれないようにしないと、やってしまいそうだ。頑張れ練也、日頃の行いを見せろ...!!!ぐぎぃい!!!

 

練也「ぐうぅぅっ....!!!!!」

 

重たい床板をなんとか持ち上げて、わきにどかしその中身を覗く。そこには、1つの壺が収められていた。サイズ的には両手で抱えれば持てるぐらいのサイズだろうか、それを開いている口の渕に指を入れて、脚でその場に身体を踏ん張らせつつ、ゆっくりと引き揚げる。

 

練也「....デカい壺だけど....、一体何が....。」

 

置いて外観から調べる。外見はどうということは無い、何の変哲も仕掛けもない普通の壺のようだ。肝心は中身なんだが、どの様な....。秘薬が入っているとすればそれは大ごとだし。....兎に角中を暴かなくては始まらない。4の5の言うなと自分に言いながら、その中身を手に取って見た。懐中電灯に照らし出されるその物は、意外と普通な外観であったのが妙に安心感を俺に抱かせた。

 

練也「....昔の、錠剤....?」

 

黒い丸薬が、俺の手のひらに載っていた。今でも腹痛薬として出回ってそうな見た目からは、代々伝わる秘薬とは到底思えない。まじまじと見て、臭いも嗅いでみる。苦い様な印象を受ける以外は、特に何も気になる点は無い。

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