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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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98 強く賢く厳しい存在

 小舟に乗せられ女子供が港にやってきた。


 オレとミディアがいることに恐怖を見せているが、そんなことに構わずオレらは睨みつけていた。


 ゴルティアやレニーラが尋問しただろうが、人の心など見えるものではない。訓練した者なら心を隠すことくらいやって退けるだろう。


 なので、少人数ずつ上陸させ、オレらがビビらせて表情や態度をセオルたちに探らせるわけだ。


 泣き出した子供には申し訳ないが、オレらは睨むことは止めない。これはレオノール国の民を守るためであり、開拓団のヤツらにオレらがいると言うことを教えなくちゃならないからだ。


 小舟から降りたのは八人。帝国の人間らしいが、茶色の髪とは今までにいなかったな。


「おそらくラーニャ地方の人間ですね」


 なんでも帝国に侵略した国の人間のようで、無理矢理開拓団に送り込まれたそうだ。


「追い出されたか?」


「帝国は見せしめや反乱防止にやったりします。わたしも侵略された国の人間ですから」


 そうだったのか。だから素直に鞍替えしたんだな。


「こちらはレオノール国の守護聖獣たるレオガルド様だ」


 オレらの前に連れてこられ、砂浜に跪かされた。今の段階ではこいつらは不法入国者。優しく対応してやる理由はない。


「お前らどんな理由でオレが守護する国にきたかは知らん。だが、レオノール国の法に従い、国のために働くと言うなら入国を認めてやろう。ただし、レオノール国に害することをしたら獣のエサとしてやる。忘れるな」


 威圧を込めてそう告げた。


 ぎゃん泣きする子供が失禁するが、こればかりは最初に示しておかなければならない。子供たたちよ、トラウマになったらごめんな。


「連れていけ」


 兵士に連れていかれる女子供たちが消えるとため息が漏れてしまう。


「損な役目、ご苦労様です」


 苦笑しながらオレを慰めるセオル。長い付き合いだとオレの心情はバレバレである。


「オレは守護聖獣だからな」


 ギギを守るために守護聖獣となったのだ、後悔はしてないさ。


「女たちにレオノール国の一員になる早道はレオノール国の男と結ばれることだと広めてくれ」


 ゲスな方法ではあるが、女たちも暮らしていくには男を頼ったほうが早い。愛より実を選んでもらうとしよう。


「妻にやらせます」


「お任せください」


 セオルの嫁は、開拓初期メンバーの一人。ギギと繋がりはあるので任せても大丈夫だろう。


「嫌な役目を任せてすまんな」


「わたしもレオノール国の民です。レオノール国のために働くのだからそんなこと言わないでください」


「そうだったな。失礼なことを言った。すまん」


 国のために働いている者にそれは侮辱だった。オレ、反省。


「では、いって参ります」


 一礼してお付きの者を連れて下がっていった。


「いい嫁をもらったな」


「はい。愛しい限りです」


 謎触手でセオルの頭を小突いてやった。


「この幸せ者め」


「ふふ。嫉妬したらギギ様にひっ叩かれますよ」


「お前、絶対言うなよ」


 なんて野郎同士のじゃれ合いは止め、次のヤツらを迎えた。


 プレアシア号で運んできた第一陣三十七名の入国を認めた。


 すっかり暗くなり、鬱屈を晴らすためにスワンボートを狩り尽くし、マイノカの連中とバーベキューを楽しんだ。まあ、オレとミディアは生肉で食ったけどな。


 第二陣が送られてくる間にミディアとコルベトラの村へと向かった。もちろん、スワンボートを二匹持ってな。


「レオガルド様、お久しぶりです」


 連絡がきてたようで、ミドアたちが迎えてくれた。


「捗っているようだな」


 港になるのはまだ遥か先だが、小舟で漁をするぐらいにはなっていた。


「はい。食べるのに困りませんから」


「そうか。これはいらなかったか?」


 肉が食えてないだろうとスワンボート二匹を咥えてきたんだがな。


「いえ、肉は毎日食っても飽きませんよ。喜んでいただきます」


 配下にスワンボートを運ばせた。血抜きはしてるからすぐに食えるだろうよ。


 ミドアにコルベトラの進行状況を説明してもらい、同じ釜の飯を食った者たちに声をかけていく。


「レオは、なんでそんなに気を使うの? 命令すればいいんじゃないの?」


 黙っていたミディアが口を開いた。


 表情はないが気配で戸惑っているのがよくわかった。


 知能がさらに向上しているようで、理解できないことが出てきているようだ。


 疑問に思う。これは知能が高くなければできないことだからな。


「命令するのは簡単だ。だが、人をスムーズに動かすには命令するより自ら動かせるほうが手間が少なくなるんだよ。反感も少なくなる。お前もあれしろこれしろと言われ続けたら嫌だろう?」


「……う、うん……」


 本当に賢くなったものだ。理解力も上昇してるよ。


「人を動かすなら自ら動かせ。もちろん、命令させることも大事だ。場面場面で命令と指示を使い分けるのが大事だ」


「……難しい……」


「お前はまだ若く経験が少ないのだから仕方がないさ。少しずつ学んで、人と触れていけばいいさ」


 こればかりは人の中で暮らしていかないと身につかないものだからな。


「オレといるなら人を学べ。人といられるよう考えろ。だが、人には媚びるな。オレたちは守護聖獣。強く、賢く、厳しい存在であらなければならないんだからな」


 どう生きるかはミディアが決めたらいいさ。一人立ちするまではオレが面倒見てやるからよ。

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