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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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97 なんのご都合主義だ?

 今年の雪は早く降ってきたが、積もっても表面を染めるくらで、すぐ溶ける気候だった。


 泥道を進みながらやっとのことでコルモアの町に到着した。


「かなり発展したな」


 開墾も進み、家の数も去年より多くなっている。


 オレが歩けるように道幅は広くなっており、しっかりと堅められている。道の脇には排水溝が造れているとか、ちゃんと計画的、暮らしやすいように造っているようだ。


 オレたちがくることはマイノカに着いたときに報せを走らせておいたので、たくさんの人に迎えられた。


 まあ、ミディアの姿に驚いたものの、安心させるためにギギを跨がらせていたなで大した混乱はなかった。


「レオ、これが人間?」


 ミディアがしゃべったことで人間たちに動揺が走ったが、オレがそうだと答えてやると、なにか納得したように動揺は消え去っていった。


「よくいらっしゃいました」


 セオルとセオルの嫁と子たちが代表して挨拶する。


「ああ。こちらは順調のようだな」


「はい。今のところモンスターがよりつきませんから。ただ、またベッケラーがやってきてます」


 ベッケラーは確かスワンボートだったけ? すべて狩ってやったのにまたきたのか。そんなにいい場所なのか? コルモア周辺の海は?


「そうか。なら、また狩っておこう。今回はミディアがいるから食料に困らなくていいだろう」


「白い獣ですか。レオガルド様と同じなので?」


「うーん。そこはなんとも言えんな。オレは特別中の特別だからな」


 それはセオルもわかっているだろう。オレが特別ではなく異常な存在だとな。


「ただ、守護聖獣になれる可能性は秘めている。いや、ミディアみたいなのが守護聖獣になるんだろうな」


 長い年月を経て、自我と知識を積み重ねていって、ある種の守護となるのだろう。まあ、オレの勘でしかないがな。


「まずは皆を休ませてやってくれ。ヤトアの嫁たちが子を宿しているんでな」


 騎士ワルキューレの訓練を指導しながらやることやってるんだから男として羨ましく思うよ。


「はい。神殿を造りましたので、ゆっくり休めるかと思います」


 そちらはギギに任せ、オレはミディアを連れて町を見回りながらセオルにこれまでの報告を聞いた。


「嫁不足か」


 いろいろ問題はあるが、男女比が悪いことで嫁が欲しいと騒ぐ男が出ているそうだ。


「わたしも嫁一人で我慢してるところですよ」


 冗談っぽく言うセオル。感じからして今の嫁には満足している感じだ。


「さすがにどこからか拐ってくるわけにもいかんからな~」


「そうですな。往復で二月。危険を冒してまでやれませんし」


 女だけの開拓船団とかきて欲しいぜ。


 なんて話をしていたら警戒の鐘が鳴った。


 何事かと港へ向かい、見張りの崖に登ると、プレアシア号が青旗を揚げていた。


 青旗は警戒の旗だ。


「被害を受けた感じはないな」


 まだ遠くてはっきりわからないが、砲弾を受けたり壊れたりはしてない。帆もすべて張られている。


「一応、兵を配置しておきます」


 青旗を揚げられるのだから乗っ取られてるとは思わないが、警戒しておいて損はないだろう。


 指揮はセオルに任せ、オレは崖の上からプレアシア号がやってくるのを待った。


「レオ。あれが船?」


「ああ。遠い遠い大陸から三十日もかけてこの大陸にやってきたんだ」


 夜に焚き火を囲んでいろいろなことを語ってやった。


 船も海も語りはしたが、やはり自分の目で見なければ理解できないこともある。言葉少なく、この広大な海を見ていろいろ学んでいるのだろうよ。


 一時間くらいして細部までわかる距離まできたプレアシア号には、たくさんの人間──いや、女がたくさん乗っていた。


 ……なんのご都合主義が働いた……?


 プレアシア号は湾の前で帆を畳み錨を降ろし、小舟を出して湾に入っていった。


 オレらも港に向かうと、ゴルティアの副官が港に上がっていた。


「ミドガリア帝国の開拓船団がきたようです」


「またか。よく船を造る資金があるな」


 船だって安くはない。国家予算で造るようなものをよこすとか、帝国はなに考えてるんだ?


「どうも、前回逃げたマイアナの船がこちらの情報をいいように流して、帝国が開拓船団を送り出したようです」


 噂が一人歩きした、ってことか。参ったもんだ。


「ただ、途中で嵐にあったようで、ミドットリー島まで辿り着けたのは四隻で、女子供が大半でした。どうも船団長が女子供を優先させたようです」


「こちらが助けると考えてのことでしょうな」


「だな。こちらの事情をかなり見抜かれてるっぽい」


 偶然か、予測したのか、はたまた千里眼的な呪霊で見たのかはわからんが、女子供を優先したのは、こちらが助ける算段が高いと踏んでのことだろう。


「レニーラ様が事情聴取して、大丈夫と判断した者、病気がない者だけを連れてきました」


「そうか。レニーラがいてよかったな」


 帝国の事情を知り、苦労してきたレニーラならそう簡単に騙されはしないだろう。


「セオル。こちらも事情聴取してから上陸させろ。船は出せるか?」


「はい。二隻を改修しました」


「なら、食料を積んでミドットリー島に向かわせろ。食料難で暴動になっても困るからな」


「わかりました。兵も向かわせましょう」


 すっかりレオノール国の貴族として考えるようになったものだ。


 オレもいって確かめたいところだが、そんな余裕もないようだからこちらで確かめるとしよう。

宣伝。『ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか』も読んでみてください。

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