表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【コント】魔王と勇者

作者: 蒼ノ下雷太郎

場所――魔王城の玉座があるとこ


役 勇者(男)=ボケ 魔王(男)=ツッコミ


勇者:

魔王、ここが年貢の納め時だ! 覚悟しろ!


魔王:

いや、待て。


勇者:

ととととっ――何だ急に。いきなり戦いを止めて。


魔王:

その……だな。戦いに集中できなくて。


勇者:

カフェインの取り過ぎか!? がぶがぶコーヒー飲むのはどうかと思うぞ!


魔王:

いや、ちょいちょい、ファンタジーにおかしなこと言うのもさ。(まだコーヒーはいいけど。年貢の納め時ってどうだろう)


勇者:

何が言いたいんだ! はっきりしろ! 早く帰ってプ○キュア見たいんだよ!


魔王:

だから、ちょいちょいおかしいよね!? ここ、異世界ファンタジーじゃないの?


勇者:

いいから、さっさと言えってんだ。てめぇ、スミにすんぞ。


魔王:

(こ、こええええっ。こいつ、半グレじゃないの)

ふ、ふんっ。貴様の脅しなど怖くないわ。……ただな。勇者よ。その、素敵な格好だな。それ。


勇者、それが皮肉だと気づかずに頬を赤らめる。

彼はビキニアーマーを着ていた。


勇者:

……お前、惚れたな?


魔王:

殺すぞ貴様! このビキニアーマーの変態が!


勇者:

何っ!? この……差別主義者のヘイトスピーチ野郎が。人の性を認められない哀れで孤独な豚野郎め。


魔王:

そ、そこまで言うか貴様は!

……あのな、戦う奴の気持ちも考えろ。そんな格好で戦って、あげくは負けたらどんな気持ちになるか。


勇者:

あぁ、そういえばお前のとこの四天王は、苦悶の表情で死んでいったな。


魔王:

悪魔か貴様は! あいつら、全員あっさりと殺されてったけどよ、そんな死に方したのかよ!


勇者:

ぬぅぅ、さっきからどうでもいいことをベラベラ――そんなに俺を怒らせたいか。


魔王:

ああああああああっ、興奮しないで! あそこが! あなたの勇者のあそこが! 勇者の剣が! ピョコッーンてなってるから! ソードがビッグソードになってるから!


勇者:

二刀流だ!


魔王:

上手くないよ!? 何、やっぱふざけてるの? これ魔王城の最終決戦だろ、真面目にやれよ!


勇者:

真面目にやってるわ! 全く、てめぇは失敬な奴だな――て、はっ!


勇者は何かに気づいたようだ。


勇者:

お前……田中か?


魔王:

え? な、なな、何を言ってるかなぁ。そんなわけないだろ。


勇者:

俺、鈴木。


魔王:

鈴木ぃぃぃぃぃっ!? な、何してんのこんなとこで!?


勇者:

いやぁ、トラックに轢かれたら勇者になってさ。歩きスマホが良くなかったのかな。


魔王:

歩きスマホは良くないが……そうか……どうりで異世界ファンタジーなのにおかしいことを言うと思ったが、お前、異世界転生してたんだな。いや、私もだが。


勇者:

田中、お前、一人称を私にしてるのか?


魔王:

う、うるさい! 今は魔王だ!


勇者:

目を覚ませよ、田中! 俺たち、プ○キュア同好会の一員じゃないか!


魔王:

うるさい、それ言うなよ!


勇者:

何か、お互いが顔見知りだと知って殺る気が失せたけど。

俺としては、もう悪さしないっていうなら、見逃してやってもいいぞ。

もちろん、今後悪さしないようにしてもらうけどな。この感じだと、お前も魔王が悪さしたあとに前世の記憶が蘇った感じだろ? 俺もなんだよ。だから、今回は見逃してもいいぜ。


魔王:

……退くことはできない。私には、やらねばならないことがある。


勇者:

何があったんだお前。あれだけ、キュア○ター好きだって言ってた、お前が。


魔王:

そんなの、決まっておるわ。


場は沈黙する。

よく分からない雰囲気になってたのが、お肌のピリピリする空気に変わっていた。


魔王:

……美少女の勇者に倒されたい。それが、私の夢だ。


勇者:

………。


魔王:

………。


勇者:

……(ちょっと、目をそむけて、どうしたもんかと考える)。


魔王:

うるせーよ!


勇者:

いや、何も言ってねーよ!


魔王:

うるせーよ! 自分でも言ってて、やべーって思ってるよ!


勇者:

サイコパス! サイコパス!


魔王:

うるさいわ! ……だって、魔王になっても女の子にモテないんだもん! シャ○子みたいなのどこにもいないんだよ!


勇者:

シャ○子が悪いのか……。


魔王:

シャ○子が悪いのさ……だから、だから、こうして魔王になって美少女の勇者が出てきて、その子と主人公×ラスボス、もしくはラスボス×主人公、みたいなカップリングを望んだって……いいじゃないか。


両者、もうこの戦いは止められないのだと悟る。

勇者は剣を構え、魔王は魔力を解放し、戦いを始めた――。


勇者:

うおおおおおおおおおおっ!


魔王:

………。


勇者:

あたあああああああああっ!


魔王:

………。


魔王:

(……こ、こいつ、マジで強ぇ。ぐふっ、ちょ、待って。降s――げふっ)


終わり

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ