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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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99 実益(嫁)

 コルベトラを見て回り、海でミディアの訓練をしてからコルモアへと戻った。


 コルモアに戻ると、ちょうど第二陣がきたところだった。


 第二陣には男も混ざって、五十人近く乗せてきたようだ。


「第一陣の体調はどうだ?」


 なんの病気を持っているかわからんからな、数日隔離させていたのだ。


「水か食料かわかりませんが、合わなかったようで下痢をした者が数名いました。ただ、今は慣れて健康です」


 そう言えば、風土病とかないよな、ここ? まだ抵抗力が強い時代(?)なんだろうか?


「そうか。なら、何人かコルベトラに連れていってみるか。あちらも男余りたましな」


 コルモアも男余りではあるが、こちらばかり優先してはいられない。コルベトラのほうが男余りが激しいのだからあちらからやっていこう。


「そうですな。暴動でも起こされたら堪りませんし」


 元の世界ならフェニミストから抗議を受けそうだが、この時代に人権なんて概念すらない。弱い者は虫けらみたいに扱われるのだ。


 まあ、レオノール国としては、国民となれば権利と義務と保護を与えるようにはする。なにせ、この大陸で人間だけで生きていくなど不可能。オレの保護なくして人間たちの発展はないだろう。なら、人権うんぬん言う前に産めよ育てよ、だ。


 第一陣から独身十人。第二陣から未亡人を八人。子を六人を連れてまたコルベトラへと向かった。


 今回はギギとセオルの嫁も連れていく。


 嫁は伯爵夫人としての立場を知らしめるためと、女たちを纏めるためだ。


「ミドア。女たちを集めてくれ」


 嫁不足とは言え、コルベトラにも女はいる。まあ、五十人もいないみたいだがな。


 女たちを集め、話は嫁──リビナとギギに連れてきた女たちを紹介し、コルベトラの暮らしを見せた。


 その際、男たちが色めき立つが、紳士的にしろと言い聞かせる。野性味は嫌われるぞ。獣なら野性味が大事だけどな。


 連れてきた女たちも自分の立場を理解しているようで、獣のような気配を醸し出しながら男たちを値踏みしていた。


 ……この時代の女は強いよな……。


 愛だ恋だと騒ぐ者はおらず、今を生きるために頭を動かしている。


 とは言え、まずはミドアに嫁を娶らせることにする。


 ミドアは男爵であり、コルベトラを任せている身だ。優遇する必要もある。でなければ身分を決めた意味がなくなる。


「気に入ったら二人でも三人でもいいぞ。まあ、家庭仲裁も三倍になるがな」


 男として女を侍らすことは夢だろう。だが、夢は夢のままにしておいたほうが幸せなこともある。自分の力量を見極めて、小さな夢で満足しておくほうが幸せだとオレは思うな。


「一人で充分ですよ。妬みやっかみは怖いですからな」


 よくわかっている男でなによりだ。


 顔の好みで選び、行動や態度をよく見、話してみて子がいない未亡人の女を一人選んだ。


「ギギ、リビナ、よく教育してやれ」


 いきなり男爵夫人になっても戸惑うばかりだろうし、他の女たちの妬みやっかみを受けかねない。二人が側にいて守ってもらう。


「ご配慮、ありがとうございます」


「お前は、レオノール国を支える一翼。配慮するのは当然だ」


 誇りと名誉と実益。やってみてわかる身分社会の必要性。民主主義が特異性のあるものだとよくわかるぜ。


 出会って八日でのスピード婚。おめでとう、と言っていいのかわからんが、ミドアの嫁も食いっぱぐれなくなって喜んでいる。これでよしと思っておこう。


 大々的、ではない結婚式を行い、オレのマイ荷車に乗っけて民衆にお披露目。男どもの結婚欲を煽った。


「人間は不思議だね」


 一連の出来事を黙って見ていまミディアが、ポツリと呟いた。


「そうだな。人間は矛盾の塊だからな」


 人間だったオレでも理解できないことが多々ある。獣の心を持って産まれたミディアにはさぞや理解できないことだろうよ。


「ギギは結婚しないの?」


「わたしはレオガルド様の伴侶だからしないわ」


「種が違うのに?」


 もうそこまで知恵をつけてたのか。異常なまでの成長力だ。まあ、子供はどうしたら産まれるの? とか訊かれても困るけどな。


「そうね。でも、わたしは死ぬまでレオガルド様の側にいたいのよ」


 人間としての幸せを求めて欲しいと思う反面、いつまでもオレの側にいて欲しいと願う欲望がある。


「わたしだけじゃレオガルド様の力になれないからミディアも側にいて助けてあげてね」


 ミディアの鼻の上をゴシゴシと撫でてやった。


「…………」


 なんだろうな、この不安は? ミディアが儚く見えてしまう。


 いや、止めよう。


 先がどうなるかなど誰にもわからない。今を大切にして、次に繋がるよう動くしかないのだからな。


 ミドアと嫁の暮らしを二十日くらい見守りながらコルモアへと戻ることにする。


 しばらくはミドアと嫁に任せ、コルモアに戻ると、第三、第四陣がやってきていた。


 女子供だけで二百人以上。開拓船団の大きさがわかると言うものであり、帝国の内情が透けて見えると言うものである。


「それでも嫁不足は解消されず、か」


「仕方がありません。こんなに女を乗せること自体、僥倖なことですからな」


 そうだな。誰の都合かは知らないが、今は僥倖だと思っておくとしよう。


「それにしても五年に一回くらいの割合で開拓船団がくるのはいただけないな」


 女がくるのは助かるが、食料生産を破壊されるのは困る。こちらはまだギリギリでやっているのだからな。


「今度きたら男は大森林の奥へ連れていき、開拓させたほうがいいでしょうな」


 つまり、使い潰せと言うことだ。


「そうだな。それしかないか」


 こちらも自らの食い物を守らなければならない。毎回受け入れるなんて不可能なのだからな。


「それで、嫁を持たせるヤツは選別したか?」


 コルモアでも嫁を持たせるヤツは多く、セオルに従う野郎どもに実益を与えなくてはならない。


「はい。争奪戦が大変でした」


 獣の世界も人間の世界も番を得るのは大変である……。

宣伝。

光の家族、膨大な魔力で世を救う!

隣の幼なじみがまた「ステータスオープン!」と叫んでる 勝ちヒロインの定義

よろしくです。

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